日産の歴史的名車を残す再生クラブの情熱は健在!
日産名車再生クラブとは、日産自動車の開発施設である厚木NTC(日産テクニカルセンター)の開発部門従業員を中心にした社内クラブだ。年に1台、日産自動車が所有するヒストリックレーシングカーの復元作業を手掛けている。

完成したサニーと、日産名車再生クラブの皆さん
そんな彼らが、2018年のテーマカーとして選んだのは1972年型のB110サニークーペ。このほど作業を完了させ、日産テクニカルセンターでお披露目のイベントが行われた。

エンジンはソレックスのキャブレターに換装され、120〜130psを発生する。
テーマカーとなったサニークーペは1972年の東京モーターショーに出展されたTS仕様車のデモカーだ。直結5速のマニュアルトランスミッションを搭載するGXー5のモデル追加を受け、スポーツパーツを開発してこれを装着した。
宣伝課が作った車両で、一応、当時のレース仕様には準じているが、デモカーとして展示することが目的の車両だったので、ショーでの展示後は日産の座間記念庫で保管されてきた。

5速ミッションやレース用のメーターなども当時の状態を忠実に復元している。

ヘッドレストのないバケットシートが時代を感じさせる。4点式シートベルトはサベルト製。
この車両を実動状態に復元し、2018年12月のNISMOフェスティバルでお披露目する計画で作業スケジュールは組まれた。
外装はもちろん、内装もインパネ、シートなど当時の状態を忠実に復元している。シートはクッション材など実働に耐える状態で手が入れられた。
作業はすべて順調に進み、2019年2月に名車再生クラブが拠点とする日産テクニカルセンターで、レストア作業の報告会が開かれた。

TS仕様のレーシングカーなので、前後オーバーフェンダーやリアスポイラーも装着されている。

NISMOフェスティバルで富士スピードウェイのストレートを快調に走るサニークーペ。
なお、NISMOフェスティバルではエキジビションレースのペースカーとしてレース仕様のフェアレディ240Zとともに登場。筆者は、快調に疾駆する同車の姿を確認している。歴史的名車を残そうとする、同クラブの心意気と情熱は相変わらず健在だった。(文と写真:大内明彦)

日産名車再生クラブの完成式については、ホリデーオート2019年4月号でも紹介しています。