冬の朝、通勤・通学する人を悩ませるのがフロントガラスの霜。素早く視界を確保するために「凍ったフロントガラスに熱湯をかける」というユーザーもいると思うが、果たしてそれは正解なのか。ほかにどんな方法があるのか、解説していこう。

湯の温度が高いと、フロントガラスにヒビが入る可能性も

今年ももうすぐ本格的な冬がやってくる。北海道や、本州でも東北や新潟など日本海側では、降雪を心配する時期になった。

そんな冬の朝、クルマで通勤する人を悩ませるのがフロントガラスの霜だ。発進する前にエンジンを始動してデフロスターをかけても、霜の程度によっては15分以上待たないと視界を確保できないことがある。

EVやプラグインハイブリッド(PHEV)はエアコンの予約をできるモデルが多く、乗り出す時間に合わせて霜取りと車内の暖房を同時にできるメリットがある。ガソリン車でもリモコン始動できるアフターパーツが販売されているものの、燃費の悪化や環境負荷を考えるとあまりおススメできない。

視界を確保するための解氷剤も、使い方次第で霜取りの時間を節約できる。霜が薄ければスプレータイプの解氷剤を数回吹きかけるだけで視界が確保できる場合もあるし、霜をこそぎ取るウインドースクレーパーを併用すれば、比較的短時間で視界を確保できる。

このほかにもフロントガラスに直接熱湯をかけるという、原始的だが短時間で霜を取る方法もよく知られている。エアコンによる解氷時間と比べると圧倒的に早く、すぐに視界を確保することが可能だ。ただし、かける熱湯の温度によってはフロントガラスにヒビが入る可能性があるから注意が必要。

近年の市販車のフロントガラスは、衝突などの事故でガラスの破片が散乱しないようにするため、また衝撃を受けたときに視界を確保するため、あるいは飛来物から乗員を保護するために、中間膜を持つ「合わせガラス」が採用されている。この合わせガラスは熱湯をかけても割れにくくなっているものの、それでもヒビが入る可能性は充分にある。

重要なのはその温度で、50度ほどならヒビが入る可能性は低くなる。ただし、すでにキズやヒビがガラスに入っている場合に注意が必要。熱湯をかけることによる温度変化が小さくても、すでにあるヒビは大きくなってしまうこともあるからだ。

画像: 熱湯をかけるというのは効果的だが、熱湯の温度には注意が必要。熱湯の温度が高いとフロントガラスにヒビが入る可能性もある。

熱湯をかけるというのは効果的だが、熱湯の温度には注意が必要。熱湯の温度が高いとフロントガラスにヒビが入る可能性もある。

解氷剤や熱湯を使った「フロントガラスの霜取り」以外にも、こんな方法も

ガラスの霜を取るために適切な温度の熱湯を使うのは有効だが、熱湯を用意したり、その温度を調整するのが面倒という人も多いだろう。そうした人におススメなのがウインドーウォッシャー液を温めて解氷する装置だ。

新型トヨタ カローラにオプション設定された世界初の「ヒーテッドウォッシャー」がそれだ。ウォッシャー液を温める装置は以前からあるが、カローラに採用されたのは魔法瓶などのポットと同じ貯湯式のヒーテッドウォッシャーという点で世界初。カローラに採用されたのは、ドアミラーなどを製造する大手サプライヤーの「村上開明堂」製だ。

前回の走行時に温めたウォッシャー液を魔法瓶構造で保温することで、約12時間、霜取りに最適な温度に保つことが可能だという。例えば夜8時に帰宅し、翌朝8時に出勤のためクルマを使うとすれば12時間だから、解氷のための温度が保たれているわけだ。

その構造は比較的シンプルで、ウォッシャータンクとウォッシャーノズルの間に設置される。運転(走行)時に一定の温度までウォッシャー液を温め、設定した温度に達するとヒーター機能は自動的にオフになる。使用した分のウォッシャー液はウォッシャータンクから供給され、走行時に再び加熱と保温を繰り返す。エンジニアによると「12時間、60度くらいに保温されるが、配管やノズルを通過すると50度ぐらいでフロントガラスに噴射される」という。

こうした純正以外にも、アフターパーツでもウインドーウォッシャー液を温めて霜を取る製品が販売されているから、毎朝の霜取りに悩んでいる人はこうしたパーツを装着してみるのもいいだろう。(文:丸山 誠)

画像: あらかじめエンジンを始動してデフロスターをかけて霜取りを行うという方法もあるが、積雪には対応できない。

あらかじめエンジンを始動してデフロスターをかけて霜取りを行うという方法もあるが、積雪には対応できない。

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