ひとつのミスから、優勝が遠のいていく
2019年初めてのウエットレースは、なぜこんな大荒れとなってしまったのか。
今年初めての雨だったことに加え、金曜日猛暑→土曜日くもり→日曜日雨となり雨仕様のセットアップができていなかったこと、ピレリのレインタイヤがどう機能するかわからなかったこと、微妙な路面状況下でインターミディエイトが予想よりも長く保たなかったこと、場所や時間によって雨の量が違ったこと、上位を走るドライバーの判断がやや遅れがちになったこと、最終コーナーエリアでコースアウトが多発したことなどが混乱に拍車をかけた。
ポールポジションのハミルトンは雨の中でも好スタート、2番手にもチームメイトのバルテリ・ボッタスが続いて、メルセデス勢が序盤からレースをリードしていく。
レースが大きく動いたのは28周目、4番手を走っていたシャルル・ルクレールが最終エリアの16コーナーでコースアウトしてクラッシュ。さらに29周目にはハミルトンが16コーナーで飛び出しフロントウイングを壊し慌ててピットレーンに飛び込むアクシデントが発生する。
ところがハミルトンのピットはタイヤの準備ができておらず大混乱、しかもピットレーン走行違反で5秒ペナルティも課されて大きく順位を落としてしまう。
ちょうどインターミディエイトに交換しようかというタイミングで、ハミルトンのアクシデントにより、ピットに入れなかったボッタスも3番手に後退する。
ハミルトンはさらに56周目のスピンやタイヤ交換で13番手までドロップ。優勝は絶望的になっていく。それでも諦めず追い上げたが、アルファロメオ2台のペナルティにより9位入賞2ポイント獲得するにとどまった。
またあろうことか、残り5周で、ボッタスまでもがスピンしてバリアにクラッシュ。メルセデスにとっては悪夢のようなドイツGPとなってしまった。
ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)
「なんてクレージーなレースだ。これほど苦労したレースは久しぶりだと思う。序盤はレースをコントロールできていたが、滑りやすいスリックタイヤに代えて、その後、勝利が遠ざかっていった。ターン16はコースの外が氷のように滑りやすく、ウォールに突っ込んでウイングにダメージを負った。自分のミスだった。それまでレースをリードしていたのに。どうしてこんなことになったのか、今もよく分からない。コンディションが100%でなく、いいパフォーマンスを発揮できなかった。次のレースまでに、しっかり体調を整えるよ。今はレースが終わってくれてほっとした」
メルセデスのマシンに大きな問題が発生している訳ではなさそうだが、ホンダがスペック3のパワーユニットを投入した第8戦フランスGPから、流れが大きく変わったのは明らか。
第8戦フランスGPから今回の第11戦ドイツGPまでの成績を見てみると、ハミルトンが1位→5位→1位→9位で63ポイントなのに対し、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は4位→1位→5位→1位で74ポイントと、形勢は逆転している。
連戦となる次戦ハンガリーGP(8月4日決勝)でメルセデスがどう盛り返すか。前半戦最後の大一番となりそうだ。