フェルスタッペンがタイトル獲得に望みつなぐ6勝目
FP2で相次いだ赤旗とFP3の雨の影響で全車がロングランでのデータがない中で臨むことになった現地土曜日夜の決勝ナイトレース。戦いの決着はスタートでついた。
ポールポジションのランド・ノリス(マクラーレン)が絶妙の蹴り出しで主導権を奪うかに見えたが、直後ターン1でまさかのコースオフ。2番グリッドのフェルスタッペンに先行を許したばかりか、ラッセルにも失速の隙をつかれて3番手まで後退してしまったのだ。
これで首位に立ったフェルスタッペンには楽なレース展開になった。序盤こそラッセルにDRS圏内にくらいつかれる局面もあったが、メルセデスがステアリング系統不調とタイヤのタレによってペースが落ち始めると、しっかりとタイヤマネージメントをしながらセーフティマージンをキープ。上位陣は唯一となったミディアムからハードへのタイヤ交換機会も、もっとも遅い26周目まで引き延ばして首位のままコースへと戻った。
レース後半、トップ3では一番早い19周目にタイヤを交換していたラッセルのペースが落ちたことで、34周目にノリスが2番手に浮上。フェルスタッペンを追うかに思われたが、この日のレッドブルは盤石だった。最後はノリスが首位奪取を諦めて2位キープに徹したことで、その差を20秒以上に広げて今季6勝目のチェッカーに飛び込んだ。

ラスベガスGPのスタート。前日の雨の予選でポールポジションのランド・ノリス(マクラーレン)が絶妙の蹴り出しで主導権を奪うかに見えたが、直後ターン1でまさかのコースオフ。フェルスタッペンがレースをリードすることになった。

タイヤをマネージメントをしながらセーフティマージンをキープ。ミディアム→ハードの1ストップ戦略で圧巻の勝利をあげたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。
マクラーレン2台がレース後失格の大波乱
レース後のフェルスタッペンは「フリー走行で確認できなかったから最初のスティントはタイヤが少し不安だったけど、今日のクルマはペースもあって、自分の好きなフィーリングに仕上がっていた」と会心の表情。
一方のノリスは、「(スタートは)ブレーキを遅らせすぎた。完全に自分のミス。『やっちゃった!』という感じだね」と悔しさを滲ませた。とはいえ、チームメイトのオスカー・ピアストリはまたも見せ場なく4位フィニッシュに終わったため、ドライバーズ選手権でのポイント差をは拡大して残り2戦+スプリント1戦を残すのみという状況に「ベストパフォーマンスじゃなかったけど、結果としては悪くなかった」と最後は笑顔を見せていた。
ところが、レース後の車検で事態は一変。マクラーレン2台のスキッドブロックが規定以上に摩耗していることが発覚し、ノリスとピアストリが失格ノーポイントになってしまったのだ。
その結果、ランキング首位のノリスのポイントは390点と変わらず。24点差のランキング2番手にピアストリとフェルスタッペンが並ぶ緊迫の状況になった。

痛恨の失格となったオスカー・ピアストリ(左)とランド・ノリス。マクラーレンのチームメイト同士の戦いであったはずのチャンピオン争いは意外な展開に。

ラスベガスのタイヤ戦略。グレイニングはほとんど見られず、実質的に1ストップレースで、ミディアムとハードを使用した1ストップ戦略が最速の選択肢となった。キミ・アントネッリ(メルセデス)は後にフライングスタートでペナルティを受けるが、唯ひとり、ソフトタイヤでスタートした。(暫定結果によるデータ)
次戦第23戦カタールGPは、休む間もなく、11月28日に中東部ルサイルのルサイル・インターナショナル・サーキットで開幕、決勝レースは11月30日に開催される。(文:新村いつき)

