グリッド降格が決まっているフェルスタッペンは無理をせず
9月6日金曜日のフリー走行は雨模様だったが、7日土曜日の予選は晴天に恵まれてドライコンディションで行われた。
予選Q1から、シャルル・ルクレール(フェラーリ)がトップタイムをマークする一方で、波乱も起きた。マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)はQ1で赤旗にタイム計測を阻まれ、さらにその後の走行で縁石の上に乗り上げた際にタイヤが激しく空転し、エンジン回転が上がりプロテクションモードに入ったためパワーダウン。スペック4のパワーユニット投入によるペナルティで後方グリッドからのスタートが決まっていたものの、ノータイムでQ1敗退となってしまう。
トロロッソ・ホンダのダニール・クビアトとピエール・ガスリーはQ2まで進出。クビアトはグリッド降格の決まっているガスリーの後方に入ってスリップストリームを使おうとしたが失敗し、13番手に終わった。ガスリーは15番手だった。
そのQ2では決勝のスタートタイヤを見越して全車がソフトタイヤを履いてアタック、ここではルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)がルクレールを凌いでトップタイムを記録している。
そして、予選グリッドを決めるQ3は各車先頭にならないよう牽制しあう奇妙な状況になり、最後のアタックではほとんどのマシンが時間切れでアタックに入ることができず時間切れ。Q3最初のアタックでトップに立っていたルクレールがポールポジションを獲得した。
レッドブル・ホンダのアレクサンダー・アルボンはQ3まで進出。1回目のアタックは赤旗中断でタイムを記録できず、2回目のアタックは時間切れでタイムを計測することができず、8番グリッドが確定した。
ホンダの田辺豊治 F1テクニカルディレクターは「ここモンツァでは例年のこととなっていますが、今年の予選も非常に僅差での戦いになりました。クビアト選手はQ2の途中までタイムを更新していましたが、クリーンなアタックができずQ2敗退という結果になりました。アルボン選手は、Q3まで進出したものの、1回目のアタックは赤旗の影響でタイムを記録できず、また、2回目のアタックは時間切れでタイムアタックに入ることができなかったため、残念ながら明日は8番グリッドからのスタートとなりました。フェルスタッペン選手とガスリー選手については、スペック4投入によるペナルティにより、予選を戦う前から後方からのスタートが確定していましたが、明日はオーバーテイクが可能なここモンツァで4台のマシンが力強いレースを展開してくれることを期待しています」とコメント。ホンダ勢のドライバー4人は次のように語っている。
マックス・フェルスタッペン
「予選は予定どおりに進めることができませんでした。ペナルティによる後方からのスタートが決まっていたので、当初からQ1では1周だけ走行して自分たちの競争力を確認したいと思っていましたが、ターン2でパワーロスを感じたため、そのラップでのアタックをやめました。ただ、ここまで今年はレース中のトラブルはないですし、今回の件は特に明日に向けた不安要素になるとは感じていません。それに、今回投入したアップデートはパフォーマンス面で機能していると感じています。ただ、決勝がドライになった場合は、コーナーが少なくトップと差を縮めるのは難しいかもしれません。雨になればいいのですが、ドライでもマシンはいい状態なので、楽しくなると思っていますし、トップ5を目標に戦います」
アレクサンダー・アルボン
「Q3の1回目のアタックではいい手応えを感じました。4~5番手を狙っていたので赤旗中断は残念でした。そのため2回目のアタックで確実にいいタイムを記録することが最優先でしたが、1度目のアタックでタイムを記録できたマシンはインラップをスローに走る余裕がある状況でした。どのマシンもスリップストリームを得たいと考え、先頭を走行したがらず、トラックに出るのが非常に遅かった。さらに、多くのマシンがタイヤを暖めながら走行していたので、非常に低速で走る形になり間に合いませんでした。ターン4でこれは間に合わないと気付きましたが、2回目のトライでもっとリスクをとらずに走るべきでした。フラストレーションがたまる結果になりましたが、昨日のロングランはペースはよかったですし、決勝では十分に戦えると思っています」
ダニール・クビアト
「残念ながら今日は自分たちのペースで走れませんでした。Q2の最後のアタックで数台のマシンに行く手を阻まれてしまいました。それがなければQ3に進出できていたので残念です。いつもと違うことに挑戦し、それがうまくいきませんでしたが、今後に向けたいい勉強になりました。簡単ではありませんが、決勝はポイント獲得を目指してがんばります。金曜日はいいペースで走れていましたし、パッケージは競争力があります。しっかりと準備をしてスパのようなレースをすれば、いい結果を出せると思います」
ピエール・ガスリー
「ポジティブな土曜日でした。ペナルティを受けることが決まっていたので、午前中はロングランを行い、燃料が多い状態での走りを確認しました。予選ではマシンの状態を確認しましたが、マシンのフィーリングはよく、Q1では9番手タイムを記録できました。決勝では後方からスタートすることが決まっていたので、Q2はQ1で使ったタイヤを再び履いて数周走りました。レースウイークをとおしてマシンの状態がよく、いいペースで走れているので、ペナルティはあるものの、決勝でいい結果を出せると思っています」
なお、タイヤを供給するピレリは「予選のコンディションはドライで路面温度は摂氏40度以下でした。 Q3進出のドライバーは全員ソフトタイヤでQ2のベストラップを計測したため、全員がこのコンパウンドでレースをスタートしますが、決勝は異なる状況になる可能性があります。レースの最適な戦略はワンストップですが、もちろんそれはドライであると仮定したものです。最速の戦略はソフトタイヤでスタートし22周目にミディアムに交換することですが、ソフトでスタートし19周目にハードに交換、あるいはミディアムでスタートし24周目にハードに切り替えるという戦略も考えられます。雨も予想されおり、これはタイヤ戦略に大きな影響を与えるでしょう」と分析している。
F1第14戦イタリアGP決勝は9月8日15時10分(日本時間22時10分)にスタートする。
F1第14戦イタリアGP予選結果
1位 16 C.ルクレール(フェラーリ) 1:19.307
2位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG) 1:19.346
3位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG) 1:19.354
4位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ) 1:19.457
5位 3 D.リカルド(ルノー) 1:15.839
6位 27 N.ヒュルケンベルグ(ルノー) 1:20.049
7位 55 C.サインツ(マクラーレン・ルノー) 1:20.455
8位 23 A.アルボン(レッドブル・ホンダ) Q3ノータイム
9位 18 L.ストロール(レーシングポイント・メルセデス) Q3ノータイム
10位 7 K.ライコネン(アルファロメオ・フェラーリ) Q3ノータイム
13位 26 D.クビアト(トロロッソ・ホンダ)
15位 10 P.ガスリー(トロロッソ・ホンダ)
20位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)