9/28-29に岡山国際サーキットで開催された全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦で、予選2番手からスタートした山下健太(KONDO RACING)が参戦3年目にして初優勝を遂げた。

前戦ウィナーの平川がポール

画像1: 前戦ウィナーの平川がポール

土曜日の予選、ハリソン・ニューウェイ(B-Max Racing Team with motopark)のピットには息子を見守る父親の姿が。すっかりお馴染みとなったエイドリアン・ニューウェイ氏。ソチのF1ロシアGPよりもスーパーフォーミュラに興味があるのか、それとも息子にか。

画像2: 前戦ウィナーの平川がポール

前戦もてぎでの勝者、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が勢いそのままに岡山でポールポジションを獲得。チャンピオンシップ争いに加わるにはここでの勝利が必要なのだが、どうやら自信はある様子。

画像3: 前戦ウィナーの平川がポール

2組にグループ分けされた予選Q1で脱落となったのは現在シリーズランキング2位の山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION)。Q1で使用したミディアムタイヤでのセットアップが決まらず敗退となってしまったのだが、翌日の決勝までに解決の糸口はみつかるか。

悩ましい新レギュレーション

画像1: 悩ましい新レギュレーション

ソフトとミディアム、2種類のタイヤ使用義務があるが、なるべくソフトで多く周回するのが勝利への鉄則。最初に履くのはどちらのタイヤか、交換義務は10周目以降に発生する。ミディアムで最初の10周を耐えるか、あるいは終盤の数周のみ使用するか。予選4番手の中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)はミディアムタイヤでのスタートを選択。2番手スタートの山下健太(KONDO RACING)も同じ作戦。

画像2: 悩ましい新レギュレーション

9番、10番グリッドからのスタートとなった小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)とポイントリーダーのニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM'S)。互いのフェアプレイを誓うが、可夢偉はキャシディより上の順位でポイントを獲得すれば最終戦までチャンピオンの権利が残る。「フェアに抜く」ことを誓ったのかもしれない。

画像3: 悩ましい新レギュレーション

68周の決勝レースがスタート、ポールの20号車平川はソフトタイヤで逃げ切りを図る作戦だ。同じく4号車国本雄資(KONDO RACING)、5号車福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION)、38号車石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、そして37号車のキャシディもソフトタイヤでスタート。

流れを決定付けるセーフティーカー

画像1: 流れを決定付けるセーフティーカー

ソフト勢が3号車山下健太(KONDO RACING)、36号車中嶋らミディアム勢を抜き、さらに突き離しにかかる。しかしまだレース序盤の8周目、5号車福住がスタート時の混乱でタイヤにダメージを負っておりその影響でコースサイドにマシンを止めることに。これによりセーフティーカーが導入され、20号車平川らが築いたソフトタイヤでのリードは帳消しとなる。

画像2: 流れを決定付けるセーフティーカー

SCはマシン回収完了まで導入されるため、SC先導状態のままやがて10周目に突入。これがチャンスとばかりに3号車山下、36号車中嶋らミディアム勢はピットイン、ソフトタイヤへと交換する。

画像3: 流れを決定付けるセーフティーカー

1号車山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION)は逆にソフトからミディアムへ交換、コースへ復帰すると翌周再びピットインし今度はソフトへと再度交換。ミディアムの使用義務をSC先導中に消化してしまい、レース距離のほとんどをソフトタイヤで走ってしまおうという作戦。ミディアムで悩む必要はもうなくなった。

画像4: 流れを決定付けるセーフティーカー

13周目にレースはリスタート、この時点でほぼ全車がソフトタイヤで周回している。先頭はピットインをしていない20号車平川、そして38号車石浦がトラブルで脱落したことで2番手ポジションに37号車キャシディが上がった。とにかくピットイン完了組と差を広げなければ勝機は無いので、マージンを稼ぐべくひたすらペースを上げる。後半に訪れるタイヤ磨耗との勝負になるのだが。

画像5: 流れを決定付けるセーフティーカー

ピットイン済みのマシンで最上位は3号車山下、そしてすぐ後ろに36号車中嶋。SC導入中にピットインを済ませたことで勝利のチャンスが近づいてきた。ピットイン未完了組に対してこちらは10周分フレッシュなタイヤ、一旦は開いたその差もレース終盤は逆に縮まり始める。実質的なトップ争いはこの2台に絞られた。

6人目のウィナー誕生

画像1: 6人目のウィナー誕生

結局レース残り数周でピットインしたソフトスタート勢に脅かされれることなく、山下健太がスーパーフォーミュラ初優勝を飾った。2位には中嶋一貴、同じレクサスドライバーとして後輩を祝福、互いの健闘を称えあう。祝福に駆けつけた近藤真彦監督も、年代的には親子同然の山下を熱く抱擁した。

画像2: 6人目のウィナー誕生

3位にはハリソン・ニューウェイが初ポイントで初表彰台、こちらも同じくSC中のタイヤ交換が功を奏した。4位にはナカジマレーシングのアレックス・パロウが入賞、自力でチャンピオンが獲得できる位置に。歓喜のシャンパンファイト、自慢の息子達を父親達が見守る。

スーパーフォーミュラ第6戦 決勝結果(ポイント獲得者)

1位 3 山下健太(KONDO RACING)
2位 36 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)
3位 51 ハリソン・ニューウェイ(B-Max Racing Team with motopark)
4位 64 アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RCING)
5位 50 ルーカス・アウアー(B-Max Racing Team with motopark)
6位 15 パトリシア・オワード(TEM MUGEN)
7位 1 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION)
8位 8 大嶋和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)B-Max

混迷のシリーズランキング

画像1: 混迷のシリーズランキング

ミディアムのロスを最小限に押さえた山本尚貴は7位に入賞し2ポイントを獲得。これでシリーズランキング首位に返り咲いた。その差は僅か1ポイントではあるが最終戦は得意とする鈴鹿サーキット、ポールポジションを獲得すればチャンピオンの確率はグッと高まる。

画像2: 混迷のシリーズランキング

終盤に可夢偉が仕掛けた「フェア」なバトルでスピンしたキャシディは山本にも交わされ10位フィニッシュ。ポイントを加算することはできなかったが、その差は1ポイント。鈴鹿でポールを獲れば、決勝は8位以内で山本尚貴より先にゴールすれば良い。

画像3: 混迷のシリーズランキング

しかしこの2人の争いに割って入りそうなのがアレックス・パロウ。ポールポジション有力候補だけに、何かとややこしいことになりそう。しかも優勝すれば自力でチャンピオン獲得となってしまうのだ。数字の上では山下健太、小林可夢偉にも可能性は残っているが、ランキング上位3名が総崩れというのは現実的ではない。チャンピオン争いは三つ巴、最終戦鈴鹿は予選から見逃せない。
(PHOTO:井上雅行)

2019スーパーフォーミュラ選手権 ポントランキング(ドライバー上位9名)

1位 29pt 山本尚貴
2位 28pt ニック・キャシディ
3位 25pt アレックス・パロウ
4位 21pt 山下健太
5位 19pt 小林可夢偉
6位 14pt ルーカス・アウアー
7位 12pt 中嶋一貴
8位 12pt 坪井翔
9位 12pt 福住仁嶺

優勝 10pt+最終戦ボーナス3pt 2位 8pt 3位 6pt 4位 5pt 5位 4pt 6位 3pt 7位 2pt 8位 1pt
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