ユーザーごとに速度制限を設定することもできる
2019年3月5日、ボルボは交通事故による乗員死傷の原因のひとつはスピードの出し過ぎであり、将来、すべてのモデルの最高速度を180km/hに制限すると発表していた。2020年までに、事故における死亡者・重傷者をゼロにすることを目指しているボルボにとって、避けてとおれない課題である。
そして2019年3月22日、使用するケア・キー(スマートキー)によって速度を制限すると、続報を発表した。
ボルボ車の本体に速度制限のプログラムを組み込んで、すべてのユーザーがその影響を受けるわけではないということだ。購入者の手元にあるいくつかのスマートキーを使い分けることで、たとえば初心者ドライバーには低い速度を設定したケア・キーを渡したりできるわけだ。
ボルボによる180km/hの速度制限については、発表以降賛否両論さまざまな意見が交わされていたが、この議論に対して「ケア・キーによる手法」は、自動車メーカーがどのように取り組むべきかの例を具体的にひとつ示したということになる。ボルボはドライバーの適切な行動を“サポートする”ことにより、交通事故の死傷者ゼロを目指す、というわけだ。
また、ケア・キーによる速度制限には、経済面でのメリットもあるようだ。現在、いくつかの保険会社に対し、同機能を使用するボルボ・ユーザーに保険料優遇措置を適用できるか、議論しているという。結果は保険会社によって異なるが、スウェーデン国内の保険会社との最初の契約に関する発表を近日中に行うと予告している。それがどういう内容になるのか、注目したいところだ。
ボルボ・カーズ代表取締役社長、兼CEOのホーカン・サムエルソンによるコメント(一部)
「交通の安全性を向上させる責任は自動車メーカーにあると信じています。ケア・キーによる速度制限はこうした考え方に適しています。愛車を友人や家族と共有するとき、どのようにすれば彼らが安全に運転できるかについては確信が持てません。ケア・キーはその対策のひとつであり、さらなる安心を提供します」また、「トラブルに巻き込まれないためのテクノロジーを利用して、ドライバーにより適切な行動を奨励・サポートできれば、保険料にもメリットをもたらすと確信しています」