浴衣、いいですねー。
土曜日、走行が始まると際立ったのがホンダNSX CONCEPT-GTの速さです。公式練習で15号車ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT武藤英紀選手がトップタイム、2番手に100号車RAYBRIG NSX CONCEPT-GT山本尚貴選手が続く1-2体制。
絶好調の15号車はそのまま予選Q1でも、オリバー・ターベイ選手がトップ通過を果たします。
そして迎えた予選Q2、武藤選手が見事にアタックを決め自身初となるGT500ポールポジションを獲得しました。「焼肉パワー!」と謎の無線交信記録が残っています。
もちろん創設2年目のチームドラゴにとっても初ポール、道上龍監督久々の満面の笑み。報道陣も慌ててチームのピットに駆けつけることになりました。
日曜日、決勝レースへ向け気合いを入れマシンに乗り込む武藤選手。やや緊張の様子でしたが体力は十分、心の中で「行ってらっしゃい」と声をかけます。実際にはかけてませんが。
12時39分、173周1000km長丁場のレースがスタート。今回GT500クラスには最低5回のピットインが義務付けられています。午前中降っていた雨により路面はやや濡れていますが、GT500クラスは全車ドライタイヤを装着。
ポールスタートからひたすら逃げる15号車武藤選手に、8番手スタートから38号車ZENT CERUMO RC F立川祐路選手が6台抜きの猛チャージで迫ります。そしてついに22周目、15号車を抜きトップに立ちます。
全車1回目のピットストップが完了し、順位が落ち着くとトップは変わらず38号車、2、3番手はGT-R勢。しかし12号車カルソニックIMPUL GT-Rは2回目のピットストップ直後に火災でリタイア。
代わって2位となった46号車S Road CRAFTSPORTS GT-Rは、黄旗追い越しのペナルティを取られトップ争いから脱落してしまいます。
中盤以降レースを盛り上げたのは、38号車立川祐路、石浦宏明選手 vs 36号車au TOM'S RC F伊藤大輔、ニック・キャシディ選手のレクサス対決。小雨まじりで路面コンディションが不安定になったこともあり、抜きつ抜かれつの超接近戦を繰り広げます。
このバトルも38号車立川選手が徐々に差を広げ始め、142周目にいよいよ最後のピットストップ。
石浦選手にチェッカーを託すことに。
最後の最後で強い雨に降られるも、夕暮れの鈴鹿を安定したペースでゴールに向け走行する38号車の石浦宏明選手。そしてこのままトップチェッカーを受けます。
ゴール直後の石浦選手を迎える立川選手と高木虎之介監督。GT-Rの連勝を止める、今季レクサス初勝利です。まるでゴールを待っていたかのように辺りは急速に闇に包まれていきます。鈴鹿1000kmで最もドラマチックな時間帯。
長い173周のレース結果は、38号車、36号車のレクサス1-2フィニッシュでした。序盤のペナルティから追い上げた46号車が3位表彰台、前回富士で負傷した千代勝正選手の姿もあります。高星明誠選手は代役以上の働きを見せました。ポールスタートの15号車NSXは残念ながら80周でリタイア、ホンダ最上位は100号車の7位となっています。
ドーンという打ち上げ花火の音とともに、夏が終わっていく感傷にひたりながら、真夏の3連戦を締めさせていただきます。浴衣に始まり、浴衣に終わる。疲れも癒されたでしょうか。
いよいよ次回は海外ラウンド、タイ戦となります。
(PHOTO:井上雅行)