後期型ターボ車をベースにテールまわりも当時の仕様に変更
サバンナRX-7の初代SA22Cがデイトナ24時間レースで大活躍した理由として、小さくコンパクトなボディとロータリーエンジンの組み合わせが挙げられる。ベース車のボディ全長は4285mmでしかなく、全幅も1675mmしかない。だから車両重量は1トンを少々超えるわずか1005kgだ。そこに573cc×2の12A型ロータリーエンジンが載っているのだから遅いわけがない。
SA22C時代の12A型は130psの最高出力となっていたが、1983年のマイナーチェンジで追加されたターボモデルでは165psにまで出力アップを果たした。まさにピュアスポーツカーに相応しい動力性能だったと言える。その後期ターボモデルをベースに、1981年のデイトナ24時間レース仕様車を再現したのが、このクルマだ。
基本的なボディワークは前回紹介した赤いデイトナ24時間レース2位入賞車と同じ仕様だ。デイトナ用と呼ばれる社外オーバーフェンダーやフロント・リアのスポイラーを装備して、カラーリングを再現している。前回紹介したクルマと同じく後期モデルのターボ車をベースにしているものの、バンパーなどのパーツは前期モデルから移植して、1981年のデイトナ参戦時と同じボディを再現しているところもこだわりだ。
このクルマも連載の第二回と三回目に登場したサバンナRX-3オーナーである成田秀喜さんが製作したもの。赤いRX-7と同じように当初は成田さん自らステアリングを握って楽しんでいたが、RX-3と同時にサーキットが走れるよう友人に託している。その友人が元吉和洋さん。サーキットでマツダ車関連のイベントがあるときは、成田さん始め友人たちとRX-3、RX-7混成部隊で走行するのだ。
フロントストラットはS13シルビア用
デイトナ24時間レース優勝車らしく、エンジンや足回りもしっかり手が入っている。まずエンジンは12Aターボから13Bに載せ換え、吸気をブリッジポートとしている。キャブレターはやはり定番のウエーバー・ダウンドラフトタイプとして、排気系はワンオフしたエキゾーストパイプとマフラーに変更。これにより当時のレーシングカーよりも高いパフォーマンスを手に入れている。
エンジンに合わせて足回りはフロントにピロアッパーによる車高調を装着。この車高調はS13シルビアのストラットを使ったもので、ブレーキキャリパーもS13のものがそのまま使われいる。ノーマルのSA22Cに比べたら圧倒的に止まる仕様になっている。リアショックは強化タイプとされ、いわゆるレーサスと呼ばれるサスペンションコイルが使われている。
だが、極端に低い車高というわけでもなく、フロントのスポイラーが低さを演出しているといったほうが的確。なぜこの車高かといえば、このSA22Cにも登録書類が残されているから、改造申請して公認車検を取得することが可能だからだ。現在は登録していないが、いずれ公認車検を取得して街乗りにも使いたいということだ。