いよいよ元号が令和に変わった。ゴールデンウイークの短期集中連載企画として、日本のスーパーカーブームを築いた1970年代のスーパーカーを紹介していきたい。第5回は、流麗なクーペスタイルのミッドシップスポーツ、ランボルギーニ・ミウラだ。(ホリデーオート2018年11月号別冊付録より)

ランボルギーニ初のミッドシップで話題をさらう

「LAMBORGHINI Miura:ランボルギーニ・ミウラ」

画像: コークボトルラインが美しい流麗なクーペスタイル。車高は1100mmしかなかった。

コークボトルラインが美しい流麗なクーペスタイル。車高は1100mmしかなかった。

ミウラは1966年のジュネーブショーでデビューを飾る。ジャンパオロ・ダラーラが開発したシャシに、当時ベルトーネに在籍していたマルチェロ・ガンディーニが架装した流麗なボディが話題となり、その場で100台を超すオーダーがあったという。

その布石が、1965年のトリノショーに展示されたベアシャシ、TP400だ。鋼板を溶接したバックボーンフレームの中央に4LのV12エンジンを横置きするという前例のないレイアウトで、ボディはもちろん車名さえないにもかかわらず観衆の関心を独占した。

翌年ボディを架装し、スペインの闘牛飼育家にちなんだ「ミウラ」という名を冠して登場したが、フェラーリとの確執から生まれたという逸話の割に、初期型の完成度は高くない。

というのも、エンジン横置きの大排気量ミッドシップという形態は、おそらく世界初。その開発は後にレーシングカー・コンストラクターとして名を成すダラーラをもってしても一筋縄ではいかなかったのだ。

画像: ウエーバー40IDLキャブレターを4連装する4LのV12DOHCエンジンは、350ps~385psまで年々パワーアップしていった。

ウエーバー40IDLキャブレターを4連装する4LのV12DOHCエンジンは、350ps~385psまで年々パワーアップしていった。

空力に問題を抱え、42:58という前後重量配分に悩まされて、ハンドリングも高速直進安定性も熟成と呼べる段階でないとは言え、発表時に「350psで980kgのボディを300km/hに乗せる」と公表されれば、まさにスーパーカー誕生の瞬間と誰もが思った。

その後ミウラは最初の市販型となる1967年のP400から、68年にP400S、71年にP400SVと進化していくが、1台生産する毎に細かな修正が加えられ、完成度を高めていく。

エンジンは3929ccの60度V12・4バルブDOHC。初期型はエンジンとその下に配したミッションを同一オイルで潤滑するイシゴニスタイプのレイアウトで、燃料供給はトリプルチョークのウエーバーダウンドラフトキャブレター4基で行った。

最高出力はP400が350ps、P400Sが370ps、最終モデルとなるP400SVは385psまでチューンされ、1974年に登場するカウンタックLP400に引き継がれていく。

画像: 左に320km/hスケールの速度計、右に10000rpmスケールの回転計を配置。シフトにはライバルのフェラーリ同様ゲートが切られていた。

左に320km/hスケールの速度計、右に10000rpmスケールの回転計を配置。シフトにはライバルのフェラーリ同様ゲートが切られていた。

さらに、SVではエンジンとトランスミッションの潤滑系統を分離するスプリットサンプ化を行い、エンジンオイルが温まらないとギアが入りにくいという問題をクリアするなど、最後まで改良の手は緩まなかった。最大の問題は、日本車では考えられない不自然なステアリングとペダルの位置関係だった。

それでも、耳元で轟くエンジンの咆哮を快感と感じ、路面の凹凸を細かく拾う乗り心地をハードサスの恩恵と受け止められる人なら、アクセルをひと踏みした瞬間、そんなことはどうでも良くなるに違いない。

とくに完成度の高い最後のSVは、その佇まいとともに、スーパーカーを操る醍醐味を味わえる貴重な1台なのだから。

画像: 世界に1台しかないイオタ レーシング仕様の公式レプリカ、ミウラ SVR。ボディの全幅は約2mで、V12エンジンは400psを発生すると言われる。

世界に1台しかないイオタ レーシング仕様の公式レプリカ、ミウラ SVR。ボディの全幅は約2mで、V12エンジンは400psを発生すると言われる。

ランボルギーニ・ミウラ P400SV 主要諸元

●全長×全幅×全高:4390×1780×1100mm
●ホイールベース:2500mm
●重量:1305kg
●エンジン:V12 DOHC
●排気量:3929cc
●最高出力:385ps/7850rpm
●最大トルク:40.7kgm/5750rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:横置きミッドシップRWD

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