デザイン
どこから見てもひと目でメルセデスベンツだとわかるデザインや4ドアながらスタイリッシュなフォルム、ボリュームあるリアフェンダー部分などとても好きが多い。ただ、セグメントが下のCクラスとグリルやテールランプユニットなどを含めデザインの方向性が似すぎているため、オーナーならCクラスと間違われず、すぐにEクラスだと判別できるように差別化してほしいと思うだろう。
インテリアも大型のディスプレイを枚横に並べたデザインは、迫力があり最新のメルセデス流である。アナログ風など好みのメーターデザインを選べるのもいい。
運転支援機能(ADAS)
ウインカーを点滅させるだけで車線変更できる「アクティブレーンチェンジアシスト」は、自動運転へ繋がる技術として興味あるが、実際は自分で車線変更する方が楽で安心だった。
ただ後方の死角から接近するクルマに気が付かず車線変更しようとしたときに、警告や自動ブレーキをかけてくれる機能はとても便利である。さらに高速道路での「アクティブディスタンスアシストディストロニック&アクティブステアリングアシスト」の作動状況は、違和感がなくとても自然。これを使うことで渋滞時の疲労もかなり低減できた。
コネクティビティ
ケーブルでもブルートゥースでも簡単にiPhoneを接続できた。こうしたコネクティビティ機能は、今、メルセデスのLクルマが一番使いやすいと言えるだろう。さらにボイスコントロール機能は秀逸で言葉の認識率も高く、とても使える装備になっている。他のクルマもメルセデスをベンチマークとして音声認識率を上げて欲しい。
燃費性能
今回の試乗では長距離移動で14km/L台の燃費を記録したが一般道では10km/Lを切ってしまった。思っていたより長距離との差が開いてしまった。それでも700kmほど走り10km/L台の平均燃費を記録している。このセグメントのガソリン車としては平均的な数値だろう。
車載機能の操作性
コンソールまわりなどのスイッチ類が省かれたインテリアとなる。これはハンドルに配置された操作部にオーディオやメーター表示、ADAS系のコントローラーなど多種多彩な機能が割りあてられていること、COMANDコントローラーで多彩な操作ができるからだ。車載されている機能は実に多く、すべて理解して使えるようになるには相当な時間を要する。オーナーになっても一度も使わない機能があるかもしれないが、すべて使わなくてはいけない、というこもとなく、使いたい機能だけ使えばいいだろう。
安全性能
高剛性ボディは、もしもの時に安全を担保する。メルセデスのアクティブセーフティとパッシブセーフティを融合したインテリジェントドライブはレーダー、レーザー、ステレオカメラなど最先端のセンサーを装備し、安全性を確保している。現在、もっとも安全なクルマの1台である。長距離運転の快適性にも満足。今回の試乗では、往復約400kmという長距離を走る機会もあったが、実に快適だった。ないものねだりだが、これにシートマッサージ機能があれば文句の付けようがない。
官能性能
2L直列4気筒DOHCターボエンジンはストレスなく高回転までよく回り気持ちいい加速フィールが味わえる。官能性能という部分では6気筒エンジンに劣るが、それでも存分に走りが楽しめる。
車両価格の魅力
いいクルマに乗っているという感覚はあるが、4気筒エンジンだということを考えると871万円という価格にそれほど魅力を感じない。しかし、充実した標準装備内容をそこに加味すれば、逆にバリュー感が強くなる。安全装備、運転支援機能などをオプションで選ぶ必要がなく、「素」のままで十分に満足できるのだ。
ステイタス性
スリーポインテッドスターのブランド力はさすが。知らない人がいないほど有名でいいクルマに乗っている感覚も強い。メルセデスに詳しくない人からCクラスと見分けはがつかなくても、Eクラスである、というオーナーの満足感はとてもとても強く感じられるだろう。
総合評価
試乗前は、退屈なクルマである、というイメージを持っていたが、それは見事に覆された。どのような場面でも刺激的であり快適、そして安全である。最先端の機能も有しており、購入後も長い期間、満足できるだろう。(文:千葉知充/写真:原田 淳)
■試乗車の詳細
ボディカラ-:カバンサイトブルー、インテリア:ブラック
装着オプション:エクスクルーシブパッケージ 177,000円、パノラミックスライディングルーフ(挟み込み防止機能付き) 224,000円、メタリックペイント 95,000円
車両価格 8,710,000円+オプション装備価格496,000円=取材車総額 9,206,000円
■今回の7日間の走行距離:719km、平均燃費:10.3km/L