【GOODYEAR】SUV用オールシーズンタイヤ「アシュアランスウェザーレディ」で、雪の残る上越まで約1000km走ってみた【こもだきよし】
youtu.beおさらい:そもそもオールシーズンタイヤって、なに?
一般的に、新車を買うと付いてくるのが「夏タイヤ」。そして、雪道を走るためのタイヤがスタッドレスという「冬タイヤ」だということはご存じだろう。
冬シーズン前になると「夏タイヤ」から「冬タイヤ」に履き替え、そして春になると、また「夏タイヤ」に交換する。でも年に2回もタイヤを交換しに行くのも面倒だし、その度にホイールとタイヤを組み替えるのもタイヤが痛みそうだ。新たにホイールを4本買って「冬タイヤ」を付けるのもお金がかかる。さらに夏には「冬タイヤ」を、冬には「夏タイヤ」を保管しておくのも場所を取る。雪国でもないし、毎年雪が降るとは限らないと淡い期待で「夏タイヤ」のままで冬を乗り切ろうと思ったら、突然の降雪で立ち往生…なんていう話はよく聞く。
地球温暖化というのは、気温が上がるだけでなく異常気象になることだ。だから地域によっては普段より寒くなり降雪もあるのだ。
そんな環境もあって、最近日本でもブームになってきたのが「オールシーズンタイヤ」である。春夏秋は夏タイヤのように走り、冬もそのまま走るが、雪が降っても走行できるのが特徴だ。四季を通して履けるタイヤだから「オールシーズン」タイヤ、なのだ。
日本で「オールシーズンタイヤ」を広めたのは、じつはグッドイヤーである。グッドイヤーのベクター4シーズンズは、1年を通じて履ける乗用車用タイヤで、その便利さと安心感が受けてヒットしている。

こちらはオールシーズンタイヤの代名詞と言えるグッドイヤーの「ベクター4シーズンズ(Vector 4Seasons)」。グッドイヤーは今から42年前、1977年に、世界初となるオールシーズンラジアルタイヤ「Tiempo(ティエンポ)」を発売。以来、第2世代の「ARRIVA(アリーバ)」を経て、現在のVECTOR(ベクター)シリーズへと進化している。

ドライ:高速道路や一般道、市街地の走行など、普段の走行はサマータイヤと同じように走ることができる。

ウエット:最近では突然の雨(ゲリラ豪雨)も多くなっているが、そうしたウエット路面でもグリップを確保する。

スノー:ドライ+ウエットの夏タイヤ性能に加え、こうしたスノー路面(圧雪路)走行も可能にしているのがオールシーズンタイヤの特徴だ。
アシュアランスウェザーレディってどんなタイヤ?

グッドイヤーのSUV用オールシーズンタイヤ「アシュアランスウェザーレディ」。16〜20インチ、55〜65シリーズの全13サイズ。価格はオープン。
そこでグッドイヤーはSUV用のオールシーズンタイヤを開発した。グッドイヤー・アシュアランスウェザーレディは、セダンなどの乗用車よりも一般的に車重が重く、車高も高いSUV向けに新しく設計したものだ。
トレッドパターン(踏面の模様)を観察すると左右非対称になっていて、タイヤのアウトサイドとインサイドが決められている。一見リブパターンのように見えるが、スリットが入っていてブロック形状になっている。4本のストレートグルーブ(溝)が目立つが、これは耐ハイドロプレーン対策として効きそうだ。ブロックにはギザギザのサイプ(細い切れ込み)が入っているが、雪道でのグリップを確保するためだ。
トレッドコンパウンドも冬道でもグリップできるように、低温になってもしなやかさを失わないゴムを採用している。
サイドウオールには、楕円の中に太陽/雨粒/雪の絵柄が入る独自のマークが刻まれていて、このタイヤがそれぞれに対応することが理解できる。

グッドイヤー・アシュアランスウェザーレディのサイドウオールに刻まれた「太陽」「雨」「雪」のマーク。ドライ/ウエット/スノー路面に対応したタイヤということを示している。
それとは別にスノーフレークマークがある。これは非常に大事なマークで、高速道路で降雪があったとき「冬タイヤ規制」になっても走ることができることを証明してくれる。

これが冬用タイヤの証である「スノーフレークマーク」。ASTMという世界最大で民間/非営利の国際標準化・規格設定機関が行う公式試験で、極めて厳しい寒冷地でも十分な性能を発揮することを認証された証となる。

スノーフレークマークが付いているタイヤは、日本で「冬用タイヤ規制」の際も走行することができる。ただし、平成30年12月14日から公布/施行された新しい「チェーン規制」(今年度は全国13カ所)の場合は、オールシーズンタイヤだけでなくスタッドレスタイヤを履いていても、タイヤチェーンを装着しないと走行することはできない。

冬用タイヤ規制時は、もちろん夏タイヤでは走行することができない。この日、関越自動車道下りでは下牧パーキングエリアから小出インターチェンジまでが規制されており、下牧PAで全車のタイヤ確認が行われていた。
M+Sとはマッドアンドスノー(泥&雪)の略なのだが、このマークだけでは「冬タイヤ規制」のときには走ることはできない。グッドイヤー・アシュアランスウェザーレディにもM+Sマークが付けられているが、これはどちらかというとマッド性能を意味している。泥濘地を走行したときに泥が溝に入った場合でもタイヤの回転で排出できるようになっているからだ。
市街地:乗り心地にはカドがなく丸みを感じる
さて実際にグッドイヤー・アシュアランスウェザーレディを試してみた。225/60R17 99Hというサイズを、スバル・フォレスター「X-BREAK」に履かせた。空気圧は指定の前230kPa/後220kPaに合わせた。
市街地での走行は、都市高速も含めて快適だった。乗り心地はカドがなく丸みがあり、不整路面でも鋭い振動や強い衝撃は伝わってこない。タイヤのサイドウオールは車重と高さがあるSUV用らしくしっかりしているが、強すぎることはなく、たわんでからの戻りも激しくないので、揺すられる感じにならないのは良かった。
高速走行:遊びのないニュートラル感でリニアな微操舵
高速道路では、ハンドル手応えはやや軽めだった。ハンドルの動きに対して反応がキビキビしてスポーティな感じだ。これらはフォレスターの特性とも関連するかもしれないが、ニュートラル感は遊びがなくセンター付近の手応えは締まっているから、タイヤとしてはクルマを選ばずマッチしそうだ。
気になる静粛性だが、パターンノイズは風切り音の方が大きいのでほとんど聞こえてこない。舗装路面によってロードノイズは変化するが、粗い舗装だとゴォーという音が室内に侵入する。ただし耳にこもるような不快なレベルにはなっていないので許容できる。

手応えは、やや軽めな印象。センター付近が締まりがあり、高速走行ではとても走りやすいタイプ。オールシーズンタイヤでは気になるノイズも、許容できる範囲。
ワインディング路:グッドイヤーらしい粘るようなグリップ感
ワインディングロードも走ってみた。先が回り込んでいるようなところでも、ハンドルを切っていくと、トレッド面が路面を粘り強く捉えている感じが、ハンドルを通して伝わってくる。グッドイヤーの粘るグリップ感は個人的に好みだが、このタイヤでも感じられた。グリップ限界もわかりやすいし、安心感があるグリップ力である。
ワインディングのカーブの途中でドライ路面からウエット路面になっても、急に滑りやすくなることがないので安心して走れる。

4本のストレートグルーブが高いウエット性を発揮。まったく気にすることはなく運転できる。
春先でも、標高が高くなっていくと雪が残っている場所があるが、こんなところでも慌てずに走ることができた。もちろんドライ路面/ウエット路面/スノー路面とグリップは下がっていくが、クルマのスピードをコントロールすれば問題なく走れる。ブレーキも効くし、停止からの発進も楽にできる。

グッドイヤーらしい粘りのあるグリップ力で、路面をギュッと掴む感覚がある。運転していて楽しいタイプのタイヤだ。
雪道も、速度を調整すれば難なく走ることができた
雪道でも安定感は高い。基本的にアンダーステア傾向でなかなかリアが滑り出そうとはしない。アクセルオフでハンドルをちょうどよく切り込み、タイミングよくアクセルペダルを踏み込むと、リアが滑り出し気味になることもある。基本的には、ドライバーはハンドルが効く範囲で走っていれば安心できる、ということだ。
夏タイヤとして使っても十分なドライグリップ力で問題ないし、ウエット性能も上々だ。深い水深の水溜りも走ったが、抵抗感の少なさから耐ハイドロプレーン性能も悪くなさそうだ。
突然の降雪でも、AWDのSUVならば慌てることなく走ることができる安心感がある。だからスキーやスノボのためのドライブには最適だ。ただし、北海道や東北、日本海側の地域など、降雪地域に住む人の場合、あるいは雪道での使用頻度が高い場合は、オールシーズンタイヤではなく、アイスバーンでの性能も期待できるスタッドレスタイヤを選ぶのが最適だろう。

雪道も「ふつうに」走ることができるのがオールシーズンタイヤの利点だ。
グッドイヤー アシュアランスウェザーレディ サイズ表


■レポート:こもだきよし/写真・ムービー撮影:井上雅行