▶▶▶写真はこちら|「今見てもカッコいい…!」47年前の日産の名車シルビア2000ZSE-X(画像6枚)
販売不振に陥った先代から一新! シャープなデザインで人気を取り戻した3代目
1979年3月、日産はスペシャリティカー「シルビア」のフルモデルチェンジを実施し、3代目となるS110型を発売した。
当時の国産乗用車は、おおむね4年程度の周期でフルモデルチェンジを行うのが一般的だった。しかし、3代目シルビアが登場したのは、1975年10月に発売された2代目からわずか3年5カ月後のこと。通常よりも短い期間で世代交代を迎えている。

【日産 シルビア 2000ZSE-X】
1979年3月に登場した3代目シルビア。直線的なボディラインと角型4灯式ヘッドライトが、精悍な印象を与える。
その背景にあったと考えられるのが、先代モデルの販売不振だ。
2代目シルビアは、丸みを帯びた独特のボディラインを採用するなど、初代とは大きく異なるデザインを打ち出していた。しかし、そのスタイリングに対する評価は分かれ、国内市場で十分な人気を獲得することができなかった。
さらに、1978年にはホンダが初代「プレリュード」を投入。パーソナルユースを重視した新たなスペシャリティカーが登場したことで、このカテゴリーを取り巻く市場環境にも変化が生じていた。
そんな状況で登場した3代目シルビアは、先代からデザインを大幅に変更した。
全体を直線的なラインで構成し、低く伸びやかなボンネットと角型4灯式ヘッドライトを組み合わせたスタイリングは、精悍でスポーティな雰囲気を漂わせるものだった。
そのデザインには、当時のアメリカ車、フォード「マスタングII」などを思わせる部分もあり、まったく新しい造形というわけではなかった。それでも、曲線を多用した先代との違いは明らかで、モデルチェンジによる新鮮さを強く印象づけた。
デビュー当初のボディタイプは、2ドアハードトップのみ。落ち着きのあるプロポーションにスポーティな要素を盛り込んだ新型シルビアは、若いユーザーを中心に支持を集め、先代とは対照的に好評を博すことになる。
新開発の2Lエンジンを搭載! スポーティな走りを追求したパワーユニット
3代目シルビアでは、外観だけでなくエンジンにも大きな変更が加えられている。
先代に搭載されていたL型エンジンに代わり、昭和53年排出ガス規制に対応したZ型エンジンを採用。デビュー時には、排気量と燃料供給方式の異なる3種類が用意された。
ラインアップの頂点に位置していたのが、新たに開発されたZ20E型エンジンだ。
排気量1952ccの直列4気筒SOHCで、電子制御燃料噴射装置を備え、最高出力120ps/5600rpm、最大トルク17.0kgm/3600rpmを発生。シルビアとして初めて設定された2Lエンジンであり、上級モデルの性能を支える重要な存在となった。

【Z20E型エンジン】
シルビア初の2LエンジンとなったZ20E型。ツインプラグを採用した直列4気筒SOHCで、最高出力120psを発生した。
その下には、1770ccのZ18E型エンジンを設定。こちらも電子制御燃料噴射方式を採用し、最高出力115psを発揮した。
さらに、シングルキャブレター仕様のZ18型も用意され、こちらは最高出力105psを発生。用途や予算に応じて選択できるエンジン構成となっていた。
こうして、走行性能の向上を図った3代目シルビアだったが、その後もパワーユニットの進化は続く。
大きな転機となったのは、1981年5月のマイナーチェンジだ。このとき、新たに1.8Lターボエンジンを搭載したモデルがラインアップに加わった。
Z18ET型と呼ばれるターボエンジンは、最高出力135psを発生。従来の自然吸気エンジンでは得られなかった力強い加速性能を実現し、シルビアのスポーティなイメージをさらに高めることになった。
また、1982年には、直列4気筒DOHC16バルブのFJ20E型エンジンを搭載した「2000DOHC RS」も登場。
デザインを重視したスペシャリティカーという位置づけに加え、動力性能でもスポーツモデルとしての存在感を高めていったのである。
足回りも大幅に進化! 快適性とスポーティな走りを両立
3代目シルビアの進化は、エンジンだけにとどまらない。走行性能を左右するシャシーやサスペンションにも、大きな改良が施されていた。
特に注目すべき変更点が、リアサスペンションの構造だ。
2代目までのシルビアは、リアにリーフスプリングを使用したリジッドアクスル式サスペンションを採用していた。シンプルで耐久性に優れる一方、当時のスペシャリティカーとしては、やや旧式な構造となっていた。
そこで3代目では、リアサスペンションを4リンク式リジッドアクスルとコイルスプリングの組み合わせに変更。フロントにはマクファーソンストラット式を採用した。

快適な乗り心地を重視しながら、スポーティな走行性能も追求。日常のドライブからワインディングまで幅広く対応した。
基本的なシャシー構造には、日産「バイオレット(A10型)」との共通部分も多かったが、シルビアのキャラクターに合わせて独自のセッティングが施されている。
リアにはオフセット配置のコイルスプリングを採用するなど、走行安定性の向上を図った。また、一部のベーシックグレードを除き、前後にスタビライザーを装備。コーナリング時の車体のロールを抑え、スポーティな走行にも対応する足回りに仕上げられていた。
ブレーキは、フロントディスクとリアドラムの組み合わせを基本としながら、2Lモデルにはリアにもディスクブレーキを採用。制動性能の向上が図られた。
さらに、ホイールは従来の13インチから14インチへと大径化された。
2Lモデルには、エンジン回転数に応じて操舵力を変化させるパワーステアリングも標準装備。日常的な扱いやすさと、高速走行時の安定感を両立させる装備として注目を集めた。
当時の試乗記では、従来モデルと比較してアンダーステアが軽減され、コーナリング性能が向上したと評価されている。
一方で、限界を超えた際には急激にオーバーステアへと転じる傾向も指摘されており、スポーティな性格を持ちながらも、一定の運転技術を要求する一面があったようだ。
とはいえ、基本的にはスペシャリティカーらしい快適な乗り味を備えており、日常のドライブからスポーティな走行まで幅広く楽しめることが魅力だった。

【デジタルメーターを装備したインパネ】
1981年のマイナーチェンジで登場したデジタルメーター仕様。音声で車両情報などを知らせる先進的な装備も採用された。
このように、スタイリングだけでなく、エンジンや足回りも大幅に進化した3代目シルビア。
先代の販売不振から一転し、若い世代を中心に人気を獲得したことで、日産のスペシャリティカーとしての存在感を高めることに成功した。
また、シルビアと基本的なメカニズムを共有する兄弟車「ガゼール」も登場。両車は異なる販売系列を通じて展開され、それぞれの個性をアピールした。
ガゼールは1986年に販売を終了したが、シルビアはその後もモデルチェンジを重ね、日産を代表するスポーティカーとして長く愛される存在となっていった。
兄弟車として同時に発売された「ガゼール 2000XE-II」
3代目シルビアの登場と同時に発売された兄弟車が、初代「ガゼール(S110型)」だ。シルビアが日産サニー店系列で販売されたのに対し、ガゼールは日産モーター店系列で取り扱われた。

【日産 ガゼール 2000XE-Ⅱ】
シルビアと同時に登場した兄弟車「ガゼール」。基本構造を共有しながら、専用グリルなどで高級感を演出していた。
基本的なボディ構造やエンジン、足回りなどはシルビアと共通だったが、フロントグリルやリアコンビネーションランプなどのデザインを変更。内外装に高級感を持たせることで、シルビアとは異なるキャラクターを演出していた。
1979年8月には3ドアハッチバックを追加し、1980年6月にはサンルーフ装備車を設定するなど、バリエーションも充実。1981年5月にはマイナーチェンジが実施され、外観デザインや装備の変更が行われた。
ターボモデルはマイナーチェンジ時に追加。「シルビアHBターボZSE-X」
1981年5月のマイナーチェンジで追加されたターボモデルは、3代目シルビアのスポーティな魅力をさらに高める存在となった。
搭載されたのは、排気量1770ccの直列4気筒SOHCターボ、Z18ET型エンジンだ。

【日産 シルビア ハッチバック ターボZSE-X】
1981年に追加された1.8Lターボ搭載モデル。最高出力135psを発生するZ18ET型エンジンによって、動力性能を大きく高めた。
最高出力135ps、最大トルク20.0kgmを発生し、自然吸気の2Lエンジンを上回る動力性能を実現。ターボモデルは2ドアハードトップだけでなく、3ドアハッチバックにも設定された。
当時の自動車専門誌『ホリデーオート』のテストでは、0-400m加速で16.95秒を記録。その優れた加速性能は、スポーティな走りを求めるユーザーから高く評価された。
それまでのスペシャリティカーとしての魅力に、本格的なスポーツ性能を加えたターボモデルは、シルビアの人気をさらに押し上げる存在となった。
日産 シルビア 2000ZSE-X(S110型)主要諸元
●車名: 日産 シルビア 2000ZSE-X
●型式: S110型
●発売年月: 1979年3月
●ボディタイプ: 2ドアハードトップ
●乗車定員: 5名
●全長: 4400mm
●全幅: 1680mm
●全高: 1310mm
●ホイールベース: 2400mm
●車両重量: 1105kg
●駆動方式: FR(後輪駆動)
●エンジン型式: Z20E型
●エンジン形式: 水冷直列4気筒SOHC
●総排気量: 1952cc
●燃料供給方式: 電子制御燃料噴射(EGI)
●最高出力: 120ps/5600rpm
●最大トルク: 17.0kgm/3600rpm
●トランスミッション: 5速MT
●サスペンション(前): マクファーソンストラット式
●サスペンション(後): 4リンク式リジッド・コイルスプリング
●ブレーキ(前): ディスク
●ブレーキ(後): ディスク
●タイヤサイズ(前後): 185/70SR14
●燃料タンク容量: 53L
●当時の新車価格: 158万5000円
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