最近のフォルクスワーゲン車は、質実剛健な伝統を受け継ぎながらも、洗練されたデザインが光る。その極みとも言えるのが“アルテオン”。GTとしての才覚も、フラッグシップにふさわしい仕上がりだ。(前編)
文:竹花寿実(Kimura Office)/写真:Kimura Office、Volkswagen AG

フォルクスワーゲン アルテオンは「大衆車」のイメージを払拭するスタイルと走り

2016年11月に生産が終了した“CC”に代わり、フォルクスワーゲンブランドの新たなフラッグシップとなるアルテオンが、いよいよ欧州で発売された。

現行パサートとメカニズムの多くを共有するが、一見すると4ドアクーペに見える。だが、実際にはリアに大きな開口部を持つ5ドアのハッチバッククーペで同社はこの形を「ファストバック」と呼んでいる。

画像: フォルクスワーゲン アルテオンは「大衆車」のイメージを払拭するスタイルと走り

試乗会の舞台となったドイツ ハノーファーの空港駐車場に並べられたアルテオンの存在感は、なかなか強い。全長4862mm、全幅1871mm、全高1450mmのボディは、従来のCCに対して60mm長く、16mm幅広く、33mm背が高くなっているという。しかしデザイン的押し出しが強いためだろうか、数値以上により大きく感じられる。

基本的にエクステリアデザインは、2015年3月にジュネーブショーで公開されたスタディ「スポーツ コンセプトクーペGTE」を、ほぼ継承している。フロントグリルからヘッドライトまでの大きなU字型によって一体感が際立つフロントマスクや、ピシッと折り目の立ったシャープなプレスライン、そして低く滑らかなアーチを描くルーフラインとボリューム感のある前後フェンダーのバランスは、実に巧みだ。スポーティネスとエレガンスを高い次元で併せ持つ個性的なルックスに仕上がっている、と言っていい。

専用デザインのインテリアも、上質な仕上がりだ。アクティブインフォディスプレイやヘッドアップディスプレイなど、ハイテク感も満載。パネル類がとても精緻に仕立てられていて、これなら確かにフォルクスワーゲン発のプレミアムカーにふさわしい。

ラゲッジルーム容量は、通常時で563L、最大で1557Lまで拡大される。開口部がとても広く、実用性も非常に優れている。
(後編へ続く)

フォルクスワーゲン アルテオン 2.0 TSI 4モーション主要諸元(EU準拠)

●サイズ:全長4862×全幅1871×全高1450mm ●ホイールベース:2837mm ●車両重量:1716kg ●エンジン:直列4気筒 DOHC・1984cc ●エンジン最高出力:206kW(280ps)/5100-6500rpm ●最大トルク:350Nm/1700-5600rpm ●駆動方式:4WD ●トランスミッション:7速DCT

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