1970年代、80年代の街道レーサーのルーツにもなったと言われる、ツーリングカーレースに参戦していたマシンたち。クルマ好きは、これらを「ハコ」と呼んで愛した。第5回目となる今回紹介するのは、スーパーシルエットレースの後に一世を風靡したJSSに参戦したマシンたちだ。
市販車のイメージそのままに疾走
1980年代、富士GC(グランチャンピオン)シリーズのサポートレースとして大いに人気を博したのが、スーパーシルエット(SS)レースだ。
日産からは、シルビア(星野一義選手)、スカイラインRS(長谷見昌弘選手)、そしてブルーバード(柳田春人選手)の3台が参戦し、メインレース以上に人気を集めていたと言ってもいいかも知れない。
そんなスーパーシルエットの後を引き継ぐ形で企画されたのが、JSS(ジャパン・スーパースポーツ・セダン)レースだった。レギュレーションでは市販車両の基本構造やメカニズムをベースとしなければならなかったが、広範なチューニングを認めることでスピード感あるレースを意図した。
エンジン排気量は、DOHCは3500ccまで、SOHCは4000ccまで、ロータリーはレシプロ換算3000ccまでという制限が設けられたが、主力となったのは日産車ではスカイライン(DR30、HR31)、シルビア(S12/13)が2L DOHCターボ、他にはマツダのFC3S型RX-7やトヨタのMZ11型初代ソアラなどが参戦していた。
日産車ではパワーは350〜400psレベルで、プライベートチューナーの技術較べの場として活用された。レース自体は1993年まで開催されたが、シリーズとしては1991年が最終年となった。市販車そのままのイメージで疾走するマシンはそれなりに注目を集めたが、スーパーシルエットほどの盛り上がりは見せなかったというのも事実だろう。(文:大内明彦)