およそ50年前に生産、販売されていたマツダの名車と最新モデルたち。サイズや操作感は異なるが、設計思想の共通点を発見することができた。前回のつづきとなるので、ぜひ1回目もご覧下さい。

50年以上前に生まれたR360クーペと最新モデルの共通点とは

過去の名車にフォーカスすることで、そこに詰まった哲学や思想、価値観などを知り、さらに新しいものを生み出そうという温故知新の考えに基づいて2013年に発足した「レストアプロジェクト」。“マツダ社員はもっと自社のことを知る必要がある”と考えたマツダの若手社員発案のプロジェクトだ。

画像: “エンジンをガンガン回して”というマツダ社員の言葉のまま5000rpmまで引っ張り加速。滑らかな回転フィールに感動。

“エンジンをガンガン回して”というマツダ社員の言葉のまま5000rpmまで引っ張り加速。滑らかな回転フィールに感動。

 このレストアチームの構成もユニークだ。R360のレストアプロジェクトには15名の社員が携わったが、その全員が立候補によるもの。また必ずしも技術職だけでなく、中には営業職や管理部門の社員もいるという。実際、私が話を聞いた矢倉氏も国内営業本部所属の社員で、「多くの部門を横断的に、時には取引先をも巻き込んでの一大プロジェクトです。そのため、完成した時の達成感もひとしおです」と語った。

 さらに、1920年東洋コルク工業として創業したマツダは、2020年に創立100周年を迎える。その記念事業の一環としての側面も持つこのプロジェクトでは、その2020年までにルーチェREクーペや5代目ファミリア、さらに東洋工業として初の三輪量産車、DA型三輪トラックのレストアを完成させる計画だという。
 私が参加したマツダ体験会では、生産工場見学や最新モデルを使っての「最適なドライビングポジション」の講義などのほか、幸運なことにレストアされたこの2台に試乗できた。その中でもとくに興味深かったことは、R360クーペの運転席がセンター寄りにオフセットされていること。これはホイールハウスの張り出しによってペダル位置がセンター寄りに配置されたことに対応しているのだという。手法は違っても、最適な運転姿勢をとるという同じ目的に沿った過去と現在のクルマ作りに、感動してしまった。
 日本だけでなく世界で続いているマツダの躍進は、こうした温故知新の企業風土が可能にしているのかもしれない。これからどんなニューモデルが現れるのか、今後もマツダから目が離せない。

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