文: 小川秀樹
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大人のための高級2ドアクーペとして誕生
初代「日産 レパード」が登場したのは1980年。2ドアハードトップに加えて4ドアハードトップも用意され、高級感とパーソナル性を併せ持つモデルとして日産のラインアップに加わった。
その後継として1986年2月に発売されたのが、F31型と呼ばれる2代目レパードである。初代とは大きく方向性を変え、ボディは2ドアクーペに一本化。1985年に登場したR31型スカイラインと基本設計を共有しながら、よりラグジュアリーなスペシャリティカーとして仕立てられていた。

個性的なデザインを採用した初代から、2代目はオーソドックスなクーペスタイルとなった。
エクステリアは、低く伸びやかなノーズとすっきりしたキャビン、長いリアデッキを組み合わせた端正なプロポーションが特徴である。ボディ各部を滑らかにつないだ空力フォルムを採用し、Cd値は0.32を実現。当時の日産は、大人のライフスタイルに似合う上質なスペシャリティカーとしてレパードを位置付けていた。
派手さを前面に押し出すのではなく、直線を基調とした端正なスタイルで高級感を表現したデザインは、登場から40年が経過した現在でも古さを感じさせにくい。F31型レパードが今なお高い人気を集める理由のひとつといえるだろう。

今見ても古さを感じさせない端正なデザイン。
最上級のアルティマには3.0L V6 DOHCを搭載
発売当初のF31型レパードには、3種類のV型6気筒エンジンが用意された。
なかでも最上級グレード「アルティマ」に搭載されたのが、総排気量2960ccのVG30DE型3.0L V6 DOHCエンジンである。
VG系V6エンジンをDOHC化したこのユニットは、日本初となるV6 4カム24バルブを採用。最高出力185ps/6000rpm、最大トルク25.0kgm/4400rpmを発生し、上級クーペにふさわしい滑らかさと力強さを両立していた。

トップグレードとなるアルティマには、日本初となるV6 4カム24バルブのVG30DE型エンジンが搭載された。
さらに、吸気側のバルブタイミングを運転状況に応じて変化させる「NVCS(日産バルブタイミングコントロールシステム)」も採用。低・中速域で扱いやすいトルクを確保しながら、高回転域まで効率よく吸気できるよう設計されていた。
2.0Lモデルには、VG20ET型V6 SOHCターボを搭載する「XS」「XS-II」を設定。空冷式インタークーラーを組み合わせ、最高出力155psを発揮した。

2.0Lモデルには、VG20ET型V6 SOHCターボを搭載。
一方、「XJ」「XJ-II」には自然吸気のVG20E型2.0L V6 SOHCを搭載。吸気経路を切り替えるNICSを採用することで、低・中回転域でのトルク特性を高めていた。
排気量や過給方式こそ異なるものの、全車をV6エンジンで統一していたことも、2代目レパードが高級スペシャリティカーであることを印象付けるポイントだった。
路面を“読む”電子制御サスペンションも採用
トランスミッションは、XJに5速MTが設定されたほかは4速ATが中心となる。
AT車には走行状況に応じてシフトスケジュールなどを制御する「パワー/エコノミー自動切換え式スーパートルコン」を採用。スムーズな変速と静粛性、燃費性能の両立が図られていた。
サスペンションはフロントにストラット、リアにセミトレーリングアームを採用した4輪独立懸架式である。さらに最上級のアルティマには、当時としては非常に先進的な電子制御式「スーパーソニックサスペンション」が設定されていた。
最大の特徴は、車両前方の超音波路面ソナーを使って路面状況を検知することだ。各種センサーから得られた情報と合わせて電子制御し、ショックアブソーバーの減衰力をソフト、ミディアム、ハードの3段階で切り替える。

路面の凹凸などをあらかじめ検知してサスペンションを制御するという発想は、1980年代半ばのクルマとしてはかなり先進的なものだった。乗り心地を確保すると同時に車体姿勢を安定させ、高級クーペらしい快適性と走行性能を両立しようとしていたのである。
豪華装備を盛り込んだ「グランドセレクション」も登場
1987年6月には、装備をさらに充実させた「グランドセレクション」が追加された。
アルティマとXS-IIをベースとし、専用の内外装や快適装備を取り入れた上級仕様である。ボディカラーにはパールホワイトツートーンやレッドパールなどが設定され、室内にはバーガンディ系の落ち着いたカラーを採用した。
特徴的なのが「ハイテクウールシート」である。シート生地に導電性を持つ繊維を織り込み、乗員にたまった静電気による不快なショックを抑えるというものだった。

静電気を防止する「ハイテクウールシート」は、グランドセレクションに採用された。
さらにAVシステムなどの豪華装備も用意され、F31型レパードが単なるスポーティクーペではなく、快適性や先進性を重視した高級スペシャリティカーであったことが分かる。
しかし、2代目レパードにはあまりにも強力なライバルが存在した。トヨタ「ソアラ」である。
1986年にはソアラも2代目へとモデルチェンジ。高級感や先進装備、強力なエンジンなどを武器に高い人気を獲得し、新車販売ではレパードを大きく上回った。
メカニズムでも装備でも決して見劣りするクルマではなかったF31型レパードだが、販売面ではソアラの牙城を崩すことができなかったのである。
『あぶない刑事』でタカとユージが乗り、一躍有名に
販売ではソアラに及ばなかったF31型レパードだが、その存在を多くの人に知らしめる大きなきっかけとなったのが、1986年に放送を開始した刑事ドラマ『あぶない刑事』である。
舘ひろし演じる鷹山敏樹、通称「タカ」と、柴田恭兵演じる大下勇次、通称「ユージ」が使用する覆面パトカーとして、F31型レパードが登場した。
テレビシリーズで強烈な印象を残したのが、ゴールドとシルバーのツートーンカラーをまとった前期型の3.0 アルティマである。

スタイリッシュなスーツ姿のタカとユージ、横浜の街並み、そしてゴールドのレパード。その組み合わせは『あぶない刑事』の世界観と絶妙にマッチしていた。
カーアクションを交えながら疾走するレパードの姿に魅了され、いつか乗ってみたいと憧れた当時の若者も少なくなかった。新車販売ではソアラに苦戦した一方で、ドラマへの採用によってレパードそのものの知名度は大きく高まり、「あぶ刑事のクルマ」という特別なイメージを獲得していったのである。
その結び付きは一過性のものではない。F31型レパードは、その後の『あぶない刑事』シリーズでも繰り返し登場し、2024年公開の映画『帰ってきた あぶない刑事』にもゴールドツートーンのレパードが姿を見せた。
1986年のデビューから2026年でちょうど40年。当時はソアラの陰に隠れた存在ともいわれたが、時を経た現在では、F31型レパードならではの端正なスタイルと『あぶない刑事』の記憶が重なり、1980年代を代表する名車のひとつとして根強く愛され続けている。
日産 レパード アルティマ(F31型)主要諸元主要諸元
●全長×全幅×全高:4680×1690×1370mm
●ホイールベース:2615mm
●車両重量:1460kg
●エンジン型式:VG30DE型
●エンジン形式:V型6気筒DOHC 24バルブ
●総排気量:2960cc
●最高出力:185ps/6000rpm
●最大トルク:25.0kgm/4400rpm
●トランスミッション:4速AT
●駆動方式:FR
●タイヤサイズ:215/60HR15
●燃料タンク容量:65L
●車両価格:383万7000円(東京地区・税抜、発売当時)
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