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何のために戦うのか? 答えのひとつが描かれる
1980年代に、日本のタカラ(現在はタカラトミー)が「ダイアクロン」「ミクロチェンジ」シリーズとして発売した変形ロボット玩具に、アメリカのハズブロ社が提携して新たな設定を加え発売したものが北米中心に大ヒット。それを日本に逆輸入したのが、そもそもの「トランスフォーマー」の始まりだ。
アニメ化もされているが、やはり2007年から5本が製作・公開されている実写映画版シリーズの大ヒットが記憶に新しい。
乗り物に変形して地球に留まっているトランスフォーマー軍団オートボットたち。総司令官でピータービルト379トレーラートラックに変形するオプティマス・プライム率いる彼らが地球を守るために戦うシリーズの最新作「トランスフォーマー/最後の騎士王」は2017年に公開されている。
そんなオートボットたちが地球に最初に飛来した1987年の出来事を、黄色いシボレー・カマロに変形するバンブルビーを主役に据えて描いたスピンオフ作品が本作だ。
バンブルビーといえば黄色いカマロ、というイメージなので、今回トランスフォームするのが黄色い1967年式フォルクスワーゲン・ビートルなのは、なぜ? と思われる人もいるかもしれないが、実はアニメ版の初期に中古車店で見つけた黄色いビートルをスキャンしてトランスフォームしていることに繋がっているのだ。
多種多様な車種が登場しSFロボット作品としても認知度の高い「トランスフォーマー」シリーズ。オートボットたちとディセプティコンとの戦いがメインの物語となって描かれてきたが、今回はバンブルビーと地球の18歳少女、チャーリーとの友情物語としてのロマンティック・コメディの要素が大きいので、女性たちにもぜひ劇場に足を運んで観ていただきたい1本だ。
遥か宇宙の彼方で戦いを繰り広げていたオートボットとディセプティコン。オプティマスプライムからの指令を受け、単体で地球に飛来したバンブルビーだが、とある理由で発声機能を失ってしまう。
そして1987年のカリフォルニア、18歳のチャーリーに廃品置き場で見つけられた1967年式の黄色いビートル。それはバンブルビーの変形した車体だった。意志疎通をラジオでやり取りするバンブルビーを、チャーリーは“友達”としてかくまうことに。
だがバンブルビーを追いかけて来たプリムス GTXとAH-1W スーパーコブラに変形する2体のディセプティコンと、地球の政府機関セクター7に追い詰められたバンブルビーは、友達のチャーリーを守るためにディセプティコンたちに確保されてしまう…。
舞台設定が1987年ということから、劇中に流れるBGMも当時のロック・チューン。現在40代から50代の世代には青春の思い出がそこにあるし、古き良きものを愛する18歳のチャーリーには親近感を抱く(劇中では真っ赤なフォード・サンダーバードのクラシック・バーズを走らせたりしている)のではないだろうか。
本作の製作・総指揮をスティーヴン・スピルバーグが担当しているためか、バンブルビーとチャーリーの友情物語がどこか『E.T.』を想起させたりもする、大人も子供も楽しめるハートウォーミングなアクション映画に仕上がっている。(文:永田よしのり)
3月22日公開/114分
監督:トラヴィス・ナイト
出演:ヘイリー・スタインフェルド、ジョン・シナ、ジョージ・レンデボーグ jr. ほか
配給:東和ピクチャーズ