目指したのは究極のパフォーマンス、サーキット専用モデルとして開発
とあるフェラーリ愛好家の要望を受けて2015年にスタートした開発プロジェクトのゴールは、フェラーリ330 P3/P4やディーノ206Sといったかつての名車をオマージュした、最先端で究極の性能を持ったサーキット専用モデルを製作することだったという。
デザインはフラビオ・マンゾーニ氏率いるフェラーリ・スタイリングセンターの手によるもので、フロントグラスからサイドウインドウにかけてのラップアラウンドな形状、エンジンフードのアルミ製ルーバーなどに、330 P3/P4やディーノ206Sへのリスペクトが感じられる。
サーキット専用モデルとして開発されているため、ヘッドライトが装備されていないのも特徴で、テールランプもボディパネルに埋め込まれた独特のデザインとなっている。
ベースとなったのはフェラーリ488 GT3。エアロダイナミクスは基本的に488 GT3のものを踏襲しているが、ワンオフモデルであるためFIA-GT3規定に準拠する必要がなく、T字ウイングをはじめ、空力向上を狙った大胆なリアセクションなど自由な発想が盛り込まれているのがわかる。
ひとりの顧客のために特別に製作されたワンオフモデルだけに、詳細なスペックや価格が公表されることはなく、またこの後、このクルマがどういう歴史を築いていくかはわからないが、フェラーリが2019年に送り出した1台限りのスペシャルカーとして「フェラーリP80/C」が長く語り継がれていくことは間違いないだろう。

ヒストリックなデザインアイコンが盛り込まれたスタイリング。キャビン後ろにT字ウイングが見える。

最新のエアロダイナミクスが取り入れられたリアセクションのデザインはダイナミック。

コクピットはサーキット仕様。488 GT3をベースに最新のテクノロジーが盛り込まれている。

詳細な発表はないが、エンジンは3.9L V型8気筒ツインターボと推測される。

F1のエアロダイナミクスが取り入れられた複雑な形状のリアセクション。

デザインはフラビオ・マンツォーニの指揮の下、フェラーリ・スタリングセンターで行われた。

フィオラノ・サーキットでの走行カット。スポーツプロトタイプカーのような雰囲気がある。

エンジンスペックや最高速など詳細なデータは公表されていない。