1964年、ル・マン24時間レースなどで活躍したフォードGT40というレーシングカーが生み出されるにあたり、ロータス社とローラ社の設計コンペがあった。結果、ローラ社の設計が採用されることになる。それがヨーロッパの誕生につながる。

軽量コンパクトなボディで圧倒的なコーナリング性能を持つ

画像: TCからはバーチカルフィンが低くなり、後方視界が改善した。1.6L DOHCエンジンのパワーは控えめの105psだ。

TCからはバーチカルフィンが低くなり、後方視界が改善した。1.6L DOHCエンジンのパワーは控えめの105psだ。

コンペに負けたとはいえ、ロータスもただでは転ばないメーカーだ。この不採用になった設計図を元に、リーズナブルな価格のミッドシップスポーツカーを作った。それがヨーロッパとなる。シリーズ1(S1)、シリーズ2(S2)、ツインカム(TC)、そしてスペシャル(SPL)と進化を重ねる。スタイル的によく似たタイプ47もあるがこれは中身が別物の純レーシングカーだ。

どのシリーズにも共通しているのは、基本的なスタイリングと、逆Y字形バックボーンフレームを用いたミッドシップレイアウトということ。目に見えてわかる変更点は、TCからリア視界の確保のためにバーチカルフィンが低くなったことだ。

画像: S2までは1.5Lエンジンを搭載。外観では、リアのバーチカルフィンが高いのが特徴。その形状から「最速のブレッドバン」などとも言われた。写真はタイプ47ルックとしたS2。

S2までは1.5Lエンジンを搭載。外観では、リアのバーチカルフィンが高いのが特徴。その形状から「最速のブレッドバン」などとも言われた。写真はタイプ47ルックとしたS2。

サスペンションは、フロントがトライアンフ・スピットファイアから流用したダブルウイッシュボーン、リアがロアアームとドライブシャフト兼用のアッパーアームで横方向の位置決めをし、ラジアスアームで縦方向の位置決めをする独特の形式のもの。

S1、S2ではエンジンにルノー16から流用した1.5Lの直4OHVが用いられ、トランスミッションも同車からの流用の4速MTだった。82psと非力ではあったが、FRP製で665kgの軽量ボディにより活発に走り、アマチュアレーサーにも好まれた。

S1ではサイドウインドーも開かず、シートスライドもしないというスパルタンさだったが、S2では、パワーウインドーやシートスライド機構も装着するなど、実用性を増した。

画像: 本国(英国)使用は右ハンドル。右足のすぐ横がタイヤハウスとなり足もとは狭い。BCペダルが下から生えているのも特徴だ。

本国(英国)使用は右ハンドル。右足のすぐ横がタイヤハウスとなり足もとは狭い。BCペダルが下から生えているのも特徴だ。

TCからはDOHCエンジンが搭載されることになる。フォード社製のエンジンブロックにロータス社自製のDOHCヘッドを搭載したもので、排気量1.6Lから105psを発生した。

そして1972年に登場したSPLは日本では特別なクルマとなる。いわゆるスーパーカーブームの火付け役になったからだ。TCのエンジンはDOHCではあったが1気筒あたり2バルブだ。SPLでは同じく2バルブだったものの、吸気バルブ径を拡大し吸気効率を上げた。圧縮比もTCの9.5:1から10.5:1まで高めた。燃料供給は欧州仕様がデロルトツインキャブ、北米仕様がストロンバーグツインキャブで、126ps/15.6kgmの動力性能となった。

画像: SPLのエンジンは吸気バルブ径を拡大。圧縮比も高めたことで126psの最高出力となった。軽量ボディには十分な性能とも言える。

SPLのエンジンは吸気バルブ径を拡大。圧縮比も高めたことで126psの最高出力となった。軽量ボディには十分な性能とも言える。

TCまではトランスミッションも4速MTのみだったが、SPLではオプションでゴルディーニ製の5速MTが選べるようになった。

快適装備やエンジンの重量増により車重は710kgまで増加してしまい、とくにDOHCヘッドで重心が高くなるなど、もともとのコーナリングマシンとしての美点は薄らいでしまったが、最後のロータスらしいクルマとして今でも人気が高い。

スーパーカー図鑑のバックナンバー

ロータス ヨーロッパ スペシャル 主要諸元

●全長×全幅×全高:4000×1640×1090mm
●ホイールベース:2335mm
●重量:710kg
●エンジン:直4 DOHC
●排気量:1558cc
●最高出力:126ps/6500rpm
●最大トルク:15.6kgm/5500rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:リアミッド・縦置き

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