6月14日、ドイツ・コンチネンタルAGタイヤ部門のプレジデントであるニコライ・ゼッツァー氏が来日、そこでコンチネンタルタイヤのグローバル戦略と「ビジョン2025」についての説明会が行われた。
コンチネンタル社とは?
まず、コンチネンタルとはどんな会社なのか、その説明からしよう。
日本で「コンチネンタル」といえば、まずはタイヤの印象が強いだろう。1871年に創業したコンチネンタルは、元はといえばゴム製品の会社として始まっているので、もちろんタイヤも有名だ。ブリヂストン/ミシュラン/グッドイヤーのいわゆる「ビッグ3」に続き、グローバルでは4位のシェアを誇っている。
ただし、コンチネンタル社全体としては、タイヤ部門の売り上げは26%でしかない。シャシ&セーフティ部門、パワートレーン部門、インテリア部門、そしてコンチテックと、タイヤだけでなく自動車の足回りを中心としたトータルの部品サプライヤーとして成長している。2017年の売上高は440億ユーロ、全世界の従業員数23万5000人と、世界3大自動車部品サプライヤーの1社(売上高1位:ボッシュ/2位:コンチネンタル/3位:デンソー)に数えられる。
今回、そんなコンチネンタル タイヤ部門のプレジデントで取締役会役員のニコライ・ゼッツァー氏が来日、タイヤ部門のグローバル戦略と「ビジョン2025」と呼ばれる中長期戦略について語った。
「ビジョン2025」とは?
ビジョン2025とはコンチネンタル タイヤ部門が掲げる長期目標。これは2025年までに「世界でトップ3に入るタイヤメーカーのひとつとなり」「最高の相互価値の創造と収益性をもたらし」「優れた性能とお客さまの望むソリューションを提供することでもっとも信頼できるパートナーとして認められるようになる」ということだ。
じつは2001年からこの「ビジョン2025」を掲げていて、2016年からは最終ステージの「ステージ3」になっている。
ゼッツァー氏によると、コンチネンタルは2010年時点では、売り上げ全体の74%がヨーロッパベースになっていて、とくにアジアパシフィック地域が弱かったという。ただ2011年には中国に工場を立ち上げ、また2019年に生産を開始予定の新工場をタイ国に建設、ヨーロッパだけではなくアメリカ地域、そしてアジアパシフィック地域でも業績を上げ、バランスを取っていきたいと語った。
今後のアジアパシフィック地域における取り組みとしては、まずマーケットを理解し、アジアパシフィック専売品を市場に導入するということを行っていくという。これは、具体的に言えば日本を含む現地のチームが製品開発チームに用件を伝え、ドイツ・ハノーバーで日本のニーズに合うタイヤを開発していくという。こうして生まれたタイヤのひとつが、先日試乗レポートを行ったマックス・コンタクトMC6となる。
記者発表会の席上で、ゼッツァー氏が強調していたのは「我々は『テクノロジーカンパニー』だ」ということだった。
「我々は常に新しいテクノロジーに投資していき、大きな価値を提供していくというほかにない。2年前にも高性能技術センターを作ったし、最新鋭の試験装置も導入している。我々の価値というのは、言うまでもなく技術です」という。
コンチネンタルは自動車部品サプライヤーとして、タイヤだけでなくブレーキや制御系など、さまざまなノウハウを持つ唯一のブランドでもある。だから、今後の自動車のムーブメントの変化(たとえばEV、たとえばカーシェアリング)にも適切に対応できる商品を素早く開発するチカラがある。タイヤでセンシングしてビッグデータを取得する、ということも、遠い夢物語ではなくなっている。
グッドイヤーやミシュランなど、ほかの海外ブランドに比べて日本への参入が遅かったコンチネンタルだから、知名度を含めてまだまだ課題が多いというが、その圧倒的な技術力をもって、今後コンチネンタルのタイヤは、日本のユーザーにも加速度的に認められていくような気もしている。