2023年9月11日、WEC(FIA世界耐久選手権)第7戦「富士6時間」に向けてWECプジョーチームが来日、94号車のドライバーであるロイック・デュバルと93号車プジョー 9X8をドライブするニコ・ミューラーが都内で行われたプジョーファンミーティングに駆けつけ、9月13日から始まる富士6時間への意気込みを語った。(写真:井上雅行)

ポイントを獲得すること、表彰台をゲットすることがターゲット

WEC第7戦「富士6時間」は前戦ローンスター・ル・マン(アメリカ・テキサス)からわずか1週間のインターバルで開催されるため、チームやドライバーのスケジュールが非常にタイト。ドライバーは火曜日9月10日に来日し、12日は富士スピードウェイに移動するという忙しさの中、11日のプジョーファンミーティングに駆けつけた。

──いよいよWEC第6戦富士6時間レースが始まります。

ロイック 8年間日本に住んで、日本のレースに参戦してきましたので、日本は第2の故郷と言える場所だと思っています。プジョーで、また日本に戻ってくることができてうれしいです。

ニコ フォーミュラE東京ラウンド以来、今年2回目の日本でのレースを楽しみにしています。富士スピードウェイを走るのは初めてですので、どんなコースなのか、どんなレースになるのワクワクしています。

ロイック・デュバル

1982年6月12日生まれ。国籍フランス。2006年より8年間日本のレースシーンで活躍、2009年フォーミュラニッポン シリーズチャンピオン、2010年スーパーGT GT500チャンピオンに輝くなど大活躍。日本でもなじみが深い。欧州に戻ってからも、DTM、世界耐久選手権、フォーミュラEなどで活躍。2013年にはアウディでル・マン24時間を制覇した。

ニコ・ミューラー

1992年2月25日生まれ。国籍スイス。2014年にアウディからドイツツーリングカー選手権(DTM)に参戦。WECハイパーカークラスには、2022年終盤よりチーム プジョー トタルエナジーズから参戦。フォーミュラEにも参戦し、3月に開催された東京ラウンドでは6位に入賞している。

画像: 富士6時間で94号車のハンドルを握るロイック・デュバル。

富士6時間で94号車のハンドルを握るロイック・デュバル。

──富士6時間レースに向けてマシンの感触はいかがですか。

ロイック 前戦のアメリカではいい結果を得られませんでした。それからわずか2週間しか経っていないので、大きな進化は期待できませんが、富士ではいいレースができると期待しています。富士スピードウェイの路面は非常にスムースで、とくにドライコンディションでのトラクションが良く、プジョー9X8に向いている気がします。昨年は残念な結果となりましたが、2年前はいいレースができました。

ニコ まずポイントを獲得すること、表彰台をゲットすることがターゲットになります。リアウイングレスの新しい9X8はレースごとによくなっていて、ダウンフォースとエアロダイナミクスのトレードオフがよくなり、とくに低速コーナーでダウンフォースに頼らないグリップを獲得できるようになり、タイヤに優しい、ドライブしやすいマシンになっています。

──新しい9X8のストロングポイントはどこにありますか。

ロイック ストレートスピードとブレーキの安定性、効率性です。リアウイングが装着してダウンフォースは大きくなっていますが、トップスピードは上がっています。ブレーキングは回生ブレーキと連携して、いいフィーリングになってきています。

画像: 93号車プジョー 9X8をドライブするニコ・ミューラー。

93号車プジョー 9X8をドライブするニコ・ミューラー。

──富士でプジョーの表彰台獲得を願っているファンは、どのあたりを期待して注目すればいいでしょうか。

ニコ まずスタートですね。大きく順位を上げるチャンスですから、激しい争いになるでしょう。6時間のレースはもはや耐久レースではなく、スプリントレースを連続して行っているようなハイスピードレースになるので、レース中盤も目が離せない展開になると予想されますが、やはり終盤、燃料補給やタイヤ交換のタイミングを含めた戦いは非常にエキサイティングなものになるでしょう。

ロイック WECは9つのマニュファクチャラーが参戦し、それぞれ特徴のあるマシンで参加しています。それぞれのメーカーにはそれぞれのヘリテージやフィロソフィーがあり、さまざまなアプローチやテクノロジーでチャレンジしています。もちろんレースになれば、ドライバーは勝つことを目指して戦いますが、WECに挑戦する上でははそれぞれのアイデンティティをしっかりと持つことが大切なのです。プジョーはほかとは違うやり方で、WECに挑戦しています。

画像: ファンミーティングではファンとも交流。会場にはプジョー 9X8の実車も持ち込まれた。

ファンミーティングではファンとも交流。会場にはプジョー 9X8の実車も持ち込まれた。

──週末の天候は微妙で、富士スピードウェイは雨になる可能性もありますが。

ロイック ドライコンディションでのトラクションが良いのが9X8の特徴ですが、ウエットコンディションでもいい結果を出しています。ライバルとなるチームが嫌うのであれば、有利になるかもしれません。我々にとっても、レースを楽しみにしているファンにとっても、天候が崩れないことを期待しますが。

──ありがとうございました。富士6時間レース、楽しみにしています。

WEC第7戦「富士6時間」 は、9月13日金曜日日の2回の90分間にわたる公式練習セッションで幕を開け、9月14日土曜の15時から行われるハイパーカーの予選とハイパーポールでスターティンググリッドを決定。決勝レースは9月15日日曜日11時にスタートが切られる。

2024年WEC第7戦「富士6時間」 タイムスケジュール

フリー走行1回目:9月13日金曜日11時〜
フリー走行2回目:9月13日金曜日15時30分〜
フリー走行3回目:9月14日土曜日10時20分〜
ハイパーカー予選:9月14日土曜日15時〜
ハイパーポール:9月14日土曜日15時20分〜
決勝:9月15日日曜日11時〜

プジョー 9X8 テクニカルデータ

クラス:ル・マン・ハイパーカー(LMH)
全長:5000mm
全幅:2080m
全高:1180m
ホイールベース:3045mm
パワートレーン:プジョー ハイブリッド4
エンジン:90度V6 2.6Lツインターボ(後輪を駆動)
エンジン最高出力:500kW(680hp)
モーター:電動モータージェネレーター(前輪を駆動)
モーター最高出力:200kW
バッテリー:プジョー・スポール、トタルエナジーズ、サフトの共同開発
バッテリー燃料・潤滑油 :トタルエナジー

画像: 2024年仕様のプジョー 9X8。レギュレーション変更によりリアウングを装着することになったが、プジョーのアイデンティティは貫かれている。

2024年仕様のプジョー 9X8。レギュレーション変更によりリアウングを装着することになったが、プジョーのアイデンティティは貫かれている。

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