2019年7月12日、F1第10戦イギリスGPがシルバーストンサーキットで開幕する。前戦オーストリアGPではレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが見事に優勝、復帰後初優勝を飾ったホンダがイギリスGPでどんな走りを見せるか注目が集まる。フェラーリのふたりも好調で、ここからシーズンの流れが大きく変わる可能性もある。(タイトル写真は昨年のイギリスGP、フェラーリのセバスチャン・ヴェッテルが優勝している)

マゴッツ、ベケッツと続く高速コーナーに代表されるパワーサーキット

イギリスGPが開催されるシルバーストンは元イギリス空軍の飛行場跡地に建設されたサーキットで、滑走路や誘導路がコースの一部として使われおり、平坦で直線部分が長いことが特徴。マゴッツ、ベケッツ、チャペルと続く高速コーナーが有名だが、エアロダイナミクスが著しく進化した最新のF1マシンにとってこれらはもはやフラットアウトで通過する「ほぼ直線」であり、一層パワーが要求されるようになってきている。何度かのコース改修によって現在は低中速コーナーも設けられているため、どこに合わせてセットアップするかが難しいが、高速サーキットという本質は変わらない。

またほぼすべてのF1チームが近郊に本拠を構えていること、第1回F1グランプリが開催されたこともあり、シルバーストンは「モータースポーツの聖地」と呼ばれている。それだけに、どのチームもこのコースのことを知り尽くしていると言っていいだろう。

問題はイギリス特有の気まぐれな天候で、これがしばしばレースを混乱させる。例年それほど暑くはならないが、今年は暑さも心配されている。路面は全面的に補修されたばかりで平滑、タイヤへの打撃は少なそうだ。

昨年は2度もセーフティが導入される波乱の展開となり、予選2番手からスタートしたフェラーリのセバスチャン・ヴェッテルが優勝している。ポールポジションのルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)はスタートの混乱の中で接触し最後尾まで後退、追い上げたものの2位が精一杯だった。マックス・フェルスタッペン(レッドブル)はリタイアに終わっている。

画像: シルバーストンのコースレイアウト。1周5891m、マゴッツ、ベケッツ、チャペルと続く高速コーナーが有名。

シルバーストンのコースレイアウト。1周5891m、マゴッツ、ベケッツ、チャペルと続く高速コーナーが有名。

画像: 各ドライバーのタイヤ選択。路面は全面的に補修されたばかりで平滑、例年とは異なる暑さがポイントになるかもしれない。

各ドライバーのタイヤ選択。路面は全面的に補修されたばかりで平滑、例年とは異なる暑さがポイントになるかもしれない。


オーストリアで猛威をふるったパワーモードを使うか

イギリスGPでの注目はなんとってもレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンだろう。オーストリアGPでの、フェラーリ、メルセデスを力でねじ伏せるような走りは圧巻だった。ホンダは新しい予選モードを設定して挑むと言われており、予選でのジャンプアップも期待できそうだ、

同じパワーユニットを使うトロロッソ・ホンダにも期待してよさそうだ。ホンダはレッドブルとトロロッソに区別なく同じスペックのワークスエンジンを供給しており、オーストリアGPでレッドブルと大きな差がついた原因はシャシとチーム力にあると言わざるを得ないが、チャレンジングなチームの試みが失敗したと言われており、今回大きく盛り返す可能性が高い。

ホンダとレッドブルレーシングはシルバーストンからクルマで40分ほどのミルトンキーンズに拠点を構えており、オーストリアGPに続いて「ホームレース」となるだけにモチベーションは高まっている。また、フランスGPから投入したスペック3のパワーユニットも高い信頼性を見せており、イギリスGPではさらにパワーを上げてくるという噂もある。

画像: イギリスGPにスペシャルカラーでやってきたレッドブル・ホンダRB15。映画「007」のロゴや映画の中で使われたアストンマーティンV8のナンバープレートが描かれている。

イギリスGPにスペシャルカラーでやってきたレッドブル・ホンダRB15。映画「007」のロゴや映画の中で使われたアストンマーティンV8のナンバープレートが描かれている。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

画像: マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

「シルバーストンでのレースを楽しみにしています。とくに、前戦オーストリアで勝利を挙げただけに尚更です。チームとホンダにとって本当に特別で、これまでのすべての懸命な努力が報われ始めた瞬間でした。シルバーストーン・サーキットは高速コーナーがあって楽しめるコースです。ベケッツとマゴッツは僕のお気に入りで、ドライブするのが最高に楽しいんです。僕らのファクトリーはすぐ近くにあり、チームにとってはもうひとつのホームレースとも言えるので、これまでの進歩を継続して、日曜には最高のショーを見せたいと思います」

ピエール・ガスリー(レッドブル・ホンダ)

画像: ピエール・ガスリー(レッドブル・ホンダ)

「ワクワクしています。シルバーストンにはたくさんの高速コーナーがあって、とくにF1マシンではそのダウンフォースとグリップを実感できるので、お気に入りのサーキットです。流れるようにコーナーが続く素晴らしいサーキットで、F1というスポーツにおいてシルバーストーンが築いてきた歴史もあり、とても意味のあるグランプリです。GP2時代、家族とサーキットへ向かう途中に事故に遭いながらも勝利を挙げた場所ですから、いつもそれを思い出す特別なレースウイークです。オーストリアからここまで、細かな部分に至るまで手を尽くしてきたので、今週末は全力を投じていい結果を残したいと思います」

ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)

画像: ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)

「僕もシルバーストンが大好きです。伝統的なサーキットですが、F1マシンの能力を最大限に引き出して楽しめるコースです。高速コーナーでダウンフォースをフルに活かして走るのは、素晴らしい感覚なんです。今年はスピードも上がるはずなので特別な戦いになるでしょう。このコースは体力的にとても厳しいのですが、この時期の英国はそこまで気温が上がりません。不確定要素としては、コースの再舗装があります。金曜日にこれまでとどう違うのか、新しい路面はどんな感じなのかを探るのは興味深い仕事になります。ここの高速コーナーでは、タイヤの横方向への負荷がとても高くなるので、路面状況は非常に大切な要素です!」

アレクサンダー・アルボン(トロロッソ・ホンダ)

画像: アレクサンダー・アルボン(トロロッソ・ホンダ)

「オーストリアGPまでの2戦は厳しい戦いでした。特に前戦はPU交換によるペナルティーで後方グリッドからのスタートになることが分かっていたので、プラクティスへの入り方を変えました。イギリスGPではペナルティなしで予選順位どおりにスタートできる予定ですし、この2戦で得られた多くのデータを解析した上で臨めるので、中団での僅差の戦いに加われると思います。シルバーストンはパワー感度が高いサーキットでもあるので、ダウンフォースが重要ですし、まずは金曜日がどうなるか様子を見て、週末の作戦を決めなければなりません」

そんなホンダにとっての強敵はフェラーリになるだろう。シルバーストンはパワーサーキットと言われているが、「パワーがもっとも出ているのはフェラーリ」という声が大きい。

ランキングトップを走るメルセデスAMGは「暑さ」がポイントとなるだろう。オーストリアGPではオーバーヒートの症状が出たと言われており、その問題をイギリスで解決できるかどうかで勝敗の行方は大きく変わってきそうだ。

F1第10戦イギリスGPは、7月12日金曜日10時(日本時間18時)からのフリー走行1回目で幕を開ける。予選は7月13日14時(日本時間22時)、決勝は7月14日14時10分(日本時間22時10分)に開始される。

2018年 F1イギリスGP  予選結果(参考)

1位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)1:25.892
2位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ)1:25.936
3位 7 K.ライコネン(フェラーリ)1:25.990
4位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)1:26.217
5位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル)1:26.602

2018年 イギリスGP 決勝結果(参考)

優勝 5 S.ヴェッテル(フェラーリ)
2位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)
3位 7 K.ライコネン(フェラーリ)
4位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)
5位 5 D.リカルド(レッドブル)

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