優良運転者免許証(ゴールド免許証)の取得条件のひとつとなっている「無事故・無違反」には、言葉どおりではない意味がある。

なぜかややこしい、無事故・無違反の意味

およそ5年間の無事故無違反によって、ようやく手に入れることのできる優良運転者免許証…いわゆるゴールド免許。

有効期間が5年で、地元の警察署で更新手続きできるなど、いくつかのメリットがある。逆に、更新時くらいにしか利点を見出せないという意見もあるだろう。任意自動車保険のゴールド免許割引を受けられるが、保険会社によってはこの割引を設定していないこともあるからだ。

唯一の楽しみといえば、仕事場や仲間内で話題にのぼり一瞬だけドヤ顔できることくらいかもしれない。「違反切符? 見た記憶がございません」などと言って、周囲の反応を楽しむことができる。

とまあ、人によっては大きな意味のないゴールド免許でも、持っていない人はにしてみれば“取得したい”と思う気持ちは強いかも知れない。

ところでその取得条件はよく知られているとおり「約5年間の無事故・無違反」である。そのため、ペーパードライバーを除けば安全運転の証と言われるのも納得だ。

さて、この「無事故・無違反」という定義だが、言葉どおりの意味でないことを知っているだろうか。結論を先に、簡単に言い換えてしまうと「人身事故なし、交通違反の加点なし(※)」ということになる。

※交通違反の点数計算は減点方式ではなく、正確には累積方式。

大きな声で言えたことではないが、筆者自身がブルー免許のときに一時停止不停止による出会い頭の衝突事故を起こしたことがある。ところが、事故の翌年の更新でゴールド免許になったのだ。更新時、「事故を起こしたのになぜ」と運転者講習の指導員に質問していた。対する回答が、「物件(物損)事故は、事故にカウントされない」というものだったのだ。

画像: 物損事故のイメージ。

物損事故のイメージ。

そもそも「物損事故」とはクルマやガードレールなどのモノを対象にした交通事故のこと。基本的に行政処分(違反点数の加算)や刑事処分(罰金や懲役など)を負う責任が生じない(もちろん当て逃げや酒気帯びなどは例外)。

対して「人身事故」とは、相手方を負傷させ、事故とケガの因果関係を記した「医師の診断書」を警察で受理されると成立する。行政処分や刑事処分などを負う責任が発生する可能性もある。

筆者の事故ケースでは、幸い相手方にケガはなかったため物損事故として処理されていたのである。

さて、ゴールド免許のもうひとつの条件「無違反」は、言い換えると先に書いたとおり「交通違反の加点なし」ということ。加点なし=無違反ではないかと思うかもしれないが、実は“加点ゼロの違反”がいくつか存在する。免許証不携帯や警音器使用制限違反、泥はね運転などがこれにあたる。ただし、反則金は普通車で3,000〜6,000円とされているので財布には痛いダメージだろう。

優良運転者免許証……ゴールド免許の判断基準にはいまいち合点がいかない部分もあるが、いずれにしろハンドルを握ったからには大きな責任を負っていることを忘れてはいけない。免許証の色に関係なく、安全運転を心がけよう。

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画像: 違反点数の伴う駐車違反。

違反点数の伴う駐車違反。

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