2019年7月14日に行われたF1第10戦イギリスGPでまたもやマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が素晴らしい走りを見せた。前戦オーストリアGPでレース終盤に怒濤の追い上げで見事な優勝を飾ったフェルスタッペンは、イギリスGPでも2番手を狙う位置まで追い上げていた。

2位のポジションは確実と思われた中でのアクシデント

レッドブル・ホンダとフェラーリは序盤から激しいバトルを繰り広げた。メルセデスAMGの2台の後ろで、3番手シャルル・ルクレール(フェラーリ)、4番手フェルスタッペン、5番手セバスチャン・ヴェッテル(フェラーリ)、6番手ピエール・ガスリー(レッドブル・ホンダ)の4台が約2秒以内の差の中で走行。ソフトタイヤを装着するフェラーリを、ミディアムタイヤのレッドブル・ホンダはなかなかかわせなかった。ここが序盤のポイントで、メルセデスAMGの2台を逃がすことになってしまう。

こうした状況を打破すべく最初に動いたのはガスリーだった。12周目にピットインしてハードタイヤに交換。1ストップの可能性もある絶妙の戦略でフェラーリに揺さぶりをかける。

続く13周目にはルクレールとフェルスタッペンがピットイン。いずれもミディアムタイヤに交換、フェルスタッペンの2ストップ以上の作戦が確実なものとなり、チームメイトと作戦を変えてきた。

そのピットインのタイミングでフェルスタッペンが一度はルクレールの前に出るものの再び抜き返され、その後も接触寸前のギリギリの攻防が続く。

ルクレールとの戦いに決着がついたのは20周目。フェルスタッペンはセーフティカー出動に素早く反応してルクレールを逆転する。

続いて、フェルスタッペンはセーフティカー導入時のタイヤ交換で3番手に浮上していたヴェッテルに襲いかかる。ヴェッテルとのペースの差は明らかで、37周目にヴェッテルをオーバーテイクし3番手に浮上。しかし、その直後、ヴェッテルがフェルスタッペンに追突する形で両者コースアウト、フェルスタッペンは5番手まで後退してしまった。

この時、2番手を走るバルテリ・ボッタス(メルセデスAMG)はもう一度タイヤ交換が必要な状況で、そのまま追い上げていればフェルスタッペンの2番手浮上は確実だった。さらにもしフェルスタッペンが追い上げを見せていれば、1ストップで走り切ったルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)にも焦りが出ていたはずで、勝敗の行方は違ったものになっていたかもしれない。

ただし、6度目の母国グランプリ優勝を飾ったハミルトンの走りは文句のつけようがなく、2ストップ戦略を推奨していたピレリタイヤも「もっとも注目すべきパフォーマンスはハミルトン。ミディアムタイヤでスタートし、セーフティカー導入のタイミングでハードタイヤに交換してそのままフィニッシュ。しかもすでに32周を走行したハードタイヤで最終周にファステストラップを記録したのは驚き」とコメントしている。

ハミルトンの勝利はセーフティカー導入が決定的な要素となったとはいえ、大歓声の中での最終周の走りは見事のひと言だった。メルセデスAMGとレッドブル・ホンダの戦いは、次戦ドイツGP(決勝7月28日・ホッケンハイムリンク)へと続く。楽しみに待ちたい。

画像: 各ドライバーのタイヤ戦略

各ドライバーのタイヤ戦略

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

画像: イギリスGP 予選:4位、決勝:5位

イギリスGP 予選:4位、決勝:5位

「マシンの調子はとてもよく、速さも見せられていたレースウイークであっただけに、表彰台を逃してしまったことはとても残念です。ルクレールとのバトルは手強いものではありましたが、とてもフェアであり、彼も上手にブロックして応戦したと思います。まだレースの先は長かったので、あまりリスクを負うような無理はせずにいました。明らかに僕たちのほうが速かったため、仕掛ける正しいタイミングを探りながらのバトルはとても楽しかったです。ハードタイヤに交換するためにチームが下した2回目のピットストップのタイミングの判断は正しく、ルクレールに対してアドバンテージを得ることに成功しました。それからはヴェッテルに追いつくのに十分なペースで走行することができたのですが、彼をオーバーテイクした後、ブロックをしたターン17で、ブレーキのタイミングが遅れたヴェッテルに後方から追突されてしまいました。その結果、縁石とグラベルを飛び越えてしまい、その瞬間『レースは終了してしまった』と思ったほどでした。パワステに違和感があり、フロアもダメージを負ったような感覚の中、自分がどうやって最後まで走らせることができたのか正直わかりません。そんな状況の中、5位でポイントを獲得してレースを終えることができたので、この結果に満足しています。これはレーシングアクシデントであり、ヴェッテルの故意で起きたことではないので、怒っているわけではありませんが非常に残念です。マシンから降りた直後に、ヴェッテルは謝罪に来てくれました。ファンの皆さんに『モータースポーツは面白い』と改めて感じてもらえるシーンを見せられたのではないでしょうか」

F1第10戦イギリスGP決勝 結果

優勝 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG) 52周
2位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)+24.928s
3位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+30.117s
4位 10 P.ガスリー (レッドブル・ホンダ)+34.692s
5位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) +39.458s
6位 55 C.サインツ(マクラーレン・ルノー)+53.639s
7位 3 D.リカルド(ルノー)+54.401s
8位 7 K.ライコネン(アルファロメオ)+65.540s
9位 26 D.クビアト (トロロッソ・ホンダ)+66.720s
10位 10 N.ヒュルケンベルグ(ルノー)+72.733s

This article is a sponsored article by
''.