ついにレクサスの牙城が崩れるか?
ポイントを重ねるごとにウェイト増と燃料流量制限でハンディがキツクなるGT500クラスのレギュレーションが、これまで手の付けられなかった速さのレクサス勢を苦しめる。その間隙を突いたのが今回からGTAにより最低重量を15kg削減されたNSX-GT勢。その中でも100号車RAYBRIG NSX-GTは練習走行から予選を通した全てのセッションでトップタイムをたたき出しポールポジションを獲得した。意外な事に山本尚貴にとってこれがスーパーGTでの初ポール。2番手には前回富士での23号車に換わり46号車S Road CRAFTSPORTS GT-R、本山哲が意地を見せる。
序盤に逃げたいポールNSX-GT
300km65周の決勝レースがスタートすると、100号車NSX-GTがハイペースで逃げ差を広げにかかる。しかし5周目、GT300マシン等の多重クラッシュによりSCが導入。14周目に再スタートとなるが、路面のタイヤカスなどの影響により100号車と2番手46号車の差はさほど広がらない。そうこうしているうちに、46号車の背後から1号車DENSO KOBERUCO SARD、36号車au TOM'S の2台のLC500が忍び寄ってくる。
レクサスvsレクサス、因縁のバトル
46号車GT-Rを抜いた2台のレクサス、1号車と36号車は次第にトップの100号車NSXを追い詰めていく。33周が終了し100号車がピットインすると同時に1号車もピットに。素早いピット作業で送り出された1号車LC500が100号車の前でコースに戻る。2周後、36号車LC500はさらに早いピットストップで1号車の前へ、これでトップ3台は36号車、1号車、100号車の順へと変わる。
ここでトップ争いが過熱、前戦の富士に続き再び36号車 中嶋一貴と1号車 平手晃平、レクサスvsレクサスが火花を散らす。そして51周目に両車はまたもや接触、36号車は事なきを得てコースに戻るが1号車はスピンしコースアウト。さらにはコースに戻ろうとした1号車にGT300マシンが追突、1号車はリタイアとなってしまう。
最後尾から追い上げるNSX-GT
予選でのクラッシュ、最後尾スタートとなった17号車KEIHIN NSX-GTだが、序盤のSC導入によりポジションを回復。ピットアウト時には5番手まで順位を上げ、ついには100号車NSX-GTまでも捉え2番手にポジションアップ。一方3番手となった100号車NSXは、背後の46号車に激しく攻め立てられる。ラスト3周、ついに前に出られたかと思いきやイエローフラッグに助けられポジションをキープ。レースはそのままトップ36号車、2位17号車、3位100号車の順でチェッカー。
レクサス3連勝、だが...
開幕3連勝となったレクサス陣営だが、今回は冒頭に「辛うじて」と付け加えなければなるまい。2-3位にNSX-GT、4-5位には46号車、23号車のGT-Rがすぐ背後に迫って来たからだ。もちろんハンディウェイトというレギュレーションもあるが、少々やり過ぎた感のあるレクサス同士のバトル、いつ足元をすくわれてもおかしくない状況と言ってよいだろう。特に1号車と36号車の接触は今後に遺恨を残しかねない。ファンを魅了するパッシングシーンは、それがクリーンなものであればこそ。次戦菅生より富士、鈴鹿と「真夏の3連戦」が開幕するが、熱くクールなレースを期待したい。
(PHOTO:井上雅行)