2019年10月27日、F1第18戦メキシコGPが行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は優勝を狙える圧倒的な速さを見せながら、不本意な結果となった。ホンダは全4台がトップ10フィニッシュを果たしたものの、ペナルティにより3台入賞にとどまった。(写真はスタート1コーナーのマックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトンの攻防)

アクシデント続きでパフォーマンスを発揮できず

予選から圧倒的な速さを見せていたレッドブル・ホンダにとって、なんともやりきれない結果となった。

予選ではフェルスタッペンがトップタイムをマーク。イエローフラッグを無視したとされるラップでもさらにタイムを短縮していた。しかし、予選後ペナルティが確定し4番グリッドへ降格。決勝では好スタートを決めてルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)をかわしにかかったものの、ターン2で接触を受けて大きく順位を落としてしまう。

その後、フェルスタッペンはポジションを挽回すべくプッシュし、スタジアムセクションでバルテリ・ボッタス(メルセデスAMG)のインに飛び込んで見事なオーバーテイクを見せるが、このときに右リアタイヤがボッタスのフロントウイングに接触してパンクを喫し最後尾へと後退。それでも、5周目にハードタイヤへ交換すると、チェッカーフラッグまでそのハードタイヤを持たせながらオーバーテイクを繰り返し、6位でフィニッシュした。

一方、5番手スタートのアレクサンダー・アルボンは、スタート時の混乱をうまく避けて3番手に浮上。前を行くフェラーリ勢2台を追う展開となる。アルボンは2ストップ戦略を採用し、2スティント目をミディアム、最終スティントをハードで走行したが、これがうまく機能せず、5位でチェッカーフラッグを受けた。

トロロッソのダニール・クビアトとピエール・ガスリーは、9番手と10番手のポジションをキープし、両ドライバーともに序盤でソフトタイヤからハードタイヤへ交換。前方からスタートしたマクラーレン勢の前でレースを進めた。

クビアトとガスリーはともに2ストップ戦略をとり、10番手と11番手で最終ラップに突入。クビアトは9番手のニコ・ヒュルケンベルク(ルノー)を追い詰めるが、パスしようとした際に接触、10秒のタイムペナルティを科されることになってしまい、この結果、レースリザルトはガスリーが9位、クビアトが11位となった。

ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは「メキシコGP決勝は、予選までの速さを結果に結びつけることができず、残念なレースになりました。レッドブルのアルボン選手は前を走るマシンに迫りながら、確実なパフォーマンスでグリッドポジションを守り、5位でフィニッシュしました。ペナルティのため4番手スタートのフェルスタッペン選手は、スタートでの接触と、またその直後の接触によるタイヤバーストなどの不運がありましたが、それでも何とかレースに復帰し、最後尾から6位までポジションを回復してレースを終える形になりました。トップ10圏内のグリッドを獲得したトロロッソ の2台は、ユーズドタイヤでのスタートとなったため、後方からニュータイヤを履いて迫るライバルに対して不利な展開になりましたが、それでも最後はガスリー選手が9位入賞と貴重なポイントを持ち帰ってきてくれました」と振り返る。ドライバーはメキシコGPを終えて次のように語っている。

マックス・フェルスタッペン

画像: マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。予選ポール、決勝4番グリッドスタート、決勝6位。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。予選ポール、決勝4番グリッドスタート、決勝6位。

「僕らのマシンで今日の6位という結果は望んでいたものではありませんが、今日起こったさまざまな状況を考えると、いいレースができたと思います。スタートはうまくいきましたが、ルイス(ハミルトン)はフェラーリ勢に追いやられて芝生の近くまで行ってしまい、スピードを失っていたのだと思います。彼はターン1の外側からコースへ戻ってきて、ターン2でのディフェンスでかなり深い位置まで行ったので、僕は彼を避けようとして芝生へ飛び出してしまいました。バルテリ(ボッタス)をオーバーテイクした際に接触を受けてリアタイヤがパンクし、そこからほぼ一周かけてピットへ戻りました。その後は1ストップで走りきらざるを得ず、66周を走行することになったので、とても遅いラップとなりました。ペースもマシンもよかったので結果は残念ですが、今日の出来事を考えれば、6位という結果は悪くないと思います」

アレクサンダー・アルボン

画像: アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)。予選5位、決勝5位。

アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)。予選5位、決勝5位。

「今日のレースは楽しめたので悪くはない一戦でした。ペースは今シーズンでベストと言えるぐらいで、トップ集団からもそう離れた場所ではありませんでした。スタート直後は3番手につけることができ、表彰台圏内にいることにとても興奮しました。トップ集団で戦えたことはうれしかったのですが、残念ながらライバルの1ストップ作戦のほうがうまくはまったようでした。僕たちに1ストップ作戦をとれるほどのペースやタイヤの持ちが残っていたかどうかは確かでなく、2ストップの戦略をとるしかありませんでした。チームのみんなはこのレースで最速のピット作業をしてくれたので、結果に繋げることができたのだと思います。彼らにとって多忙なレースウイークになったはずなので、これから結果でお返しをしていきたいと思います。ラップタイムもだんだん速くなってきているので、残り3レースでさらに速さを追求していきます」

ピエール・ガスリー

画像: ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)。予選10位、決勝9位。

ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)。予選10位、決勝9位。

「簡単にはいかない週末でしたが、今日はすべてを出しきりましたし、ポイントを獲得できてうれしいです。レースウイークを通じてマシンに競争力があったのはいいことです。ソフトタイヤでのスタートは理想的ではありませんでしたが、それでもなんとかしようとトライしました。最終的に戦略が機能して結果が出せたのは、チャンピオンシップの戦いにおいては大きな意味がありました」

ダニール・クビアト

画像: ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)。予選9位、決勝11位。

ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)。予選9位、決勝11位。

「今日はユーズドのタイヤでスタートすることが決まっていたので、難しいレースになると思っていましたが、それでもポイントを獲得したいと考えて臨みました。今週は予選結果を優先してその分レースで(スタートタイヤについて)妥協しなければいけない形でしたが、このような状況でもいい走りができました。僕はレーシングドライバーですし、ここではレースをすることが許されているはずなので、最後の接触によりペナルティーを受けたことについては納得していません。ニコ(・ヒュルケンベルグ)はポジションを守る立場で、僕はアタックする側でしたが、最終周の最終コーナーではこのようなことは起こってしまいがちなものだと思っています。それでも、金曜のプラクティス、予選、そしてレースといいパフォーマンスでしたし、来週のオースティンでのレースが今から楽しみです」

画像: メキシコGPの各ドライバーのタイヤ戦略。ソフトタイヤはほとんど使われず、ハードタイヤが重視されたのがわかる。

メキシコGPの各ドライバーのタイヤ戦略。ソフトタイヤはほとんど使われず、ハードタイヤが重視されたのがわかる。

また、タイヤを供給するピレリはメキシコGPについて「理論的に最速と予測されていたミディアム – ミディアム – ハードと繋ぐ戦略を実行したフェラーリのシャルル・ルクレールは4位に終わり、ミディアムからハードへ交換する1ストップ戦略をとったメルセデスAMGのルイス・ハミルトンが優勝しました。オーバーテイクが難しいサーキットで、ハードタイヤを最大限に活用して素晴らしい走りを見せました。1ストップは可能ではあるものの難しいと予測されていましたが、気温が高く雨の心配もなくなったことで、スライドやグレイニングが抑止され実現可能となりました。ライバルたちの戦略への対応を含め、多様な戦略が展開されました」と分析している。上位3台はいずれも1ストップだった。

次戦第19戦アメリカGPは、11月3日、テキサス州オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカで開催される。

2019 F1第18戦メキシコGP決勝 結果

優勝 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)71周
2位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ)+1.766s
3位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)+3.553s
4位16 C.ルクレール(フェラーリ)+6.368s
5位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)+21.399s
6位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)+68.807s
7位 11 S.ペレス(レーシングポイント・メルセデス)+73.819s
8位3 D.リカルド(ルノー)+74.924s
9位 10 P.ガスリー (トロロッソ・ホンダ) +1周
10位 27 N.ヒュルケンベルグ(ルノー)+1

11位 26 D.クビアト(トロロッソ・ホンダ)+1周

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