2018年に発表されたBMW i8ロードスター。先進的なスポーツカーであり、電動化を取り入れたプラグインハイブリッドであり、ファブリック製ソフトトップを採用するオープンモデルでもある。その魅力はどのようなものだろう。(Motor Magazine 2019年1月号より)
Mモデルと面白いほど対照的な心地よさと速さ
BMWの3つ目のサブブランド「i」は、サスティナブルなクルマ社会を目指したもので、車両そのものだけでなく、生産工場で使うエネルギーは工場敷地内の風力発電によりまかなわれていたり、クルマに使われる素材の95%がリサイクル可能など、徹底している。もちろん、車両も軽量化や電動化を積極的に取り入れる。
カーボンファイバー製パッセンジャーセルを初めて量産化したのもi8だ。これによりスチールボディより最大で50%の軽量化を実現している。フロントアクスルに配置された電気モーターでフロントを駆動。ミッドに搭載された1.5L直3ターボエンジンによりリアを駆動する4WDだ。
i8ロードスターのエクステリアは、ルーフ以外クーペと同じだ。クーペの登場以来、久しぶりにi8と対面したが、(ロードスターは初めてだが)改めて見ても、そのスタイリングは未来的で斬新、そしてカッコ良い。
さっそく乗り込むと、ドライブフィールはMモデルと面白いほど対照的だ。キーンというわずかに電気的な音を立てながらも静粛の中、加速していく。
コンパクトなパワートレーンだが、最高出力374ps、最大トルク570Nmを発生する。そして、電気モーターは一気に最大トルクを発生する特性、さらに車両重量は1650kgと軽量なので、0→100km/h加速をわずか4.6秒で駆け抜ける俊足だ。
もちろん、「速さ」も十分だが、それ以上に「軽さ」が印象的だ。コーナーでもシュンシュンと小気味よく軽快に駆け抜ける。ソリッドな感じなのに、乗り心地も快適だ。
i8ロードスターは、3層のファブリック製ソフトトップを採用する。そして、オープンにしても、運転席上まで覆われているため、100km/hの高速クルージングでさえ、風の巻き込みがなく快適にこなしてしまう。これはかなりオープンにする機会が多くなりそうだ。
先進的なスポーツカーであり、電動化を取り入れたプラグインハイブリッド、そしてオープンモデルのロードスター、「ピュアオープンeモビリティ」のi8ロードスターは、最新技術満載のクルマで、新しモノ好きには垂涎の的であること間違いなしだ。(文:佐藤久実)
BMW i8 ロードスター 主要諸元
●全長×全幅×全高=4690×1940×1290mm
●ホイールベース=2800mm
●車両重量=1650kg
●パワートレーン=直3DOHCターボ+モーター
●エンジン排気量=1498cc
●エンジン最高出力=231ps/5800rpm
●エンジン最大トルク=320Nm/3700rpm
●モーター最高出力=142.8ps/4300rpm
●モーター最大トルク=250Nm/100-4100rpm
●トランスミッション=6速AT
●駆動方式=4WD
●車両価格=2231万円