オィット・タナックがリードを守り今季5勝目
第4戦ツール・ド・コルス(フランス)以来のターマック(舗装路)戦となるドイツ。3強ドライバーのうち、選手権2番手につけていた王者セバスチャン・オジェ(シトロエン)はハンドリングの不満を抱えてスタートからペースが上がらず、選手権ランキング首位のタナックと選手権ランキング3位のティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)が僅差で優勝を争うことになった。
初日の金曜日を終え、首位タナックと2番手ヌービルの差はわずか2.8秒。決着がついたのは、誰もが勝負どころとみていた土曜日午後の軍事演習地ステージだった。戦車道のため路面が荒れていることで有名な41kmのロングステージで、ヌービルが痛恨のパンク。ステージ中のタイヤ交換で1分以上のタイムロスを喫して後退してしまったのだ。夕刻に行われたこのステージの再走では、ミーク、ラトバラと争っていたオジェもパンク。これでトヨタはライバルチームに大差をつけて1-2-3体制を築くことになった。
最終日もペースコントロールをしながら難なく走り切ったタナックは、ラリー ドイチェランド3連勝。シーズン5勝目を挙げ、ヌービルに33点、オジェに40点の差をつけることになった。
1993年のサファリラリー以来となる1-2-3フィニッシュを達成したトヨタは、マニュファクチュララーズ選手権でも、トヨタはヒュンダイに8点差に肉薄して残り4戦を迎える。
初体験のドイツをWRカーで完走、勝田が将来につながる10位入賞
勝田貴元がトヨタ ヤリスWRCを駆って10位で完走したのもビッグニュース。
これまでヤリスWRCで走ったのは距離の短いフィンランド国内選手権の2戦、しかも雪とグラベル(未舗装路)のみ。勝田にとってターマックでWRカーを走らせるのも初めてなら、“クセがすごい”ドイツのラリーにも初出場だった。
すべてが初体験の中、将来に向けて選んだ戦略は、たとえペースは遅くても何がなんでも完走して、WRカーでの実戦経験を積むこと。その目標通り、勝田はスタートから慎重にラリーを進めた。難関の軍事演習地ステージではパンクを喫して大きくタイムロスする局面はあったが、上位とのタイム差を気にすることなく冷静な走りを続け、無事にフィニッシュ。
順位は全ステージ完走したWRカーの中では最下位となる10位だったが、今後の飛躍に向け、これまで知ることなかったターマックでのヤリスWRCの挙動と、それに対応するためのドライビングの引き出しという大きな成果を得ることになった。
次戦WRC第11戦ラリー トルコは、9月12~15日、地中海のリゾート地マルマリスをベースに開催される。そのステージは路面に大きな石が転がる荒れたグラベルで、気温も高く、昨年はクルマに厳しいサバイバルラリーとなったが、トヨタのタナックが優勝し、ラトバラが2位でフィニッシュしている。 2019年シーズンもいよいよ大詰め、クライマックスに向かう。
WRC第10戦ラリー ドイチェランド 結果
優勝 8 O.タナック(トヨタ ヤリス WRC) 3h15m29.8s
2位 5 K.ミーク (トヨタ ヤリス WRC) +20.8s
3位 10 J.ラトラバ(トヨタ ヤリス WRC) +36.0s
4位 11 T.ヌービル(ヒュンダイ i20クーペ WRC)+58.5s
5位 6 D.ソルド(ヒュンダイ i20クーペ WRC)+1m16.6s
6位 89 A.ミケルセン(ヒュンダイ i20クーペ WRC) +1m46.2
7位 1 S.オジエ(シトロエン C3 WRC) +1m56.3s
8位 4 E.ラッピ(シトロエン C3 WRC)+2m02.2s
9位 44 G.グリーンスミス(フォード フィエスタ WRC) +6m22.2s
10位 17 勝田貴元(トヨタ ヤリス WRC) +8m19.2s
WRCドライバーズランキング
1位 O.タナック (トヨタ ヤリス WRC) 205ポイント
2位 T.ヌービル (ヒュンダイ i20クーペ WRC) 172ポイント
3位 S.オジエ(シトロエン C3 WRC) 165ポイント
4位 K.ミーク (トヨタ ヤリス WRC) 80ポイント
5位 A.ミケルセン(ヒュンダイ i20クーペ WRC) 79ポイント
WRCマニュファクチャラーズランキング
1位 ヒュンダイ 289ポイント
2位 トヨタ 281ポイント
3位 シトロエン 216ポイント
4位 M スポーツ フォード 168ポイント