ルーフやフロントウインドーがない斬新なスタイリングが特徴
今回、F1アブダビGPでワールドプレミアとなったメルセデスAMG「ピュアスピード(Mercedes-AMG PureSpeed)」、どこかで見たことがあるという方もいらっしゃるだろう。
すでに同車のコンセプトモデルが2024年5月のF1モナコGPで発表されており、ようやく正式に発表された形となる。
メルセデスAMG ピュアスピードは完全オープンの2人乗りハイパフォーマンスカーで、ルーフやフロントウインドーがない斬新なスタイリングが特徴だ。
そのデザインはメルセデスAMGのハイパーカーである「ワン(ONE)」にインスパイアされており、低いシルエット、長いボンネット、特徴的なシャークノーズ(鮫の鼻)などが反映されている。
また、エアロダイナミクスに基づきデザインされたボンネットは、ドライバーと乗員が乱気流により困らないようにするために、前面と側面には小さな透明のディフレクターを備えている。また、トランクリッドとリアディフューザーもルーフがないことを考慮してデザインしている。
鍛造の21インチアルミホイールにもエアロダイナミクスが考慮され、ホイールのディスク面内側にはカーボンファイバーのカバーが装着されている。
とくにリアホイールのカバーはかなりの部分を占めており、その分、空気抵抗が少なくなっている。フロントホイールのカバーはリアよりも面積は小さめで、空気の流れとブレーキの冷却性が考慮されている。
ちなみにフロントホイールは9.5J×21インチのリムに275/35R21サイズのタイヤが装着され、リアには11.0J×21インチのリムに305/30R21サイズのタイヤが装着されている。
Aピラーの代わりにF1譲りのハロシステムを装備
メルセデスAMG ピュアスピードのもうひとつのハイライトは、通常のAピラーの代わりにハロ(HALO)システムを採用していることだ。
これは2018年からF1マシンに搭載されいているバーで、万が一の事故の際にドライバーの頭部を保護してくれる。ピュアスピードには頑丈な鋼管で、車両の後方では二股に分かれて強固なブラケットでしっかりと取り付けられている。
またピュアスピードには専用に設計・製造されたエアロダイナミクスに基づいてデザインされたヘルメットも2つ設定されている。これらは車両と同じカラーで、インターコムの通信システムを備えている。
このヘルメットを使えば、ドライバーと助手席の人は高速走行中でも明瞭にコミュニケーションをとることができる。また、スマートフォンとの接続も可能で、外部の人と電話することもできるほか、ヘルメット内のスピーカーから音楽を聴いたりすることもできる。
585ps/800Nmを発生する4L V8ツインターボエンジンを搭載
パワートレーンに目を向けると、最高出力585ps(430kW)、最大トルク800Nmを発生する4L V8ツインターボエンジンを搭載。これにAMGスピードシフトMCT 9Gトランスミッションを組み合わせて、0→100km/h加速性能は3.6秒で、最高速度は315km/hという優れたパフォーマンスを発揮する。
また、ピュアスピードには、AMGパフォーマンス 4MATIC+と呼ばれる4WDシステムが採用されいている。フロントアクスルとリアアクスルの間で可変トルク配分を行うことで、限界のトラクション性能とハンドリング性、操安性を高次元でバランスしている。
AMGアクティブライドコントロールサスペンションは、セミアクティブ油圧ロール安定化機能を備えており、常にタイヤと路面を最適に接地させてくれる。
また、従来の機械式スタビライザーの代わりに、ロールの動きを瞬時に補正してくれるアクティブ油圧エレメントを採用している。これにより、ダイナミクス、ドライバーフィードバックなど、AMG特有のハンドリング特性による最適な挙動変化をもたらしてくれると同時に、直進性や快適性が向上する。
標準装備となるAMG高性能セラミックブレーキは、フロント6ピストン、リア1ピストンのフローティングキャリパーを持ち、優れた制動性能と俊敏な応答性、高い安定性をもたらす。
そしてピュアスピードには、速度に応じて後輪を操舵するアクティブリアアクスルステアリングが装備されている。このシステムは100km/h未満では前輪と逆位相に操舵してより曲がりやすくなり、100km/h以上では同位相に操舵して安定性を高めてくれる。
メルセデスAMG ピュアスピードは新たなラグジュアリーブランドとなる「ミトス(Mythos)」の第1弾として、250台限定ということは公表されているものの、価格についてはこの発表時点では公表されていない。また、日本に入ってくるのかも不明だが、ぜひとも見てみたい1台だ。