この連載では、昭和30年~55年(1955年~1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第104回目は、コンパクトなボディで高性能ぶりを発揮した、三菱ミラージュ1600GTの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

独自の4速×2段MTにサターンエンジンの組み合わせ

昭和54(1979)年に三菱ミラージュ 1600GTが発売された。前年3月に発売されたミラージュは1.2L と1.4Lの設定だったが、一歩遅れての発売となった。

画像: 1600GTには1400系に搭載されたオリオンエンジンではなく、ランサーのサターンエンジン/G32B型が横置きされる。ロングストロークでトルクフルな特性だ。

1600GTには1400系に搭載されたオリオンエンジンではなく、ランサーのサターンエンジン/G32B型が横置きされる。ロングストロークでトルクフルな特性だ。

搭載されたエンジンは1597ccの排気量を持つ直列4気筒SOHCで、基本的にはギャランΣやランサーなどに共通するもの。ただしこれらの車種で採用されていた静粛性向上のためのサイレントシャフトは装着されていない。

最高出力、並びに最大トルクは、88ps/13.5kgmと発表された。これは従来から設定されていた1.4L ユニットと比較して、最高出力で6ps、最大トルクで1.4kgmの増強というスペックであった。組み合わされたトランスミッションは、スーパーシフトと呼ばれる三菱独自の副変速機を持つ4速×2段MTで、ギアレシオなどは1.4Lと完全に共通している。

サスペンションも、ハードセッティングにアレンジし直された。フロント側ではスタビライザーの径が拡大されたほか、コイルスプリングとダンパーがよりハードなものにされている。リア側もスタビライザーが標準装備となった点が非常に興味深い。ステアリングのギア比もよりクイックなものになった。

1600GTに設定されたボディは2ドアと4ドアの2種類。FWD2ボックスモデルの規範たるVWゴルフに高性能バージョンのGTIが設定されたのと同じように、ミラージュ1600GTもコンパクトなボディと高性能ぶりで高い人気を博した1台である。

画像: スポーティな2本スポークのステアリングデザインはGT以外のモデルと変わらないが、GTではグリップ部は太くなっており材質はウレタンだが握りやすいものとなっている。

スポーティな2本スポークのステアリングデザインはGT以外のモデルと変わらないが、GTではグリップ部は太くなっており材質はウレタンだが握りやすいものとなっている。

昭和57(1982)年2月、ミラージュはイメージをそのまま受けつぎマイナーチェンジされて、ミラージュIIとなる。

三菱ミラージュ1600GT・2ドア(A153型)諸元

●全長×全幅×全高:3790×1585×1350mm
●ホイールベース:2300mm
●車両重量:830kg
●エンジン型式・種類:G32B・直4SOHC
●排気量:1597cc
●最高出力:88ps/5000rpm
●最大トルク:13.5kgm/3000rpm
●トランスミッション:4速MT+副変速機(2段)
●タイヤサイズ:155SR13
●新車価格:98万2000円

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