今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代のニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「日産 プリメーラ(3代目)」だ。

日産 プリメーラ(3代目:2001年)

画像: 試乗車はオプションの205/60R16タイヤとアルミを履いていたが、適度に締まった乗り心地はなかなかのものだ。

試乗車はオプションの205/60R16タイヤとアルミを履いていたが、適度に締まった乗り心地はなかなかのものだ。

2001年1月、日産のミドルセダンであるプリメーラが3代目にフルモデルチェンジされた。今回のフルモデルチェンジで、プリメーラは車名以外はまったくの別モノにフルチェンジしたと言えるだろう。社内でも「車名を変えよう」という案も出たくらいだという。

そのスタイリングは斬新だ。2分割されたフロントグリルなど、顔つきこそ最近の日産車のアイデンティティが与えられているが、ボディデザインは明らかにヨーロッパナイズドされている。同じグループとなったルノーから発表された新型セダンと言われても、違和感はなかったかもしれない。

先代と同様、ボディバリエーションはセダンとワゴンが設定された。ワゴンは、セダンのモノフォルムを発展させたスタイルだ。ボディ前半部はセダンと共通だが、110mm延長された全長はリアのオーバーハングに充てられてカーゴスペースを確保している。1500mm近い高めの車高ながらリアウインドーを寝かせてスポーティなシルエットとし、セダンよりは一般受けはいいかもしれない。

画像: ステアリングの向こうには何もない、特徴的なインパネ。3連メーターは運転席側にややオフセットしている。

ステアリングの向こうには何もない、特徴的なインパネ。3連メーターは運転席側にややオフセットしている。

搭載されるエンジンは2LのDOHCで、マニュアルシフトのないハイパーCVTとの組み合わせのみの設定だが、これが予想以上に良かった。エンジンには電子制御スロットルが採用され、統合制御されるCVTはデビュー当初のような不自然さを感じさせない。停止時にはクリープもあるし、追い越し時にはキックダウン的な加速もするという、トルコンAT的なリニアな挙動を見せてくれる。中間加速時のスロットルの「ツキ」もいいし、普通に使うならこれで十分だ。今回の試乗では2.5L+CVT-M6は試せなかったが、こちらもかなり期待できるだろう。

プリメーラ伝統のハンドリングを試せるシチュエーションは、残念ながら今回の試乗ではなかった。だが、オプションの16インチ60タイヤを履いても市街地や高速道路での乗り心地は良く、直進安定性もしっかりしている。ただ、リアシートではフロアからの振動を感じやすく居住性は今ひとつだった。もっとも、これは荷物や人をもう少し積むと、多少変わってくるのかもしれないが。

センターダッシュ上にレイアウトされた3連メーターやその下のモニター&スイッチ類は、違和感を覚えるのは最初のほんの一瞬だけで、すぐに慣れて見やすくなり扱いやすい。室内空間は前後席とも十分な広さがある。シートバックを倒すだけでフラットに広がるカーゴスペース、床下の大型アンダーボックス、リバーシブルで汚れにも強いフロアボードなど、ワゴンとしての使い勝手は十分に高い。

短時間の試乗ではあったが、新型プリメーラの魅力的な性能の一端を垣間見ることができた。その走りやパッケージングは、プジョー 406をベンチマークとして開発されたという。確かに、国産車にライバルは存在しなさそうだ。日本での人気の可否は、やはり二歩くらい先を行くスタイリングにかかっているだろう。ワゴンはけっこう人気を呼びそうだが、セダンの健闘にも期待したいところだ。

画像: ワゴンの全長はセダンより110mm長いが、それはリアオーバーハングの延長分。リアウインドーはけっこう寝かされている。

ワゴンの全長はセダンより110mm長いが、それはリアオーバーハングの延長分。リアウインドーはけっこう寝かされている。

■日産 プリメーラワゴン W20L 主要諸元

全長×全幅×全高:4675×1760×1480mm
ホイールベース:2680mm
車重:1360kg
エンジン形式:直4・4バルブDOHC・横置FF
排気量:1998cc
最高出力:110kw(150ps)/6000rpm
最大トルク:200Nm(25.0kgm)/4000rpm
ミッション:CVT
タイヤ:195/65R15
価格:236万円

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