2019年1月23〜26日、 WRC(世界ラリー選手権)開幕戦ラリー・モンテカルロが開催され、ヒュンダイのティエリー・ヌービルがモンテ初優勝を飾った。ドライバーラインアップを一新したトヨタは、モンテ7連勝を狙った6冠王者のセバスチャン・オジエが2位、エルフィン・エバンスが3位となった。

最終日の僅差バトル、トヨタ痛恨の逆転負け

トヨタからヒュンダイへ電撃移籍したオィット・タナックが、1月24日デイ2午前のステージで壮絶な大クラッシュを演じる波乱の幕開けとなった2020年の開幕戦。まったく新しいドライバー3人を迎えて心機一転で臨んだトヨタは、土曜日デイ3までフォードから移籍したエバンスとシトロエンから移籍したオジエが1-2体制を堅持していたが、日曜日デイ4、チュリニ峠越えのステージを含むセクションで、ピタリと追走していたヌービルにあっさりと逆転を許してしまった。

1位から3位までが常に10秒以内という僅差の勝負の鍵となったのは、モンテ特有のひとつのステージの中でドライとスノー&アイスが混在する路面でのペース配分。とくにドライ用のスリックタイヤでスノー&アイスの路面でいかに踏んでいけるか、だった。

トヨタ移籍初戦のオジエとエバンスは、まだ十分にはこの特殊なコンデションでのヤリスWRCの挙動を完全に把握して信頼する段階まで至っておらず、それがヒュンダイ所属7年目のヌービルとの差になった。

土曜日デイ3午前の段階でトヨタ2台にやや離されていたヌービルだったが、午後から危ない箇所でもアクセルを緩めず果敢にアタック。滑りやすい場所では安全を考えてペースを落とすトヨタ2台を猛追。

日曜日デイ3もその勢いのまま。朝の2ステージで一気にふたりを抜き去り首位に立ち、そのまま逃げ切って。トヨタの1998年以来となるモンテカルロ優勝の夢を打ち砕いた。

それでもマニュファクチャラーズ選手権では、2位&3位のトヨタは、1位&6位のヒュンダイに2点差をつけて次戦へ。2020年シーズンは予想通り、トヨタとヒュンダイの戦いが続きそうだ。

画像: 最終日、逆転で優勝を飾ったヒュンダイのティエリー・ヌービル。

最終日、逆転で優勝を飾ったヒュンダイのティエリー・ヌービル。

画像: トヨタのセバスチャン・オジエは2位。モンテ7連勝はならなかった。

トヨタのセバスチャン・オジエは2位。モンテ7連勝はならなかった。

トヨタの若手ふたりは無事完走

トヨタのサードドライバーで、このラリーがトップカテゴリーであるWRカーでの初のWRCとなったフィンランドの19歳、カッレ・ロバンペラと、やはりヤリスWRCでのモンテ初参戦となったトヨタ・ガズーレーシング・ラリーチャレンジの勝田貴元は、モンテ特有のタイヤの使い方などを学びながら、5位と7位で完走。今後のシーズンへ貴重な経験を積んだ。

今年はすべてヤリスWRCでWRC8戦に出場する予定の勝田はフィニッシュ直後、「今回のラリーを通して、どれだけ成長ができるかが課題でした。自分自身のミスもありましたが、それも経験、たくさんのことを学べました。チームに感謝したい」とコメント。R5で優勝経験のある次戦のスウェーデンに向け弾みがつく完走となったようだ。

次戦、WRC第2戦ラリー・スウェーデンは2月13~17日、スウェーデン中部のカールスタッド/トースビイをベースに開催される。

2020WRC開幕戦ラリー・モンテカルロ 結果

1位 11 T.ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)3h10m57.6s
2位 17 S.オジェ(トヨタ・ヤリスWRC)+12.6s
3位 33 E.エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)+14.3s
4位 4 E.ラッピ(フォード・フィエスタWRC)+3m09.0s
5位 69 K.ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)+4m17.2s
6位 9 S.ローブ(ヒュンダイi20クーペWRC)+5m04.7s
7位 18 勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)+11m27.9s
8位 3 T.スニネン フォード・フィエスタWRC)+13m30.4s
9位 27 E.カミリ(シトロエンC3 R5)+13m42.2s
10位 20 M.オストベルグ(シトロエンC3 R5)+14m21.8s
リタイア 8 O.タナック(ヒュンダイi20クーペWRC)

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