5月といえば自動車税の納付時期となる。昨年の10月1日に消費税が10%になってから、全排気量にわたって引き下げられ、名称も正式には「自動車税(種別割)」となった。ここではその成り立ちや税率、そして新型コロナによる猶予措置なども解説しよう。

自動車税の納付期限は原則として5月31日

画像: 地方自治体から5月になると送付されるのが自動車税。支払金額は排気量と新車登録時期によって違ってくる。画像は東京都庁。

地方自治体から5月になると送付されるのが自動車税。支払金額は排気量と新車登録時期によって違ってくる。画像は東京都庁。

クルマに乗っているといろいろなところで税金がかかってくるのはご存知のとおり。ちなみにクルマへの課税の期限は1873年に作られた「車税」まで遡るそうだ。ただし、日本にガソリンで走る4輪自動車が登場したのが1893年だと言われるから、最初の対象は馬車や人力車だった。現在の自動車税の起源は1940年。太平洋戦争が始まる前年でもあり、クルマは担税力のある人が乗る贅沢品。そこで戦費調達のために創設されたのがその経緯という。そういう意味では、すでに存在意義自体が問われるところはあるが、これだけ自動車が普及して安定税源である限り手放すわけもないのが「お上」というものでもある。

話を現代に戻すと、自動車関連税は国税としては新規登録時と車検時に納める「重量税」がある。地方税としては従来は新車購入時に納める「自動車取得税」があったが、これは令和元年10月1日の消費税の10%引き上げと同時に「環境性能割」に変更となった。同じく地方税としては毎年5月になるとやってくる「自動車税(種別割)」と「軽自動車税(種別割)」がある。これは従来「自動車税」、「軽自動車税」と呼ばれていたが、消費増税に合わせて名称変更となったもの。

画像: 自動車がそのものが普及していなかった明治6年、人力車などにかけられる「車税」があった。それが引き続き令和の今まで形を変えて続いている。

自動車がそのものが普及していなかった明治6年、人力車などにかけられる「車税」があった。それが引き続き令和の今まで形を変えて続いている。

後にも触れるが新車に限っては納税額が引き下げられたということで、割引しているようなイメージを作りたかったのかもしれないが、そうとも言い切れない。自家用乗用車(普通車)の場合は都道府県、軽自動車の場合は市町村税となる。今回は納税時期に合わせてこの普通車の「自動車税(種別割)」を中心に解説していく。

自動車税(種別割)は、毎年、4月1日の時点での車検証上の所有者に対して5月に納付通知が送られる。納税期日は基本的には5月末だが、地方によっては6月末のこともあるそうだ。乗ろうが乗るまいがクルマを持っている限り支払う義務がある。クルマを持っているとはこの場合、車検証上の所有者であるということだ。末尾に掲載したように納める額が排気量ごとで決まっており、未納付の場合車検を受けることができないのも特徴となっている。

画像: 現在車検切れになっていても、車検証上の所有者には毎年請求がくる。これを止めるには陸運支局に行って抹消登録をすることが必要だ。

現在車検切れになっていても、車検証上の所有者には毎年請求がくる。これを止めるには陸運支局に行って抹消登録をすることが必要だ。

車検が切れていても納税しなければならないところに注意が必要で、もし乗らずに保管しているようなクルマで納税を避けたいのなら、一時抹消登録が必要となる。廃車にするなら永久抹消登録をしなければ、延々と納税しなければならない。また、個人間で売却した歳に名義変更が行われていないと、旧オーナーのもとに自動車税の納付の義務が生じるからトラブルにもなりやすいので注意が必要だ。

けっこう取り立てが厳しい税金としても知られている。義務なので期限内に払わなければいけないのはもちろんだが、期限をすぎると督促状、それを無視していると催告状がきて、それも無視していると差し押さえ通知書が来て財産や給料が差し押さえられる場合もある。支払い能力がない場合、クルマが差し押さえられて競売となることもある。差し押さえられた高級車が競売にかけられるニュースも風物詩のようになっている。

画像: 自動車税を支払わずに放っておくと、延滞金がつくだけではなく、給料や財産の差し押さえがある。それもなければクルマを差し押さえられて競売にかけられる。

自動車税を支払わずに放っておくと、延滞金がつくだけではなく、給料や財産の差し押さえがある。それもなければクルマを差し押さえられて競売にかけられる。

税額は、新車登録が2019年9月30日以前の場合と、10月1日以降の場合とで税率が違っている。これは消費税がその日から10%になったのに合わせて新しい方を安くした。とくに排気量が小さいクルマが大きく引き下げられたのがポイントだ。ちなみに全排気量で減税されたというのは制度が始まって以来はじめてのこととなる。引き下げられたといっても消費税が上がっているので、単純に喜んでいいものではないだろう。

これは以前からだが、新車から13年以上経過すると15パーセントの割り増しになる。この部分には古いものを大事に使うのが悪いのかなどと批判の対象となったりする。環境性能を考えると仕方がないという捉え方ものできるかもしれないが、旧車に乗る層からはとくに評判が悪い税金でもある。

参考までに平成30年の東京都の自動車税の決算額は1049億円となっている。同年の都税総額5兆4464億円からみると図抜けて多いわけでもないが、普通税ということもあり安定財源として都民の役に立っているはず。他の地方自治体でもそれは同じと信じたいところ。

画像: 排気量によってはかなり高額になる場合もあるが、納税は国民の義務。速やかに支払うのが一番手間がない。新型コロナの影響でどうしても…という場合には猶予も設けられているようだ。

排気量によってはかなり高額になる場合もあるが、納税は国民の義務。速やかに支払うのが一番手間がない。新型コロナの影響でどうしても…という場合には猶予も設けられているようだ。

さて、現在は新型コロナによって収入が大幅に減ってしまったとか失職してしまった人もいるだろう。これはもちろん他人事ではない。100年に一度と言われるほどの危機でもあり、税金納付についても対応が求められるところ。自家用乗用車の場合はそれなりに高額となるので納税の猶予措置が取られている場合がある。

ちなみに東京都の場合は、ケースに応じてだが1年間の猶予と、延滞金が全額免除される場合もある。他の自治体でも同様の措置を講じているようなので、やむを得ない事情がある場合はお住まいの地方自治体のWebサイトをチェックしたり、問い合わせをしてみるといいだろう。(飯嶋洋治)

自家用乗用車の税額

総排気量/2019年9月30日以前の新車登録車(2019年10月1日以降の新車登録車)
1リットル以下/2万9500円(2万5000円)
1リットル超~1.5リットル以下/3万4500円(3万500円)
1.5リットル超~2リットル以下/3万9500円(3万6000円)
2リットル超~2.5リットル以下/4万5000円(4万3500円)
2.5リットル超~3リットル以下/5万1000円(5万円)
3リットル超~3.5リットル以下/5万8000円(5万7000円)
3.5リットル超~4リットル以下/6万6500円(6万5500円)
4リットル超~4.5リットル以下/7万6500円(7万5500円)
4.5リットル超~6リットル以下/8万8000円(8万7000円)
6リットル超/11万1000円(11万円)

自家用乗用軽自動車の税額

総排気量/2019年9月30日以前の新車登録車(2019年10月1日以降の新車登録車)
一律/1万800円(1万800円)

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