ワークス・テクノロジーをGT500ホモロゲマシンに投入
2004年シーズンからJGTCへ参戦を開始したZ33。そのホモロゲーションバージョンとして、全長を伸ばしたのが同年1月26日に期間限定の受注生産車として発表された「タイプE」。もっともレギュレーションに適合させるためにエアロパーツで全長を伸ばしただけで、中身はベース車と同じ。このタイプEをベースに、NISMOのテクノロジーを投入して外観に相応しい中身を仕上げたのがS-tune GTだ。
その出で立ちは、まさにGTマシンがそのままストリートに現れたかのようだった。Gノーズを思わせる180mm延長されたロングノーズと、135mm伸ばされたロングテール。ここまではホモロゲマシンの「タイプE」と同じだが、それをベースにエンジン、足回り、ブレーキなど、細部まで緻密に仕上げられたNISMOの20周年記念事業に相応しい仕上がりで、当時のクルマ好きの度肝を抜いた。
中でも凄かったのがNAメカチューンの極致とも言えるエンジンだ。「S1仕様」と名付けられた特製エンジンは、専用カム、バルブスプリングほか補機類も含め高出力化(280ps→300ps)を目指して徹底的に手が加えられていた。当時の自主規制枠を突破したことでも話題となったものだ。
しなやかに動くS-tuneサスペンションシステム、エンジニアの拘りがつまったブレンボのブレーキなど、足回り系も万全の構え。実際に乗ってみれば、決してガチガチの乗り心地ではなくGTスポーツの理想型とも言える仕上がりだった。
NISMO フェアレディZ S-tune GT 主要諸元
●ボディサイズ:全長4625×全幅1840×全高1295㎜
●車両重量:1465kg
●乗車定員:2名
●エンジン型式・形式:VQ350DE(S1仕様)・V6DOHC
●エンジン総排気量:3498㏄
●エンジン最高出力:300ps/6400rpm
●エンジン最大トルク:37.0kgm/4400rpm
●駆動方式:FR
●サスペンション形式:前後マルチリンク
●ブレーキ形式:前後Vディスク
●タイヤサイズ:前245/35ZR19・後275/35R19