BMW1シリーズクーペが2シリーズクーペとなったことを受けて、2016年に登場したのがM2クーペだった。Mモデル本来の個性を色濃く漂わせて大きな反響を呼んだ1シリーズMクーペの後を継いで、初代M3のスピリッツを感じさせるモデルとして誕生した。

ニュルのラップタイムはE90型M3を上回っていた

BMWにとってMモデルは「モータースポーツに参戦すること、サーキットを走行することを目的としたクルマ」であり、そうしたクルマで一般道も走れることを開発のコンセプトとしてきた。しかしその一方で、市場からの要求からMモデルのあり方が変化してきたのも事実だった。たとえピュアスポーツであっても、時代の変化とともに、プレミアム性、快適性も必要となっていた。そう考えると、歴代M3、M5の成り立ちの変化も納得がいく。

それでもMモデルに、モータースポーツの匂い、究極の走りのポテンシャルを望む生粋のファンも多い。そんなMモデルの伝統や本質を思い起こさせるモデルが2016年に登場したM2クーペだ。

M2クーペは全長4468mm、全幅1854mm、全高1410mmというE46型M3に近いボディサイズにN55B30A 型3L直6直噴ターボエンジンを搭載、トランスミッションは6速MTのほかに7速DCTも用意されていた。

足まわりは当時のM3/M4のエンジニアリングを引き継いだもので、前後アクスルにはアルミ化されたコントロールアームやホイールキャリアなどの専用部品が配されていて、M235iとは違う本格的なMモデルあることをうかがわせていた。ニュルブルクリンクのラップタイムは7分58秒台と、E90型M3のデータをしのぎ、パフォーマンスでも不満を感じさせることはなかった。

しかしN55B30A型3L直6直噴ターボエンジンはボア×ストロークも含めて、完全にMモデル専用設計となるM3/M4のS55系のものとは異なり、一部の熱烈なファンの間では「本当のMモデルではない」という声もあった。

そんな声を受けて、2018年にはM2クーペはM2クーペコンペティションに進化。エンジンはM3/M4と同じS55B30A型3L直6直噴ターボとなっていた。

さらに2019年11月のロサンゼルスオートショーではM2クーペCSが登場、S55B30A型3L直6直噴ターボエンジンの最高出力は450psまでアップし、M2コンペティションからのさらなる軽量化も実現している。

Mモデルの世界が大きな広がりを見せているからこそ、メルセデスAMGやアウディRSといったライバルに対して、自らの出自、個性をしっかりと主張するM2クーペは、極めて重要な存在と言えるだろう。

画像: 2016年に2シリーズに加わったM2クーペ。M135iはすでに登場していたが、本物のMモデルを望む声は大きかった。

2016年に2シリーズに加わったM2クーペ。M135iはすでに登場していたが、本物のMモデルを望む声は大きかった。

画像: 独特の形状を持つマルチファンクションMスポーツレザーステアリングホイールを装着。トランスミッションは標準で6速MT、オプションで7速MDCTとなっていたが、日本仕様にはDCTのみが導入された。

独特の形状を持つマルチファンクションMスポーツレザーステアリングホイールを装着。トランスミッションは標準で6速MT、オプションで7速MDCTとなっていたが、日本仕様にはDCTのみが導入された。

BMW Mの系譜のバックナンバー

BMW M2クーペ(2016年)主要諸元

●全長:4468m
●全幅:1854mm
●全高:1410mm
●ホイールベース:2693mm
●車両重量:1570(1595)kg
●エンジン:直列6気筒DOHCツインターボ
●排気量:2979cc●最高出力:370ps/6500rpm
●最大トルク:465Nm/1400-5560rpm
●駆動方式:FR
●トランスミッション:6速MT(7速DCT)
●0→100km/h加速:4.5(4.3)秒
※欧州仕様

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