普通免許でマイクロバスを運転することはできない
普通自動車免許を取得した人の免許証を見せてもらうと、条件欄に「中型車は中型車(8t)に限る」や「準中型車は準中型(5t)に限る」といった異なる記載があることが見受けられる。これは、同じ普通自動車免許を取得していながらも、人によって運転できるクルマの範囲が異なることを意味しているのだ。
ではなぜ、同じ普通自動車免許を取得していながら運転できる車両が異なるのか。それは道路交通法の改正の歴史に理由がある。
道路交通法が最初に制定された1960年(昭和35年)のときの自動車の運転免許は、主に普通自動車免許と大型自動車免許の2種類に区分されていた。そのため普通自動車免許で、総重量8t未満の車両が運転できたのだ。
ところが、2007年(平成19年)の道路交通法改正によって、新たに「中型車」という区分が作られた。総重量は5t以上11t未満というもの。もちろん中型車を運転するには中型自動車免許が必要だ。しかし、従来の普通自動車免許の運転可能範囲と一部がかぶる。そのためすでに普通自動車免許を取得していた人に既得権を認め、「中型車で運転できる中型車は中型(8t)に限る」という条件付きの8t限定中型自動車免許が付与されたのだ。
さらに10年後の2017年(平成29年)、再びの道路交通法改正によって新たな区分が追加された。今度は「準中型車」だ。準中型車の総重量は3.5t以上7.5t未満、法律改正により中型車は7.5t以上11t未満に細分化された。そして、ここでも同じように、すでに普通自動車免許を取得していた人には、「準中型で運転できる準中型は準中型車(5t)に限る」という条件付きの5t限定準中型免許が付与されたのだ。
つまり、いま新たに普通自動車免許を取得すると、運転できるクルマは「総重量3.5t未満」に限られてしまうのだ。
こうした流れによって、同じように普通自動車免許だけを取得したはずなのに、人によって運転できる範囲が異なることになったわけだ。
ちなみに、8t限定の中型免許も5t限定の準中型免許も、運転できるクルマの乗車定員は10名以下となる。そのためマイクロバスの運転はできないので注意しよう。運転できるのは、8t未満、5t未満のトラックまでと覚えておこう。(文:鈴木ケンイチ)