その昔、と言ってもほんの13年ほど前まで国産車の最高出力は、280馬力が上限とされていました(自主規制)。300馬力や400馬力のクルマがうようよ存在する現在では考えられない規制ですが、初めて280馬力を上回った国産車はなんでしょう? というのが今回のお題です。
国産車初の「280ps超え」クルマはなに?
正解は3)の4代目レジェンド。2004年10月のことでした。世界初の四輪駆動力自在制御システムを採用、搭載エンジンは新開発の3.5LV6で、国内仕様車として初めて正式に300馬力を超えるカタログ・スペックを謳いました。
そもそも280馬力自主規制が始まったのは1989年のこと。当時は「第二次交通戦争」と呼ばれ交通事故が社会問題化し、メーカー間のパワー競争も激化していた時代です。これを問題視した当時の運輸省が行政指導に乗り出し、当時、型式認定を申請していた4代目フェアレディZ、インフィニティQ45、スカイラインGT-R(R32)の最高出力を280馬力に抑えるよう要請したのが始まりです。以後、国内メーカーは280馬力を上限とした自主規制を行うようになりました。
海外にはこのような規制は存在しないため、メーカーは国内仕様と輸出仕様を造り分けなければならず、開発コストの増加を招くことになりました。また一方では輸入車にはこの自主規制が適用されなかったため、高級車を中心に国内市場競争力での低下を懸念する声も上がるようになりました。
そんな自主規制が撤廃されたのは2004年のこと。規制の大義名分であった交通事故死者数が21世紀に入って減少を続けていることや国際競争力の強化を理由に、自動車工業会が国土交通省に申し出たのがきっかけでした。そしてその適合1号車がレジェンドだったのです。423馬力のレクサスIS Fが発売されたのは2007年12月、480馬力の日産GT-Rもほぼ同時に発売されました。ちなみに2006年1月まで生産された初代NSXは、最後まで280psを超えることはありませんでした。