期待どおりの動力性能の高さ
2000年に発表された初代X5から始まったBMWのSUVラインナップ戦略。4月16日にX2が披露され、さらにコンセプトモデルとしてではあるものの、アッパーエンドを受け持つX7の姿も公になった現在、「X」の文字が与えられるこのカテゴリーのフルラインナップ化も、いよいよその完成が間近だ。
もっとも「駆けぬける歓び」というフレーズを“社是”のごとく掲げるこのブランドの場合、自身の作品がいわゆるSUVとは認めていない。航空機用エンジンに端を発する歴史の持ち主であるこのブランドが謳うのは「SAV」なる見慣れぬ記号。自らが世に送り出すのはSport UtilityVehicle ではなく、あくまでも“SportActivity Vehicle”というメッセージがそこには込められている。
そんな数あるSAVの中でも、重要なポジションを占めるのが、X5に続いて初代モデルが2003年に発表されたX3。ここに紹介するのはその3代目となるモデルだ。発表は2017年秋に開催されたフランクフルト国際モーターショーで、同年末には日本でのデリバリーも開始されている。
本国ではガソリン、ディーゼルエンジンともに6気筒バージョンの設定もあるものの、日本に導入されるのはいずれも2Lのガソリン、ディーゼルのターボ付き4気筒エンジン車のみ。
とくにガソリンモデルには最高360psを発する強力エンジンを搭載したバージョンも新設定されているだけに、まさに駆けぬける歓びを味わわせてくれるそうしたモデルが日本には導入されないのは残念なところだ。
その一方で、それでは日本仕様の走りに不満があるかというと、そうした印象は抱かないのもまた事実。とくにスタートの一瞬にこそわずかに“重さ”を意識させられるものの、そこを過ぎれば低回転域からすこぶる太いトルクを発揮してくれるディーゼルエンジン搭載モデルの動力性能は、良く出来た8速ATとのコンビネーションとも相まって、期待していた以上だった。
ランフラットタイヤを装着するものの、それによる快適性へのマイナス面は最小限である一方で、ハンドリングの自在度の高さは「さすがはBMWの作品」と納得できる。結局のところ、見栄えよりも走りで勝負」と改めてそう認識をさせられる、BMW発の最新Xモデルだ。(文:河村康彦)
主要諸元 <BMW X3 xDrive20d Mスポーツ>
全長×全幅×全高=4720×1890×1675mm ホイールベース=2865mm車両重量=1860kg エンジン=直4DOHC ディーゼルターボ1995cc 最高出力=140kW(190ps)/4000rpm 最大トルク=400Nm(40.8kgm)/1750-2500rpm トランスミッション=8速AT 駆動方式=4WD JC08モード燃費=17.0km/L タイヤサイズ=245/50R19 車両価格=7,100,000円