間隙ついたルクレール、後続を寄せ付けず独走勝利
ポールポジションからまずまずのスタートを切ったランド・ノリス(マクラーレン)、2番グリッドからタイトなターン1でインをついて首位を伺ったフェルスタッペン。ふたりのタイトルチェイサーの意地のぶつかり合いは、両車が揃ってアウト側にはらむという結果を生み、こうなることを予測して機を伺っていたルクレールが漁夫の利を得てレースをリードするという思わぬ展開でレースは幕を開けた。
そしてルクレールはそこから脅威的なレースペースの速さを発揮。瞬く間に2番手フェルスタッペンのDRS圏外に出ると、ルイス・ハミルトン(メルセデス)のコースアウトで出たセーフィティカーを挟んでさらにリードを拡大。レース中盤のタイヤ交換でミディアムからハードに換えたあともその勢いは衰えず、そのままあっさりとフィニッシュまで走り切ってシーズン3勝目を飾った。
ルクレールを追いたかったフェルスタッペンは最初のスティントこそ2番手を守っていたが、アンダーステアに悩まされてペースが上がらずにタイヤ交換時にサインツにアンダーカットを許し3番手に後退したばかりか、レース終盤はよりフレッシュなハードタイヤを履いたノリスにも激しく迫られてしまう。
ふたりの戦いは56周目にノリスがフェルスタッペンをかわして決着したかに見えたが、その後、このオーバーテイクがコース外を利用したものと判定されてノリスに5秒のペナルティ。これでフェルスタッペンがなんとか3位を確保する格好となった。
この結果、選手権首位のフェルスタッペンはノリスとのポイント差を57点に広げることに成功。一方、コンストラクターズ選手権ではマクラーレンがレッドブルとの差を40点に広げ、1-2フィニッシュで大量得点したフェラーリがレッドブルに8点差と急接近する情勢となった。
「レッドブル昇格権」争い、初戦は角田裕毅の完敗
このレースのもうひとつの注目ポイントは、ダニエル・リカルドに代わってRB入りを果たしたリアム・ローソンと角田裕毅のチームメイトバトルだった。誰もが承知の通り、この戦いはレッドブルで不振が続くセルジオ・ペレスに“何か”があった時に、どちらがトップチームへの昇格の権利を手にするかの戦いでもあった。
圧倒的に有利なのは実績と経験を積んだ角田のはずだったが、レースが蓋を開けてみると、リカルドの持ち越しペナルティで最後列からスタートしたローソンの速さが際立つ展開に。
ローソンにとっては初のサーキットながら、ハードタイヤでのロングスティントやクーリンなオーバーテイクなど危なげない走りで、なんとF1復帰初戦でいきなり9位入賞。
一方の角田はミディアムタイヤを早めに消耗させた挙句に、ハードタイヤでの第2スティントではペナルティや単独スピンで入賞のチャンスを逸するなどいいところなし。まさかの完敗という手厳しい結果となってしまった。
次戦第20戦メキシコシティGPは、3連戦の2戦めとして、10月27日、首都メキシコシティのエルマノス・ロドリゲス・サーキットで開催される。