2024年10月6日（現地時間）、マクラーレン・オートモーティブは本社のマクラーレン・テクノロジー・センターで新たなスーパースポーツカー「マクラーレンW1」を世界初公開した。「F1」「P1」の後継となる、新しい時代のマクラーレン アルティメットモデルに位置づけられる。「P1」が「ポジション1」を示していたように、「W1」は「ワールド1」つまり世界チャンピオンを示している。ワールドプレミアが行われた2024年10月6日は、ちょうどエマーソン・フィッティパルディとマクラーレンがF1のドライバーとコンストラクターズワールドチャンピオンシップを獲得してから50年にあたる。
システム最高出力はなんと1275ps、パワーウエイトレシオ1.1kg/ps
「F1」「P1」とそれまでの常識を打ち破る究極のスーパーカーを発表してきたマクラーレンが、新時代に向けて開発した「マクラーレンW1」。
そのパワートレーンはプラグインハイブリッドで、「MHP-8」と呼ばれる新開発の4L V8ツインターボエンジンは単独で最高出力928psを発生。これに最高出力347psの電気モーターを備えたEモジュールを組み合わせ、システム最高出力はなんと1275ps、最大トルク1340Nmものパワーを実現している。E モジュールは1.384kWh のバッテリーで駆動する。なお、このパワーは、8速DCT（リバースは電気モーター）と電子制御ディファレンシャルを介して後輪に伝達される。4WDではなく、RWDでしっかりとトラクションを伝えるのがポイントだ。
軽量化と空力はマクラーレンのキーポイント。マクラーレンはP1開発にあたって、「Aerocell（エアロセル）」と呼ばれる専用のCFRP（炭素繊維強化プラスチック）製モノコックボディを新開発し、さらに構造全体にわたってカーボンファイバーが多用することで、車両乾燥重量わずか1,399kg、パワーウエイトレシオ1.1kg/psを実現した。これはパフォーマンスを発揮するための基本となる。
空力面で「W1」のダイナミズムを支えるキーは、マクラーレンのレースモード。このモードを展開すると、フロントサスペンションが1.5インチ、リアサスペンションが0.7インチ低くなり、リアウィングが11.8インチ後方に伸びてロングテールとなり、フロントで最大350kg、リアで最大650kgのダウンフォースを発生させ、マクラーレンP1を「公道からサーキット」へとそのキャラクターを大きく変化させる。ふだんは公道を快適に走り、ひとたびサーキットに足を踏み入れれば、レーシングカーなみのパフォーマンスを発揮する。
サスペンションはレースアクティブシャシーコントロールIIIと呼ばれるアクティブサスが標準装備されており、サスペンションの硬さとステアリングの感触を変化させる「コンフォート」「スポーツ」「レース」の3つのドライビングモードを備えている。
レースモードにはさらに「スプリント」「GP」「ブースト」の3つの設定が用意され、「スプリント」ではモーターの性能を最大限に引き出し、「GP」では電気モーターのエネルギーの使用と回収のバランスを調整することで安定した性能を発揮する。「ブースト」では、利用可能な E モジュールのパワーを瞬時に最大限に展開する。
そのパフォーマンスは0-100km/hは2.7秒、0-200km/hはわずか5.8秒、0-300km/hは12.7秒未満。最高速は350km／h （リミッター）と公表されている。
ドアは一度サイドに開いてから上に跳ね上がるディヘドラルドアではなく、そのまま上部に上がるガルウイング（アンへデラル）ドア。
車両価格は約3億9000万円だが、世界限定399台はすでに完売
もちろんブレーキ性能も超一級で、フロントは6ピストンキャリパー、リアは 4 ピストンキャリパーで、ディスクはマクラーレン カーボン セラミック レーシング + (MCCR+) の390mm径。200-0km/h制動距離は100m、100-0km/hは29mを誇る。
エクステリアでの特徴は、これまでのデヘドラルからガルウイングスタイル（アンヘドラルドア）となったこと。これにより、フロントホイールアーチから高温ラジエーターへの空気の流れが最適化され、パワートレーンの冷却に必要なラジエーターのサイズを縮小することに成功、パッケージングを最適化するとともに軽量化も実現した。
インテリアではシートがモノコックボディと一体なっていて、ドライバーはステアリングポストとペダルボックスを動かしてポジションを決めるのが特徴。これにより、ボディ剛性が上がり、また、ホイールベースを70mm短くできた。
またインテリアは機能的でシンプルにまとめられているが、素材や色合いはさまざま。マクラーレンスペシャルオペレーションズで事実上無制限の特注パーソナライゼーションが利用可能で、オーナーは自分だけのユニークなスーパーカーを自由に作ることができる。
ボディカラーも標準では明るい部分とダークな部分のコントラストが印象的なものとなっているが、オーナーは自由に色調を選択することができる。
「マクラーレンW1」の車両価格は200万ポンド（約3億9000万円）からだが、世界限定399台はすでに完売となっている。
ステアリング ホイールにあるボタンはブーストとマクラーレン エアロ デプロイメント コントロールの 2 つだけ。シャーシ モードとパワートレーンのモード切替は、インパネ上部のロッカー スイッチで行う。シートはマクラーレン エアロセル カーボンファイバー モノコックと一体になっていて、ドライバーはペダル、ステアリングホイール、コントロールパッドを調整する。インテリアの素材、色合いなどは自由に選択できる。
マクラーレン W1 主要諸元
●全長×全幅×全高：4635×2074×1182mm
●ホイールベース：2680mm
●車両重量：1399kg（乾燥重量）
●エンジン：V8DOHCツインターボ+モーター
●総排気量：3988cc
●システム最高出力：938kW（1275ps）
●システム最大トルク：1340Nm／4500-5000rpm
●エンジン最高出力：683kW（928ps）
●エンジン最大トルク：900Nm
●モーター最高出力：255kW（347ps）
●モーター最大トルク：440Nm
●バッテリー容量：1.384KWh
●トランスミッション：8速DCT
●駆動方式：MR
●サスペンション：ダブルウイッシュボーン
●ブレーキ：カーボンセラミックレーシング
●タイヤサイズ：F 265／35R19、R 335／30R20
●0-100km／h ：2.7 seconds
●0-200km／h：5.8 seconds
●0-300km／h：<12.7 seconds
●最高速：350km／h （リミッター）
●200-0km/h：100m
●100-0km/h：29m
●ダウンフォース： 1000kg@280km／h
●生産台数：399台
●車両価格：200万ポンド税込み（約3億8600万円）
