1回目のアタックで予選通過を確定
佐藤琢磨がなぜ予選14番手となったのかを探る前に、今年のインディ500の予選レギュレーションについて紹介しよう。
予選は2日間にわたって行われるが、予選1日目の土曜日は全員がタイムアタックする。くじ引きで決められた順番で1台ずつコースインし、全長2.5マイルのオーバルコースを4周回り、その平均スピードを競う。予選は午前11時から夕方の5時50分までと長く、全員にアタックの機会が一度与えられた後は、時間の許す限り、希望者は何度でもアタックを行える。
ただし、1回目の記録を放棄する場合と保持する場合では順番が異なり、放棄する者が優先される。予選1日目は10番手から30番手までのグリッドを確定。トップから9番手に入ったマシンには、予選2日目のポールデイでポールポジションを争う「ファスト9シュートアウト」に参加する権利が与えられる。なお、最後列の3台は同じく予選2日目の「ラストロウシュートアウト」で決められる。この「ラストロウシュートアウト」は伝統のバンプアウト合戦を凝縮した形で残そうと今年から始められることになった。
予選1日目は気温が30℃以上にも達した上、風も吹く難しいコンディションとなったが、17番目のアタック順となった佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は228.300MPHをマーク。気温が低い午前中が有利と言われる中、17番目というのは微妙な順番ではあったが、この時点で9番手につけた。
佐藤は気温が下がりコンディションが良くなるのを待って再アタックにチャレンジ。しかし、記録を破棄して再アタックに挑むドライバーが優先されるため、記録を保持したまま再アタックする佐藤のスタートはどんどん遅くなり、残念ながらタイムアウト。再アタックの順番は回ってこなかった。
終盤にアタックしたドライバーがどんどん順位をあげていたので、もし再アタックできていたらスピードを伸ばしていた可能性もあったが、結局、順位は14番手で確定した。
予選終了後、佐藤琢磨は「まずは予選を通過できてホッとしました。プレッシャーが高まる、エキサイティングな予選でした。暑く、風も吹いていたコンディションのため、おそらくマシンを完璧に仕上げられたチームはなかったでしょう。午前中に走ったドライバーたちは、コンディションの面で少しアドバンテージがありましたが、それ以降に走ったドライバーたちはみんな高い気温や路面温度に悩まされました。3ラップ目には風に煽られてスロットルをわずかに戻し、平均速度が0.1MPHほど下がりました。あのスロットルのリフトがなくても順位は変わりませんでしたが、全力を出し切れなかった点では少し残念でした。持っている力を完全に引き出すことができなかったので、満足度は半分くらいです。明日からは、決勝用のマシンセッティングをベストに仕上げることに集中します。インディ500というレースでは、どのスターティングポジションからでも勝利のチャンスはあります」と語っている。
この後、決勝2日前の金曜日に1時間半のファイナルプラクティスが行われ、500マイルの決勝レースは5月26日12時29分(日本時間:5月27日01時29分)にスタートが切られる。