1月31日〜2月1日、北海道・旭川市にある横浜ゴムの冬用テストコース、北海道タイヤテストセンター(TTCH)で「2018年スタッドレスタイヤ勉強会」開催された。座学から、実際にハンドルを握っての試走まで、有意義な2日間だった。

ヨコハマの北海道タイヤテストセンター(TTCH)で開催

自動車メディア向けの「スタッドレスタイヤ勉強会」が今年も北海道・旭川で開催された。横浜ゴムはほぼ毎年、こうした勉強会を開催してくれる。タイヤ担当/タイヤ好きにとっては非常にありがたいイベントだ。

開催されたのは、ヨコハマの冬用タイヤテストコース、北海道タイヤテストセンター(TTCH)。TTCHはTire Test Center of Hokkaidoの略で、2015年12月に開業した新しい施設。元はといえば旭川競馬場があった場所で、東京ドーム19倍以上という90万平米の広大なコース。従来ヨコハマ冬用タイヤ開発拠点だった「T*MARY」と比較すると4.7倍という敷地面積を誇る。

今年は屋内氷盤試験場も開設され、試験環境もより充実してきている。

画像: 風や温度などの天候変化が少ないのが屋内氷盤路のメリット。屋外で行われていたときに比べ「データのギャップが少ないです」「安定してデータを取ることができます」「今後、開発の速度はものすごく早くなるはずです」とのこと。

風や温度などの天候変化が少ないのが屋内氷盤路のメリット。屋外で行われていたときに比べ「データのギャップが少ないです」「安定してデータを取ることができます」「今後、開発の速度はものすごく早くなるはずです」とのこと。

画像: 横浜ゴムTTCH屋内試験場。当日はTB用(トラック/バス用)タイヤのテスト風景も見ることができた。 youtu.be

横浜ゴムTTCH屋内試験場。当日はTB用(トラック/バス用)タイヤのテスト風景も見ることができた。

youtu.be

横浜ゴムの最新スタッドレス「iceGUARD 6」

ヨコハマの最新スタッドレスタイヤはiceGUARD 6(アイスガードシックス)だ。このモデルの発売は2017年9月。だから、この冬が登場して最初のシーズンとなる。

リンク先の上記記事でも書いたのだが、新しいスタッドレスタイヤが登場し、それを試走するたびに「もうこれ以上、アイス性能は向上しないんじゃないか」なんて毎回、必ず思ったりするのだが、数年後(3〜4年後くらい)、また新しいスタッドレスが登場しそれを試走すると、必ず、劇的に進化している。これ、「必ず」なのだ。

ではなぜ、「必ず」「劇的に」進化するのか。今回の勉強会は、その理由がわかるプログラムが用意されていた。

1:パターンの進化を見る。

まずは、トレッドパターンの進化ぶりを試すプログラムから。●先代アイスガード5プラス(iG50+)と、●最新アイスガード6(iG60)のパターンにiG50+のゴムを搭載したスペシャルタイヤ、をそれぞれに履いたプリウス(195/65R15)を用意、圧雪路をスラローム走行/氷盤路でブレーキングする…というものだ。

画像: 左が先代アイスガード5プラスのトレッドパターン、右がアイスガード6。細かく見ていくとかなり違いがある。

左が先代アイスガード5プラスのトレッドパターン、右がアイスガード6。細かく見ていくとかなり違いがある。

ゴムはまったく同じものだから、2つのタイヤの違いはパターンでしかない。クルマもサイズも同じだから、スラロームを走ってフィーリングや性能に違いが出るとすれば、それはパターンに起因する。

まずはiG50+を圧雪路で走行。そのときに取った自分のメモによると「ハンドリング悪くない。アンダー出る。限界がわかりにくい。」とある。

続いては、最新iG60パターン&iG50+のゴム、のスペシャルタイヤ。「切り始めの応答が良い。お尻流れてもアクセルオフで戻りが早くコントロール性が良い。横グリップよりも前後のほうが分かりやすい」という印象。これは、個人的な印象だが、発進性もコーナリングも、ほとんど最新iG60パターンのフィーリングが上回った。

氷盤路に移ってブレーキング比較も行う。目算では、30→0km/hの制動距離で、iG50+が24m前後、iG60パターンは22m前後と、何度試走しても差が出た。

最新アイスガード6の主査である、横浜ゴムの岸添 勇さんが説明してくれたところによると、iG50+比では「溝+サイプ」のエッジは24%増、凝着摩擦が増す接地は8%増加しているという。2つのタイヤのフィーリングの差は、このパターンの進化に起因していた。

画像: 1:パターンの進化を見る。
画像: ゴムは2台まったく同じ、タイヤサイズも同じなので、この制動距離の差はパターンのみの違いなのがわかる。

ゴムは2台まったく同じ、タイヤサイズも同じなので、この制動距離の差はパターンのみの違いなのがわかる。

2:コンパウンドの進化を見る。


続いて試したのは、スリックタイヤでの比較。一方には●最新アイスガード6(iG60)のゴムを用い、もう一方は●ウインタータイヤ用ゴムを使用したタイヤだ。タイヤサイズは195/65R15。プリウスに装着して圧雪スラロームを試走する。

画像: 完全なるスリックタイヤ。溝がなくて本当に雪道を走れるのか!? それが走れちゃうんですね。

完全なるスリックタイヤ。溝がなくて本当に雪道を走れるのか!? それが走れちゃうんですね。

画像: アイスガード6のゴムを使ったものと、ウインタータイヤ用ゴムを使ったもの。見た目は色もカタチも匂いも同じ。

アイスガード6のゴムを使ったものと、ウインタータイヤ用ゴムを使ったもの。見た目は色もカタチも匂いも同じ。

画像: 雪道もちゃんと走ります。

雪道もちゃんと走ります。

見た目は、まるで変わらない「黒くて円いゴム」だ。パターンがないので、その差はゴムだけ、ということになる。どちらのタイヤも見た感じ、スノー路面で曲がれるようには思えないのだが、これでも圧雪路で「曲がり」、アイス路面で「止まる」。

それでもメモによると、ウインタータイヤ用ゴムの方は「スラローム18km/hくらいから横滑る。切り込んでいくとハンドルにジャダーを感じる。ブレーキを踏んでからワンテンポ遅れて減速感がくる」、iG60ゴムの方は「スラロームで横滑りが始まるのは24km/hくらい。発進加速は良い。ブレーキ操作に対してはリニアに制動感がやってくる」ということで、やはりiG60ゴムの良さが体感できた。

画像: 氷盤路での比較。スリックタイヤでもちゃんと止まる。

氷盤路での比較。スリックタイヤでもちゃんと止まる。

画像: 試走したあと、自分の書いたタイヤ評価のメモを横浜ゴムの担当者と答え合わせ。なぜそういうフィーリングの違いが出るのか、丁寧に教えてもらう。

試走したあと、自分の書いたタイヤ評価のメモを横浜ゴムの担当者と答え合わせ。なぜそういうフィーリングの違いが出るのか、丁寧に教えてもらう。

画像: これは、横浜ゴムのテストドライバーの評価。

これは、横浜ゴムのテストドライバーの評価。

背反する性能をどう両立したのか?

アイスガード6は「氷に効く」、「永く効く」、「燃費に効く」の基本コンセプトに加え、第 4のベネフィットとしてウエット性能(「ウエットに効く」)を新たに追加している。でもこの「ウエット性能」と「アイス性能」は、じつは背反する関係にある。どちらかの性能を上げればどちらかが下がる、そんな関係だ。

これをどのように克服したのか。それはシリカ技術にある。シリカを大幅に増量することで、凝着摩擦を向上させることに成功したのだ。ただし、簡単に「シリカ増量」ができるものではない。シリカはカーボンブラックに比べるとゴムの中でダマ(塊)になりやすく、それを均一に分散させることが必要になる。

ダマになりやすいのは、シリカが親水性、カーボンブラックが親油性という、まさしく「水と油」の関係にあることが原因。それを均一に分散させるには?…これも今回のイベントで勉強してきたので、「その3:座学編」にてレポートします。

画像: 横浜ゴムの最新スタッドレスタイヤ、iceGUARD 6(アイスガード シックス)。

横浜ゴムの最新スタッドレスタイヤ、iceGUARD 6(アイスガード シックス)。

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