エアロは追加されているもの、ほぼ市販車のままの仕様
アストンマーティンは2021年から、メルセデスAMGと分担してF1グランプリのセーフティカー/メディカルカーを運用しているが、2024年シーズンは発表されたばかりの新型ヴァンテージをセーフティカーとして提供することになった。アストンマーティンは第2戦サウジアラビアGPから担当する。
セーフティカーはフォーメーションラップで20台のF1マシンを先導した後、ピットレーン出口で待機し、安全上の必要がある場合にはコースに出て、レースのペースをコントロールする役目を果たす。
公式セーフティカーとしての新型ヴァンテージ投入は、FIAの厳しい審査を経て採用が決定されたもので、フロントスプリッターの延長、新しいリアウイング、ガーニーフラップ、FIA公認ライトバーなどが追加されているのもの、エンジンのアップグレードや冷却システムの変更、ブレーキ性能のアップグレードなどは必要なく、ほぼ市販車のままの仕様となっている。
一方インテリアには、セーフティカーの役割を果たすためのシステムが多数搭載されている。シートはFIAセーフティカー専用のレーシングシートで、センターコンソールにはFIAのシステムを操作するためのスイッチ類が装備されているほか、ライブのラップタイム、全マシンのコース上の位置、そしてリアビューカメラを表示するスクリーンも設置されている。また、トリムはブランドのレーシングカラーにちなんで、独自のライムエッセンスで仕上げられている。
アストンマーティンのグループ最高技術責任者であるロベルト・フェデリ氏は「ヴァンテージは、アストンマーティンブランドの真髄です。これまでで最も速く、最もドライバーにフォーカスしたヴァンテージが、F1世界選手権でこのような重要な役割を担うことは、私たちにとって大きな誇りです。今回公式セーフティカー向けに仕様を変更する際、最新のウルトララグジュアリーなハイパフォーマンスカーの能力を発揮できるようロードカーにはないエアロが一部追加されていますが、ほぼFIAの装備を追加する作業だけで済みました。新型ヴァンテージはこの特別な役割に最適なクルマです」とコメント。
FIAセーフティカードライバーのベルント・マイレンダー氏は「このクルマは素晴らしい血統を受け継いでおり、中でもこの最新モデルはこれまでで最速です。第一印象ではハンドリングの向上とパワーの向上がすぐに感じられ、とても好感が持てました。私たちはコース上への出動要請に迅速かつ安全に対応できるよう高速で特化したマシンを必要としており、ヴァンテージはこういった性能をしっかりと備えています。私は過去3シーズンにわたりヴァンテージのドライビングを楽しんできましたが、今回、世界最高峰のサーキットでそのパフォーマンスを存分に体験できることを幸せに思っています」と語った。
新型ヴァンテージのセーフティカーは、アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チームのマシンと同じ「アストンマーティン・レーシンググリーン」をまとって、3月7日に開幕するF1世界選手権第2戦サウジアラビアGPでデビューする。