2019年7月26日、F1第11戦ドイツGPがホッケンハイムリンクで開幕する。オーストリアGPでマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が優勝、前戦イギリスGPではホンダのパワーユニットを搭載する4台が力強い走りを見せたことで、ホンダの評価は急上昇、ホッケンハイムリンクでのメルセデスとの優勝争いに大きな注目が集まっている。(タイトル写真は2018年のドイツGP、メルセデスAMGのルイス・ハミルトンが14番グリッドスタートから逆転優勝を飾った)

ポイントは高速のパラボリカとそれに続くヘアピン

ホッケンハイムリンクは1932年にメルセデス・ベンツのテストコースとして建設されたサーキット。かつては最高速が350km/h以上に達する森の中の超ロングストレートを有する全長約12kmの高速コースだったが、現在は全長約4.6kmの中高速コースに生まれ変わっている、

「パラボリカ(=放物線)」と呼ばれる左高速コーナー、その後のヘアピン、「インフィールドセクション」と呼ばれる連続コーナーが名物で、エンジンパワーが要求される高速の部分とトラクションとマシンバランスが問われる中低速の部分が組み合わされているのが特徴。どこを重視するかによってセッティングは変わってくる。

ホッケンハイムリンクのとくに重要なポイントはヘアピン。その直前に高速のパラボリカがあり、ブレーキ性能、ハイブリッドシステムの性能が問われる

また今年は気温が高くなりそうで、オーストリアGPでオーバーヒートの症状が出たメルセデスAMGにとっては気になるところ。気温が上がると、タイヤ戦略もデリケートになってくる。

昨年のドイツGPはルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)が14番グリッドスタートから逆転優勝。後方から見事なレース運びで順位を上げ、突然の雨にも対応し、ソフトからウルトラソフトへと交換するワンストップ戦略(トップ6に入った唯一のドライバー)でレースをコントロール、トップを走っていたセバスチャン・ヴェッテル(フェラーリ)がクラッシュしてリタイアしたこともあって、メルセデスの母国ドイツで劇的な優勝を飾った。

画像: ホッケンハイムリンクのコースレイアウト。1コーナーはコース幅が狭くなっているため接触事故が多く、とくにスタート直後は目が離せない。大きなポイントとなるのは高速のパラボリカとそれに続くヘアピンだが、12コーナーからのスタジアムセクションもドライバーの腕の見せ所。この時期、不順な天候もこのレースを難しくする要素となっている。

ホッケンハイムリンクのコースレイアウト。1コーナーはコース幅が狭くなっているため接触事故が多く、とくにスタート直後は目が離せない。大きなポイントとなるのは高速のパラボリカとそれに続くヘアピンだが、12コーナーからのスタジアムセクションもドライバーの腕の見せ所。この時期、不順な天候もこのレースを難しくする要素となっている。

進境著しいホンダのスペック3のパワーユニット

ハンガリーGPとの2週連続開催となるドイツGPの注目ポイントは、ホンダのスペック3のパワーユニットの進化だろう。

前戦イギリスGPではホンダのパワーユニットを搭載するマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がメルセデスAMGに急接近。予選はポールタイムと僅差の4位、決勝でも終盤トップに迫る快走を見せた。

ピエール・ガスリー(レッドブル・ホンダ)も予選5番手、決勝では4位に入賞。フェルスタッペンとほぼ同等の成績を残している。ガスリーは金曜フリー走行1回目でトップタイムをマーク。2回目、3回目でもフェルスタッペンより速いタイムを記録した。大きく進化したと言われるガスリーの走りに期待したい。

また、トロロッソのアレクサンダー・アルボンは決勝では高電圧系のトラブルでポイント獲得ならなかったが、予選では9番手に躍進。チームメイトのダニール・クビアトは決勝で力強いレース運びを披露して9位でチェッカーフラッグを受けた。

前戦イギリスGPはパワーサーキットであることからホンダの苦戦を予想する声もあったが、4台ともに力強い走りを見せたことで、ホンダのスペック3のパワーユニットがメルセデスAMGに急接近していると、評価は急上昇中だ。課題とされる予選でも速さを見せつつあり、ドイツGPでもまずは予選が見所となる。

昨年のドイツGPでは、トロロッソ・ホンダはブレンドン・ハオトレーが10位に入賞しポイントを獲得。ピエール・ガスリーはパワーユニット交換によって最後尾からのスタートとなったものの、降雨時にウエットタイヤを装着するなど攻めた戦略で巻き返しを図り、14位でフィニッシュしている。

ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは「ホッケンハイムリンクは、コースの前半に配されているストレートによって、パワーサーキットとしてよく知られています。パワーユニットの全開率が高いという点では、シルバーストンサーキットと似た部分があります。そのイギリスGPではいいレースペースをみせることができました。今回も予選、決勝に向けて確実にセッティングを進め、いい結果を得られればと考えています」と自信を深めている。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

画像: マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

「ホッケンハイムリンクのスタジアムセクションを高速コーナーから進入し、ランオフエリアが狭くバンクのついたコーナーを駆け抜けるのはとても楽しい。この最終セクションをいいリズムで抜けてストレートまでたどりつければ、大幅にタイムを上げることができます。今週末はまた気温が高くなりそうので、チャレンジングな戦いになるはずです。僕らは毎週進歩を見せて、いい走りができているので開始が待ちきれません」

ピエール・ガスリー(レッドブル・ホンダ)

画像: ピエール・ガスリー(レッドブル・ホンダ)

「シルバーストンで力強い戦いができたあとなので、ドイツGPを楽しみにしています。この勢いを続けていきたいですね。先週の火曜日にピレリのタイヤテストで走行したあと、ハードなトレーニングをしてビースト(野獣)になる準備をしてきました。ホッケンハイムはエキサイティングなコースですし、とくに最終セクターのスタジアムセクションはテクニカルで難易度が高いと思います」

ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)

画像: ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)

「前回のシルバーストンでは週末を通じて苦戦しましたが、レースではいい追い上げをみせてポイントを獲得できました。重要なのは、レースでは抱えていた課題を解決し、力強いペースを得られたことです。この勢いを維持して、ドイツ、ハンガリーと続く連戦に臨みたいと思います。中団は僅差の戦いですが、ホッケンハイムは僕らにとても合っていると思います。僕はとても好きなタイプのサーキットで、長い高速コーナーはとても楽しいです。ドイツはおもしろい戦いになるはずです」

アレクサンダー・アルボン(トロロッソ・ホンダ)

画像: アレクサンダー・アルボン(トロロッソ・ホンダ)

「シルバーストンでは明らかに競争力が増し、いいマシンバランスを見つけることができました。Q3へ進出することができましたし、全体的にマシンの感触はよかったです。ホッケンハイムはスタジアムセクションへ向かうコーナーをはじめ、いいコーナーが多く、オーバーテイクもしやすいサーキットです。特にヘアピンへ向かう長いストレートはいい抜きどころです。タイヤには厳しいコースで、予選で1周のみアタックするときでも、気をつけていないとラップ終盤にタイヤが傷んできます。舗装も古いので、再舗装がされたサーキットと比べると路面はかなり粗いはずですから、そこにも注意が必要です」

一方、メルセデスAMGとしては、ドイツGPはホームグランプリであり、メルセデス200戦目のF1であり、レースの冠スポンサーについていることからも、是が非でも勝ちたいところで、レッドブル・ホンダのパフォーマンスアップに警戒を強めている。

F1第11戦ドイツGPは、7月26日金曜日11時(日本時間18時)からのフリー走行1回目で幕を開ける。予選は7月27日15時(日本時間22時)、決勝は7月28日15時10分(日本時間22時10分)に開始される。

2018年ドイツGP  予選結果(参考)

1位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ)1:11.212
2位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)1:11.416
3位 7 K.ライコネン(フェラーリ)1:11.547
4位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル)1:11.822
5位 20 K.マグヌッセン(ハース)1:12.200

2018年 ドイツGP 決勝結果(参考)

優勝 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)
2位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)
3位 7 K.ライコネン(フェラーリ)
4位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル)
5位 27 N.ヒュルケンベルグ(ルノー)

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