識線と呼ばれるが、知って得するメリットは、実はあんまりない
新品タイヤのトレッド面に、緑色や黄色などの「線」が何本も描かれているのを見たことはないだろうか。これは、製造工場における工程でつけられるもので「識線」と呼ばれている。
ナイロンやレーヨンなどの繊維でできたカーカスに、ゴムを染み込ませたタイヤの骨格。この上に、帯状のトレッドゴム(トレッドコンパウンドとも呼ばれる)をタイヤ1周分の長さに切って貼っていく。
このとき、本来貼るべきトレッドゴムを、作業員が取り違えないように識別するための目印である。だから“識”線だ。
これは製造工程で必要なものであり、逆に完成したタイヤには不要なものだ。しかし、出来上がってから削ったり、薬剤などを使って消すのも面倒(?)だし、コストもかかるからそのまま市場に流通させているのだ。
そこで、この識線で何がわかるのか、ユーザーメリットがないか考えてみた。ところが、大したものは思い浮かばない。
この線がはっきり残っているのは新品タイヤの証拠でもあるが、はじめからまったくないタイヤもたくさんある。だから、識線がないからといって古いタイヤとは決め付けられないのだ。
ひとつ思いついたのは、製品のユニフォミティ(均一性)を確認することくらいだ。トレッドゴムは1周巻くように貼られているわけで、そのはじまりと終わりがある。識線が少し途切れている場所がそこだ。
その部分で、もし識線が曲がってたらユニフォミティの良くない、振動の出やすいタイヤかもしれない。トレッドゴムを貼る作業員が初心者だったか、あるいは単純にミスをした可能性も考えられる。
そうはいっても、タイヤは完成品になってから出荷するまでの間に全数検査をしているから、こんな商品が市場に流通することは考えにくい。激安タイヤであれば、そういう意味でチェックした方が良いかもしれない。