トヨタの北米事業体であるToyota Motor North Americaは、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス港で開催された、貨物輸送の「ゼロ・エミッション化」を目指してロサンゼルス市港湾局が推進するプロジェクトのお披露目イベントにおいて、米トラックメーカーのケンワース(Kenworth)と共同で開発した燃料電池(FC)大型商用トラックを公開した。2019年秋から、このFC大型商用トラックを使用した貨物輸送オペレーションを開始する予定だという。
ロサンゼルス港で行われるプロジェクトに参画
トヨタはかねてより全方位での電動化を進めており、なかでも燃料電池(FC)技術は将来の有力なパワートレーンと位置づけて、商用車を含めた開発/実証を進めている。
アメリカ・カリフォルニアにおいては、商用トラックへのFC技術展開の可能性を検証するために、FC大型商用トラックを試作し、2017年よりロサンゼルス港湾地域での実証を行ってきた。実証を踏まえ、2018年にはトラックの一部改良を行うなど、改善を続けている。
今回のプロジェクトは、貨物輸送トラックによる大気汚染問題が深刻なロサンゼルス港やロングビーチ港において、FC技術などを用いた貨物輸送の「ゼロ・エミッション化」を目指してロサンゼルス市港湾局が中心となって進めているもので、「ZANZEFF : Zero-and Near Zero-Emission Freight Facilities Project」と呼ばれている。
プロジェクトで使用するFC大型商用トラックは、ケンワースのトラック「T680」をベースに用いて、パワートレーンはトヨタ「ミライ」のFCシステムを応用して搭載し。航続可能距離は、平均的な1日の運送距離の2倍となる300マイル(約480km)となる。2019年秋から1台目のオペレーションを開始し、順次10台まで拡充していく。
またFC大型商用トラック向けに大型水素ステーション2機を新たに建設、トヨタの施設内にある3つのステーションとともに合計5基の水素充電ネットワークを使用する。
これらの取り組みを段階的に進め、最終的には500トン以上の温室効果ガスと、窒素酸化物やPM10などの有害物質を0.72トン削減することを目指す。