6月7〜10日、全日本ラリー選手権 第5戦「モントレー2018」に、モータージャーナリスト・タレントの竹岡圭が参戦した。彼女にとって全日本ラリー2年目の初めてのラリーとなったが、やはり初めてのマシンということもあり、波瀾万丈のスタートとなったようだ。今回のレポートは、圭 rally project通信から抜粋してお届けする。

◆6月7日 快晴

画像: 浅間サーキットでの練習走行。

浅間サーキットでの練習走行。

「ううっ⁈ ナニコレ? もしや食あたりか?」前夜、京都から帰る新幹線内で食べたサンドウィッチが原因なのか? 夜中の3時から苦しみつつ、なんとか這いあがり支度をし、佐竹さんを都内のホテル前でピックアップすることになってしまった私。2018年圭rally projectの初戦だというのになんてこったぁ~…、という感じのスタートとなってしまいましたが、なんとかかんとか一路パルコール嬬恋へ。

この日は、人によっては懐かしの、日本最古のモータースポーツ場とも言われる浅間サーキットで、特設練習走行会枠というのが設けられていたんですね。モントレー戦が3年がかりで悲願のグラベルラリーとして開催されるということで、このような練習時間が設けられていたようです(昨年はありませんでした)。ジュリエッタのモモちゃん(コ・ドライバーの佐竹さんがモモちゃんと命名しました)にとっては、生まれて初めてのダート路面。ここでとにかくブレーキのテストをする必要があったんです。

そもそもジュリエッタはタイヤ&ホイールの設定が17インチからなのです。というわけで、それに合わせたサイズのブレーキが装着されています。となると…、ご想像いただけると思いますが15インチタイヤ用のブレーキは入らないんですよ。ブレーキは現在検討改良中ですが、なにぶんすべてが時間のない中での準備だったため間に合わず…。急遽、ベーシックグレードに装着されている、いちばん小さなサイズのブレーキを装着しようということになりました。

ところが! ナント、日本に部品の在庫がなかったっ! 航空便で取り寄せても1週間は掛かります…とのお返事。それじゃ間に合わないっ!というわけで、マイナーチェンジ前のベーシックグレードの小さめのブレーキがついたクルマを探すしかないっ! でもそんなタイミングよく……あるわけ……。あるわけ……。あったんですね! 「ナント昨日そのグレードの中古車が入ってきたんですよ~!」という情報が! なんというタイミング! いやはや私はやっぱりツイてるみたいです~。 

ちなみに、昨年のアバルト500ラリーR3Tのブレーキパッドで、さんざん苦労させられたウィンマックスさんは、私の好みを一発で当て、バッチリのものを作ってきてくださったのですが…。急遽間に合わせのブレーキシステムのため、マスターバックとのマッチングまでは間に合わないので、踏むたびに微妙にフィーリングが違ったりして…。今回はかなり余裕を持ってブレーキングしてコースを走ることに心を決めました。

そんなわけで、とりあえずブレーキの確認をした浅間サーキットで5周したところ「今日はストップ!」と大田尾チーフメカがコール。予定よりずいぶん短くない?と思ったのですが、外から見てもわかるくらいクルマの動きがおかしくなってきていたそうなんです。実は東京から軽井沢に向かう途中で、異音がし始めて、それがどんどん音が大きくなってきてはおりまして、往路の途中でも大田尾チーフメカニックに経過報告はしておりました。サービスパークへと到着した途端見てもらいまして、とりあえず応急処置を施して浅間サーキットへと向かったのですが…。ううむ、これっていったいどうなっちゃうんだろう…。

画像: コ・ドライバーは昨年から引き続き佐竹尚子さん。

コ・ドライバーは昨年から引き続き佐竹尚子さん。

画像: ブレーキはウィンマックスがサポート。

ブレーキはウィンマックスがサポート。

◆6月8日 快晴

画像: ◆6月8日 快晴

朝早くからレッキへGO。今回のレッキは主催者が用意してくださるレンタカーで行うので、その間にモモちゃん不調の原因追及です。レッキから戻ると、超早朝からサービスパークで足回りをバラして確認してくださった大田尾チーフメカから「あのね…。今回はとにかく完走しよう!」とのお話。車検は無事通過したそうですが、これって~そういうことよね? と、不安的中となってしまいました。モモちゃん、足回りの取り付け方法がこれまた特殊なんですよね。そしてモモちゃんの靴は、懸案のヤフオク!ホイールですし…。こうなったら、YOKOHAMAタイヤさんのドライバーへのインフォメーション性の良さを頼りに走るしかない感じ。

さらに、今回はレッキのスケジュールがキツく、なんとほぼ全部の参加者がSSのすべてを2周ずつ走ることはできなかったんです。私たちもなんとか1周ずつは走ったものの、まだまだ私のペースノート作りは超ダメダメレベル。コースチェックのための安心保険として、SSを撮影していたビデオも上手く動かなかったので見返すことも不可能。こういう時って、なぜかすべてが重なるもんなんですよねぇ。

とまぁ、すでに不安しかなくない⁈ という状況ではありましたが、こうなったら人間開き直れるもんです。夕方に翌日のスーパーSSの逆走のシェイクダウンがあったので、そこで気を取り直してのテスト。とりあえずクルマがバラバラになるような事態にはならないことがわかったので、今回はとにかく完走してデータ取りしよう! くらいのイメージで走ろうと、開き直れました。
そして、ここでもうひとつわかったこと。ジムカーナのようなコースをいわゆるセオリー通りに走るのは、モモちゃんとっても苦手みたい。一度スピードが落ちちゃうと、車両重量は重いし、エンジンはふけないし…。かなりツライということがわかりました。これ、実は翌日さらに痛感することになるんですけどね…。

でもいいこともありました! 先日スポーツランド山梨にてシェイクダウンさせていただいた時に、トランスミッションの変速スピードが遅かったので、それをカバーするためのオイルをMoty'sさんが作ってくださったのですが、これが当たり! 少しではありますが変速スピードが速くなりました。オイルで変速スピードが変わるなんて、ちょっと感動でした! 

◆6月9日<DAY1> 晴れ時々曇り

画像1: ◆6月9日<DAY1> 晴れ時々曇り

DAY1。ここ数年雨の大会となってしまったモントレーですが、晴れてるじゃん!ということで晴れ女の私は気分は上々~。昨年のアバルト500と比べると、全高が低く、トレッドが広く、ホイールベースが長いモモちゃんは、グラベル路面でも動きが安定。かなり安心して走れる感じです。ネックは重量。モモちゃんはJN6のインプレッサとほぼ同じボディサイズで、ほぼ同じ重量なのにもかかわらず、エンジンはコンパクトな上にFFなんですよ。インプレッサはエンジンはパワフルだしAWDですからね…。この差がどうしても立ち上がりに効いてきちゃう…。

さらに、ターボ車はリストリクター(吸入制限装置)を装着しなければならないという規則があるのですが、このおかげで賢いモモちゃんは「これは何かおかしいゾ?」と判断して、突然ガス欠のようにパワーを絞るんですよね。最近のクルマはコンピューター制御が優れていて、すべて安全性重視方向に作動しますからね…。

特にSSの急な上り坂でアクセル全開!なんていう時にその症状が顔を出します。そのたびに「モモちゃん、頑張って!」と声を掛けながら走る始末。さらなるトコトコ走りになりましたが、なんとか無傷でDAY1を終えることができました。しかし、最後の方のSSは霧でまったく前が見えない状態。かなり怖かったですね…。こんな見えない状況の中、皆さんどうやって走っているのかしらん?

画像2: ◆6月9日<DAY1> 晴れ時々曇り
画像3: ◆6月9日<DAY1> 晴れ時々曇り

◆6月10日<DAY2> 曇り時々小雨。そして濃霧。

画像1: ◆6月10日<DAY2> 曇り時々小雨。そして濃霧。
画像2: ◆6月10日<DAY2> 曇り時々小雨。そして濃霧。

一夜明けたら外は真っ白。特にサービスパークの濃霧はひどいありさま。これが一日中続くこととなりました。スーパーSSなんて、入り口のパイロンさえ見えないくらいの濃霧(笑)。ビデオを見返したら「エッ?! ドコ~?」と叫んでいる私が映っておりました(笑)。サービスパーク以外は、ここまでヒドイ濃霧ではなかったものの、霧での視界対策は今度また作戦を練りたいと思います。

まぁそんなこんなんで満身創痍で大変だったモントレー2018なのですが、とりあえずは無傷で完走することができました(JN4クラス全12台中10位)。完走した中では最下位ということで、これはひとつ考え方を変える必要がありそうです。モモちゃんの基本的性格はたぶん変わらないので、さまざまな方にご協力いただきつつ改良は重ねて参りますが、根本的には私の走り方を変えるしかない。いかにスピードを落としきらずに走るか…。まずはここを考えつつ走り方を工夫してみたいと思います。

そもそも長年サーキットを走ってきたせいで、久しぶりのラリーということもあり、すっかりまたサーキット走りになってしまっていたのを自分でも痛感しましたので、ラリー走りに頭を切り替えつつ、モモちゃんに合わせて走り方を探りつつ、精進していきたいと思います。

もしモモちゃんを速く走らせることができれば、最近の安全装備満載で重量も重めで、ダウンサイジングターボエンジンで、2ペダルという最近のクルマ、すべてに通じるものがあるハズ。きっと一般ユーザーの方のお役にも立てると思っています。

新しい時代のモータースポーツへのチャレンジ方法として、有意義に捉えて挑戦を続けて参りますので、皆さま応援よろしくお願い致します! とはいえ…。次戦、北海道「ARK カムイ」への出発まで、すでに1週間を切っているので、本番でトライになる可能性大ですが、頑張ってきますね!

「いくつになってもチャレンジはできる! 眠れなくなるほどの大きな夢を、竹岡圭と一緒にみてくださいね~!」

■参戦予定大会

Alfa Romeo GIULIETTA(アルファ ロメオ ジュリエッタ)
全日本ラリー選手権2018
◆ Rd.6 2018 年6 月29 日 – 7 月1 日 2018 Sammy ARKラリー・カムイ (北海道)
◆ Rd.8 2018 年9 月14 – 16 日 RALLYHOKKAIDO (北海道)
◆ Rd.10 2018 年11 月2 – 4 日 新城ラリー2018 (愛知)

■参戦を検討中

Rd.9 2018年10月12―14日 M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2018(岐阜)

モントレー2018 JN4クラス 10位/12台
2018年6月7~10日
エントラント:圭rally project
ドライバー:竹岡圭 コ・ドライバー:佐竹尚子
マシン:アルファロメオ・ジュリエッタ

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