BMW 4シリーズがフェイスリフトし、エレガントさを重視した4シリーズの最新カブリオレモデルにミュンヘン近郊での国際試乗会で乗ることができた。ただし試乗時は、みぞれから雪という天候と寒さでトップを開けることは叶わなかった。(後編)前編を見逃した方はこちらから→http://web.motormagazine.co.jp/_ct/17093661
文:佐藤久実/写真:BMW ジャパン

BMW 430i カブリオレのシャシは変更なしながら熟成が進んだ実際の乗り味

デザインコンシャスとはいえ、もちろん、4シリーズもBMWらしい「駆けぬける歓び」を備える。3シリーズに対してワイドトレッド化されて車高も低く、重心高も40mm低いと聞くだけでも、ハンドリングへのこだわりがわかる。ロングホイールベース、フロントエンジン/リア駆動、前後重量配分50:50というBMWならではの要素を揃えるが、あえて発表当初から“デザイン”をアピールしたのだ。そのおかげで、デザイン感度が高いユーザーに受け入れられているのだから、この戦略は見事に成功しているといえる。

画像: 4シリーズカブリオレ(クーペも)のリアビューはLEDリアライト採用、バンパー下部のエプロン形状が変更された。

4シリーズカブリオレ(クーペも)のリアビューはLEDリアライト採用、バンパー下部のエプロン形状が変更された。

今回、クーペとグランクーペはシャシも改善されている。ダンパーの減衰力変更により、乗り心地を損なうことなくハンドリングの向上を狙ったとのこと。しかし、カブリオレは“速さ”を求めるユーザーは少ないとの理由から、シャシの変更はないという。それならクーペに乗りたかったなと思いながら走ると、あれ? ステアフィールが違う。軽さと手応えのバランスが良く、スムーズなフィーリングだ。そして、ブレーキのタッチも良い。ダイナミックな走り以上に、日常域で実感できる質感の向上があり、むしろカブリオレオーナーにとってはベネフィットが大きい。そもそも、十分なダイナミック性能は持ち合わせているわけで。

最新の4気筒ターボエンジンも豊かなトルクがあり、速さよりもゆとりを求めるカブリオレのキャラクターにマッチしている。この乗り心地と心地よいエンジン特性で、のんびりとツーリングを満喫できた。

ところで、試乗会の2週間前にドイツを訪れた際は暖かく、すっかり春だったのに今回、4月半ばを過ぎたミュンヘンではみぞれが舞っていた。そして寒いのだ。残念ながら、まったく持ってオープン日和とは言い難い状況だった。そして試乗コースは、ミュンヘンからオーストリアのザルツブルク方面に向かうもの。どんどん標高が高くなるに連れて、外気温度計の数字も見る見るうちに低くなり、ついにはマイナス6℃に。

結局、最後までトップを開けることはなかった。しかし、クローズドでは静粛性が高く、オープンを感じさせない高い快適性を確認できた。オープンカーは、常にオープンにして走るわけではなく、実はクローズド性能が、とても大事なのである。

BMW 430i カブリオレ 主要諸元(EU準拠)

●サイズ:4640×1825×1384mm ●ホイールベース:2810mm ●車両重量:1785kg ●エンジン:直4 DOHCターボ・1998cc ●エンジン最高出力:185kW(252ps)/5200rpm ●最大トルク:350Nm/1450-4800rpm ●駆動方式:FR ●トランスミッション:8速AT

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