ここ十数年、小型車以上の新車の年間販売台数は250万台前後で推移している。絶頂期だったバブル時代と比べると、約半分に落ち込んでいることになる。その要因は、経済不況、購買者数の減少など様々だが、自動車が「所有する時代」から「利用する時代」に変わってきていることもそのひとつだろう。では近年話題のサブスクリプションとはどういうサービスなのだろう。毎月同じ金額を支払うという意味では、リースと変わらないようにも思える。このふたつには、どんな違いがあるのだろうか。

パッケージ型リースとサブスクリプションは近似

最近、サブスクリプションサービスが流行している。サブスクリプションとは「定額制」という意味で、一定額支払えば期日内なら使い放題といったサービスだ。ネット上の音楽やビデオ配信サービス、一部の高額なパソコン用ソフト、さらにランチに定額制を導入する店舗もあるなど、サブスクリプションの例は増えている。

サブスクリプション流行の波は、自動車業界にも及び、トヨタは「KINTO(キント)」ブランドで、自社ブランド車両のサブスクリプションサービスを2019年2月から始めた。契約者数はまだ多くないが、利用者からの評判は良好とのことだ。

サブスクリプション制の最大のセールスポイントは、毎月安定した支払いで自動車を利用できる、というもの。この謳い文句だけならカーリースと同じだ。ではサブスクリプションとリースにどんな違いがあるのか、様々な視点から比較する。

まず、KINTOの契約から契約完了まで流れは大まかにいうとリースと同じで、気に入った車両をサブスクリプション契約なり、リース契約なりで一定期間借りることになる。契約終了時には車両の査定を行い、その査定額が予想査定額に届かない場合に追加支払いすることになる。

KINTOとリースの違いはここからで、査定額が契約時の予想査定額を上回った場合、リースならキャッシュバックや次契約の資金に充当できるものが多いが、KINTOの場合にはこれはない。

また、リースの場合、契約期間が終了した車両は、その時の査定額で再リース契約や買取りができたり、あるいは譲渡してもらうなどの方法で、同じ車両に乗り続けることができる。しかしKINTOの場合、契約期間を超えての使用はできない。KINTOを利用し続けたいなら、新しい車両で契約する必要がある。

対象車両は、リースの場合、会社にもよるがほぼすべての車両。KINTOの場合は、トヨタ車とレクサス車の一部から選択できる。最新のトヨタ/レクサス車に乗り続けたい、という人にはKINTOはうってつけだ。

画像: サブスクリプションサービス「KINTO」のメリットは、スタート時に頭金なしで任意保険からメンテナンス費用までコミコミの月々定額なのでまとまった資金が必要ないこと、3年毎に新車の乗り換えか返却かを選択できること、メンテナンスをトヨタ、レクサスの正規販売店で受けることができることなどがあげられる。

サブスクリプションサービス「KINTO」のメリットは、スタート時に頭金なしで任意保険からメンテナンス費用までコミコミの月々定額なのでまとまった資金が必要ないこと、3年毎に新車の乗り換えか返却かを選択できること、メンテナンスをトヨタ、レクサスの正規販売店で受けることができることなどがあげられる。

月々の支払いはどちらも「毎月定額」。リースの場合は、通常、車両購入費用と契約終了時の予想査定額の差額を毎月支払う。車検・整備費用、各種税金、任意保険料、燃料費などは、リース契約者の追加負担となる。毎月定額には違いないが、リース契約者による支出監理が必要だ。またリースの場合でも、車検・整備費用、各種税金、任意保険料を含むパッケージもあり、こうした契約ならリース会社にお任せで毎月の自動車関連の支出は定額となる。追加支出は燃料費くらいだ。KINTOの場合はパッケージ型リースと同じ仕組みとなる。

車両の所有権はリース会社または株式会社KINTOにあり、使用者(=サービス契約者)が車検証に記載されるのは、どちらも同じだ。

任意保険は、2パターンに分類される。ひとつめは、契約に任意保険を含まない場合だ。通常のリース契約では、各人が任意保険に加入することになり、それまでの等級を引き継ぐことができる。事故を起こした場合、支払い責任は保険名義人となり、翌年以降の等級の引き下げや保険金額の値上げが行われる。

ふたつめは、契約に任意保険が含まれる場合だ。パッケージ型リースやKINTOは、車両と任意保険をパッケージにしており、任意保険加入者はリース会社や株式会社KINTOとなる。万が一事故を起こした場合、支払い責任は保険加入者が負う。リースの場合、車両使用者には一時的な経済負担はないが、事故後の毎月の支払額が高くなる。KINTOの場合、契約者には5万円を上限に修理費などが請求されるが、事故後の月々の支払額は変わらない。

もし事故で車両が全損した場合、KINTOでは 「リースカー車両費用保険特約」を付帯しているため、中途解約金がすべて保険でカバーされ、KINTO契約者の経済的負担はない。ただし、リースの場合でもこれを付帯していることもあるので、契約時には必ず確認しておきたい。

ふたつめのパターンの場合、任意保険はリース車専用であり、それまで個人で加入していた任意保険の等級は引き継げない。リース/KINTO契約前の任意保険は、保険会社に「中断証明書」を発行してもらうことで中断した時点での等級を10年保持できる。リース契約終了後ふたたびクルマを自己所有する場合、中断証明書を保険会社に提出することで等級を引き継げるのだ。

車検は、KINTOの場合、車両が納車されたディーラーで行う。しかも車検時には事前にディーラーから連絡が入る。KINTOユーザーが自ら、車検の準備やスケジューリングを行わなくてよいのだ。車検日にはディーラーが車を引き取りに来てくれ、車検が終了すれば自宅まで戻してくれる。多忙な社会人にはありがたいサービスだ。一方リースの場合、通常なら車検はリース契約者が自ら準備し、予定を立てなければならない。KINTOのような引き取り/戻しサービスは、ディーラーや民間車検場次第となる。

自動車の保有方法としてリースとサブスクリプションを比較してみたが、リースでも従来の購入費用のみを分割対象とした商品、車検・整備費用、税金、任意保険などの維持費が含まれているパッケージ型リース商品があり、パッケージ型リースはサブスクリプションのKINTOと大きく変わらないように思えた。しかし、事故で車両を修理した後も、月額利用料が変動せず、支出計画を立てやすいKINTOは家計的に助かると言えるだろう。(文:猪俣義久)

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